ブックマーク / d.hatena.ne.jp/FUKAMACHI (17)

  • 深町秋生の序二段日記

    どう感想をまとめていいのかわからなかった。 こうの史代の長編「この世界の片隅に」の下巻が発売された。「夕凪の街 桜の国」以来の衝撃を与えてくれたと思う。すでに名うてのコミック評論家たちの熱すぎる評があちこちでアップされている。私も瞼が赤くなるほど泣いた。 http://www1.odn.ne.jp/kamiya-ta/konosekaino-katasumini2.html(こうの史代『この世界の片隅に』下巻 紙屋研究所) http://mandanatsusin.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/post-6b07.html(オールタイムベスト『この世界の片隅に』: 漫棚通信ブログ版) http://d.hatena.ne.jp/kaien/20090507/p1(すべての漫画好きよ、『この世界の片隅に』を読むべし。 Something Orange) 物語自

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  • 正しい東映印の高品質「探偵はBARにいる」 - 深町秋生の序二段日記

    もう最近は多忙のうえに不眠症。酒も飲めずにガタガタな日々が続いている。 けれど、大泉洋のファン(にわかだけどね)ということもあり、近所のムービーオン山形に駆け込んで、「探偵はBARにいる」を見てきたのだった。これがもうめちゃくちゃおもしろかった。魂を完全にカツアゲされたというか。こうしてブログを書いちゃうくらいに興奮している。それぐらいすばらしかったのだ。 おもしろいというよりも肌にぴったりくる。とてもとても愛すべき作品というべきかもしれない。探偵モノとしては、ベタすぎるほどベタである。一匹狼でその日暮らしの探偵。謎の依頼人と運命の女。調査を進めれば、どこからともなく現れる「警告のために小手調べな感じで主役をいたぶる悪役」(プロレスでいえばボディスラムみたいな挨拶系な技をきちんと放つ悪役)、そしてやっぱり絵に描いたような悪い大物も登場する。 しかししかし、ベタな様式美であっても、やっぱりき

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  • 深町秋生の序二段日記

    え! マジでそんなに刷ってんの? 嘘だろ、桁数間違えてない? と、いきなり生々しい話になるが、第七回のこのミス大賞「臨床真理」と「屋上ミサイル」の初版の部数をどこかより耳にして卒倒してしまった。具体的な数字はもちろん出すつもりはないが、この出版不況のおりに単行として刷る部数としては異例すぎる数字で仰天してしまった。 「くそ、おれんときの初版部数は……」というひがみ根性が爆発して(まあ嘘なんだが。当にひがんでないよ。ワスは)、同郷の山形人である柚月裕子さんの「臨床心理」を読破したのだが、「くそ、おもしれえじゃないか」とよけいにひがみ根性をこじらせてしまった。 「臨床真理」は正統ミステリだ。重いテーマを扱う社会派サスペンスの趣は清張作品のようであり、登場人物のなかで、人の心が望まなくとも読めてしまうという共感覚の能力を持った青年が出てくるところなどは、キングの影響を受けた宮部作品のようでも

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    Iron-9
    Iron-9 2009/02/19
  • 深町秋生の序二段日記

    ま、こんなもんでしょ……。 土曜日にやっていた「テレビ朝日が伝えた伝説のスポーツ名勝負」は基的にはとてもおもしろかった。近鉄対ロッテにおけるジョークすれすれの神がかった大試合。リーグ優勝がかかった7時間を超えるダブルヘッダー。まるでマンガ「アストロ球団」のよう。これは泣けた。 しかしアリ対猪木のあのスタンスはどうか。いわゆるがんじがらめのルールのなかで懸命に真剣勝負をやった猪木。この猪木ベビーフェイス説に乗っ取った物語が大いに不満だった。そのあたりは大傑作「1976年のアントニオ猪木」が詳しい。 アリという超スーパースターに無理難題をつきつけられる猪木という物語。それがのちに猪木側がこしらえたストーリーなのは格闘ファンの間で有名だ。猪木は超エゴイストの人でなしであり、しかし過去のあらゆるカリスマ政治家や宗教家と同じくらいの天才アジテーターで、偉大な肉体表現者でもあった。そして関わった人間

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    Iron-9
    Iron-9 2009/02/10
    やたらと猪木に都合の良い逸話だなーと思ってたけど、やっぱり別の側からの別の話もあるのか。
  • 深町秋生の序二段日記

    土曜日の9時にテレビをつけたら、NHKで刑事ドラマをやっていたのでそのまま見てしまった。 http://www.nhk.or.jp/dodra/keiji/html_kei_cast.html(NHK 刑事の現場 キャスト) 頼りなさそうな新人刑事の成長物語という感じだが、なかなかリアリティのあるつくりで面白い。しかし準キャリ刑事で「ハードボイルドな子持ち女刑事」という役を池脇千鶴嬢がやっていたのだが「さすがに無理があるだろう……」と画面にツッコミを入れてしまった。 いくら大沢在昌風ハードボイルドな感じでクールに喋らせたところで、やっぱりどこから見ても童顔&甘いボイスの千鶴タンでしかなく、一体どこの世界にあんなデコスケ(刑事)がおるんじゃいとニヤニヤしていた。柔道三段剣道三段っていわれてもなあ。アニメの戦闘美少女じゃあるまいし。 とはいえドラマを見ながら愉しく妄想にふけってしまった。千鶴嬢

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    Iron-9 2008/03/24
  • ハリボテのような言葉に囲まれて - 深町秋生の序二段日記

    舛添大臣の「家族だんらん法」が話題になった。 あの残業代0円法を「家族だんらん」などと言い換えられるツラの皮の厚さに驚愕したわけだが、小泉がやった「障害者自立支援法」というときも全米が泣いたものだった。障害者への保障を削り、給料をピンハネするだけで、どこから「支援」なる発想が生まれるのか。今でもよくわからない。むしろ自殺支援法と呼ぶべき類のものであった。 地方ではだいたいのところパチ屋と消費者金融の無人店舗が幅をきかせていて、しょせんは鉄火場と高利貸しという後ろ暗いアンダーグラウンドな業界に過ぎないはずなのだが、ピカピカで明るく、ど派手な看板と建物とCMガールを起用してはうまくごまかしを計っている。それと同じことが日語の世界でも相も変わらず起きているのだ。 「日語が乱れている!」と憂える意見を新聞の投書欄などでよく見かけるが(口語体の文章で投書しているてめえはなんだといつも言いたくなる

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    Iron-9 2007/09/21
    "番組に出てくる日本語はお役所もひれふすくらいに定型文と手垢だらけの言葉の連続である。「感動の涙」「驚きの展開」「落ち着いた佇まい」「キチっと対応すべき」などなど。"
  • 深町秋生の序二段日記

    人類の存亡をかけた大スケールアニメ「エヴァンゲリオン」の新作が話題となっている。 しかしその「エヴァ」が公開された9月1日に、私はハリウッド映画史上、もっともスケールが小さいのではないかという伝説のアクション映画「北国の帝王」(73年公開)を見ていた。 未だにDVD化されず、せいぜい渋谷のツタヤにビデオが置いてある(しかもいつ行っても貸し出し中で、ようやく借りることができたと思ったらテープが劣化していて、映像はかなりむごたらしい状態だったという。友人談)ぐらい。映画秘宝でも、読者コーナーなどでしょっちゅうDVD化を望む声が上がるほど。しかしいろいろあって、幸運にもクリーンな映像で見ることができた。 実際、この映画は傑作である。もともとは「ゲッタウェイ」「ワイルドバンチ」で有名なペキンパーが企画したもので、その後いろいろあって「ロンゲスト・ヤード」などを手がけた野郎映画の巨匠ロバート・アルド

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    Iron-9 2007/09/16
  • ご当地大衆食文化 - 深町秋生の序二段日記

    という言葉がある。 これは「駅前の歩き方」というグルメコミックで使われた言葉で、一言でいえばご当地グルメと呼ばれるもので、広告代理店がプロデュースしたような観光客向けの料理ではなく、その土地土地の人間がごく当たり前にしている大衆的な地元料理のことを指す。 「駅前の歩き方」は実のところ面白くはない。いかにも大味な増刊コミックという趣だったのだが、視点はなかなかフレッシュではあった。長野の伊那のローメン(ソース焼きそば風の、言うなればソース蒸しそば)、長崎のトルコライス(ピラフとカツとナポリタンを一つの皿に盛ったでんぷん油。肉体労働者の強い味方フード)、日系ブラジル人のコミュニティがある群馬は大泉のフェジョアーダなどなど。 http://www.inacci.or.jp/contents/meibutu/rohmen/rohmenindex/rohmenindex.html(伊那 ロー

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    Iron-9 2007/09/09
  • 深町秋生の序二段日記

    リニアモーターガール。リニアモーターガール。リニアモーターガ〜〜〜ル。 このところの殺人的な猛暑とPerfumeのせいで、すっかり頭がバカになりました……。 PerfumeはネットやNHK・ACのPR映像、それに多くの著名人によってプッシュされて人気爆発となったアイドルユニットである。遅まきながらはまってしまった。硬派ラッパー、ライムスターの宇多丸氏が「アイドル最後の希望」と大プッシュする理由もよくわかる。実にアイドルらしいアイドルだ。 http://d.hatena.ne.jp/inumash/20070131/p1(想像力はベッドルームと路上から 「機械化の夢」の極北。BjorkとPerfume) すでにid:inumashさんが言及しているが、Perfumeは、がんがん加工された音声と、まるでアンドロイドのような非人間的な振り付け(それに開いた瞳孔)という「機械化」を強く打ち出したユ

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    Iron-9 2007/08/15
  • 深町秋生の序二段日記

    昨日のNHK「鬼太郎が見た玉砕」はとても面白かった。 主役を演じた香川照之の演技もユーモラスで、水木コミックにある悲惨と間抜けが同居したような味わいが作品によく表れていた。近年の戦争作品では一番面白かった。 http://www.nhk.or.jp/nagoya/kitaro/index.html(公式サイト) とはいえこの8月になると、まるで冷やし中華のように「戦争話始めました」とばかりにあの戦争を語りだすメディアの風潮が好きではない。急にこの月となると昭和天皇の「堪えがたきを〜堪え」という玉音放送や、老人たちがいっせいに「あの戦争は……」と語りだし、テレビの司会者は眉をしかめて平和の大切さを訴えだす。 戦争を語ることは重要だけれど、この「8月になる→戦争を振り返る」という仕組みにはもううんざりだ。月曜にうちの近くのパチ屋がやる「マンデー銀龍祭」のようで芸がなさすぎる。ある日レゲエミュ

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    Iron-9 2007/08/13
  • 深町秋生の序二段日記

    ぼんやりとテレビを見ていたら、今私がもっとも敵視しているパチンコ店ベガスベガス(うちの近所の街道沿いにでっかくオープンして道が大渋滞。すぐそばで半年前にでかいショッピングセンターもオープンしたのに、行政に金がなくて信号もない始末。おかげでしょっちゅう事故が起きている。そのうち子どもの車茹でなどが発生するに違いない)がいつものように派手派手しく宣伝していた。 山形の鉄砲町店で1円パチンコをやるらしい。 私はパチンコそのものについてはほとんど何も知らなかったのだが、パチファンの間では当たり前のように知られた言葉らしい。普通のパチンコ店は1玉=4円なのだが、それが1円の低価格で愉しめるらしいのである。 http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/business/113/1181658077/(こうした掲示板を読んでもらったほうが早い。1円パチンコってどうよスレ)

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    Iron-9 2007/08/04
  • 深町秋生の序二段日記

    山形県川西町の羽前小松駅でパチリ。 年季の入った看板だが、どうも違和感を覚える。 「飯豊山、朝日山の霊山を蔵王山の二の舞にしては済むまい」だそうで。 言いたいことはわかる。蔵王ときたらケーブルカーがガーっと通って、スキー場がどかどかできた商業山で、もう威厳もへったくれもないわけですよ。ついでに言うと一昔前は「牛丼を頼むとたまねぎ丼が出てくる」なんて評判も悪かった。(今はそうじゃないらしいけど、まあとにかくスキーなんて知らねえしな) そういう土地にしないよう自然を守りましょうという主張はきわめて真っ当といえるが、「済むまい」というとなんだろうな……。家に帰って辞書を引いたけれど、やっぱりわからない。済まい……というのもなんか変だが。「してはならない」という強い意志がどうにも感じられないのである。 「済むまい」とやられるとなんだか、自然を護ろうと主体的に行動する人の主張ではなく、なんだかエモヤ

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    Iron-9 2007/07/29
  • 深町秋生の序二段日記

    週末になると、山形駅あたりのホテルに閉じこもって仕事をしている。 駅前となると繁華街のように思えるが、昼間はかなり静かである。息抜きに散歩をすると、それがよくわかる。土曜の夕方なんて、一番人が街へ繰り出す時間だろうにひっそりとしている。ちりんちりんなんて風鈴の音が風流に響くほど静か。 これは散々言い尽くされたドーナッツ化現象というやつで、同時刻の郊外ショッピングセンターは車の熱気でかげろうができ、周囲の道路は大渋滞を起こし、何人もの警備員が汗だくになって誘導灯を振り回し、子どもはじたばたと泣き叫び、おばあちゃんはへとへとになってベンチに腰掛け……と大賑わいである。 それに反して駅前は商業地としての地位をすっかり奪われ、住宅地に生まれ変わろうとしている。地方の駅前というのはだいたいみんなそんな過渡期に入っているようだが。そんな傾向に合わせるかのように駅前から看板がなくなりつつあることに気づい

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    Iron-9 2007/07/27
  • ブログ衰退論 - 深町秋生の序二段日記

    ブログの世界はこれからどんどんつまらなくなる。 と、いきなりまたも悲観主義を披露してしまってすみません。別にネットの専門家じゃないから個人的な意見にすぎないし、こういうのは誰か言ってると思うけれど。蛙さんとか。今が爛熟期(というか若干すでに腐ってる)で、これからはゆっくりと腐敗と衰退が進行していくだろうと思っている。たぶんテレビメディアなんかと同じ運命だ。ズバリ言うわよ。 ざっくり言えば資主義の大波がブログ界に押し寄せているからだ。来はどんなことも自由に書けるはずの個人ブログが大企業の資にどんどん取りこまれていってるように見える。商品の宣伝ばかりが目立ち、(深町秋生の著書をよろしくな!)日記なんかよりも脇っちょにある商品の宣伝に費やされる言葉のほうが多かったりする。高額な紹介料ほしさに、なぜかバカ高い家電製品だのコンピューター製品ばかり語るようになっているブログもたまに見かける。ジ

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    Iron-9 2007/06/23
    "てっとり早くアクセス数を稼ぐなら、時流や流行にのってあれこれ語るのが一番であり、賞味期限がちょっとでも切れればシカトする。"
  • ウツソウと茂った森で - 深町秋生の序二段日記

    「あたしうつ病で働けなくて元気がでなくて死にたい」 といったような日記はそれこそ腐るほどあるし、文学者やライターの文章にも多い。 時にうんざりさせられるのが「お前のうつ病なんてニセモノ。おれのが物でリアルだぜ、メーン! ビッチ!」などとハードコアラッパーのように相手をディスってまで、自分の病みぶりを強調する人までいたりすることだ。日人の最低な精神性の一つとして、自分がどんだけハードコアに弱いかというのを自慢するというのがある。「弱い」と主張したほうが勝ちみたいな。たまに悩みなんかを相談すると、「そんなの大したことないじゃない! あたしなんか……」と負けじと負けっぷりを披露する人がいて、頭痛を覚えたりする。 で、うつ病関連の話というのはそれこそ石を投げれば当たるくらいに豊富だが、その逆の躁病についてはとんと語られていないような気がする。単に「病的なほどエネルギッシュ、浪費家、飽きっぽい、

    ウツソウと茂った森で - 深町秋生の序二段日記
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    Iron-9 2007/06/20
  • 東京秘境4 孤独のグルメ…… - 深町秋生の序二段日記

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    Iron-9 2007/05/09
  • 深町秋生の序二段日記

    最近、うちの近所で中学校教師が中学生に援交をせまって逮捕されるという事件が起きた。 「すごくいい先生で、これは何かの間違いだ」と近所の住人の間で署名活動を開始しようという機運さえあったのだが、叩けばいっぱい埃が教師から出てきて、ミラーマン植草先生を彷彿とさせるような余罪がぼろぼろ出てきて、住人あんぐりという愉快な結末となった。 しかしまあ最近はホント、ネットなんぞをつらつらと見ていると、この手のロリ入った犯罪に対して、「許せん! 嘆かわしい! 世も末!」とひたすら憤ったり、憂国したりする人がいるのだが、あまりに力のこもった……というかヒステリックな文章を見ると半畳を入れたくなる。というか「おめえもそっちの人じゃねえの?」なるツッコミ。やけに過剰反応を示すと怪しいなと思ってしまう。 ネタバレになるからタイトルを伏せるが、あるミステリ小説の作品に極端なゲイ嫌いの男が登場するものがある。同性愛者

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    Iron-9
    Iron-9 2006/12/06
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