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ブックマーク / natgeo.nikkeibp.co.jp (58)

  • ギザの大ピラミッド、4500年前の「建造日誌」が残っていた

    紅海のエジプト沿岸に、ワディ・エル・ジャラフという4000年以上前の古代遺跡がある。遠く海の向こうにシナイ半島を望むこの遺跡で2013年、歴史的発見がなされた。石灰岩で作られた坑道のなかで、世界最古のパピルス文書が30巻見つかったのだ。 古さもさることながら、注目すべきは書かれている内容だ。この「紅海文書」と呼ばれるものは、その昔にぎやかな港として栄えたワディ・エル・ジャラフについて明らかにしているだけでなく、クフ王の大ピラミッド建造に直接関わっていたメレルという人物の日誌も含んでいた。(参考記事:「“永遠”のギザの三大ピラミッドはどう建てた? 謎の空間も発見」) ワディ・エル・ジャラフの遺跡が最初に発見されたのは1823年。発見者の英国人旅行家で古物収集家のジョン・ガードナー・ウィルキンソンは、これをギリシャ・ローマ時代のネクロポリス(共同墓地)だと考えた。その後1950年代に、考古学好

    ギザの大ピラミッド、4500年前の「建造日誌」が残っていた
    Itisango
    Itisango 2024/06/03
  • 系外惑星に生物由来の物質か、新種の海洋惑星の可能性も濃厚に

    科学データに基づいて描かれた太陽系外惑星K2-18 bのイラスト。新たな観測により、メタンや二酸化炭素など、炭素を含む分子の存在が明らかになった。こうした気体が豊富にあることとアンモニアが少ないことは、K2-18 bの大気の下には水の海があるという仮説を補強している。(ILLUSTRATION BY NASA, CSA, ESA, J. OLMSTED (STSCI), SCIENCE: N. MADHUSUDHAN (CAMBRIDGE UNIVERSITY)) 「K2-18 b」と呼ばれる遠い惑星の大気の詳細が、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)によって行われた最近の観測で明らかになった。論文は2023年9月11日に査読前の論文を投稿するサーバー「arXiv」で公開された。 ヨーロッパの研究チームによる分析からは、大気にはメタンと二酸化炭素が豊富で、アンモニアはほとんど存在して

    系外惑星に生物由来の物質か、新種の海洋惑星の可能性も濃厚に
  • 光合成による水の分解、「最大の疑問」をついに解明、定説覆す

    植物のタンパク質にレーザーで刺激を与え、その結果起こるプロセスをX線で捉えることによって、科学者らは光合成反応に未知の段階が存在することを発見した。画像はX線で透視したハグマノキの葉。(IMAGE BY NICK VEASEY, SCIENCE PHOTO LIBRARY) 光合成は地球の生命にとって不可欠だ。生態系の基礎をになう植物は、これによって自らの栄養を得ている。しかし、光合成がどのような仕組みで行われているのかについては、まだ正確にはわかっていない。 今回、ふたつの新たな実験によって、光合成の中でも特に難しい反応のひとつである水の分解における謎の一端が明らかになった。 水の分子が分解されると、酸素が空気中に放出される。「われわれ全員が依存している、あらゆる高等生物にとって不可欠な酸素は、まさに光合成の副産物なのです」と語るのは、米ローレンス・バークレー国立研究所の化学者で、ひとつ

    光合成による水の分解、「最大の疑問」をついに解明、定説覆す
  • 第136回 目覚めに混乱や絶叫など、大人でも意外と多い「覚醒障害」

    手にスプーンを握りしめた赤ちゃんが、カレーライスを頬張りながら、目はうつろで前後に大きくゆーらゆーら。「あ、危ない」と思った直後に器に顔を突っ伏し、カレーまみれの顔で大泣き。 子どもが眠気と闘っている、そんな様子を映した動画をよく見かける。実際、子どもは大人に比べて眠気に抵抗する力が弱く、いったん眠くなると、美味しいものをべていようが、好きなおもちゃで遊んでいる最中だろうが、あっという間に寝落ちをしてしまう。大人の場合には、よほどの睡眠不足でもなければ、大事なこと、関心のある事をしている最中に不可抗力的に短時間で寝落ちしてしまうことはない。 眠気に抗しがたいのは目覚めるときも同様で、大人の場合、目覚ましが鳴れば眠気に抗して目覚めることができるが、子どもはそうはいかない。例えば、普段よりも早い時間に起きなくてはならない時、親が声をかけてもなかなか目覚めず、ボンヤリ状態のまま親が着替えを手

    第136回 目覚めに混乱や絶叫など、大人でも意外と多い「覚醒障害」
  • 生命の定義をも揺るがす代謝の「ありえない反応」、起源解明に光

    大西洋のロストシティー熱水噴出域にある高さ約30メートルのチムニー。海底の熱水噴出孔では、地球上に生命が出現する鍵となった可能性のある単純な有機分子が急速に生成している。(PHOTOGRAPH BY D. KELLEY & M. ELEND, UNIV. WASHINGTON INST. FOR EXPLORATION/URI-IAO/NOAA/THE LOST CITY SCIENCE TEAM) マルクス・ラルザー氏は、生命の起源を研究するつもりではなかった。氏は主に、細胞が養分を取り込むプロセスや、このプロセスがストレスや病気によってうまく働かなくなる仕組みを研究していた。しかし10年ほど前、英ケンブリッジ大学に在籍していた氏のチームは、まったくの偶然から衝撃的な発見をする。 ラルザー氏らは当時、「解糖系」を研究していた。解糖系とは、細胞が利用できる形やエネルギー源になるように、体内

    生命の定義をも揺るがす代謝の「ありえない反応」、起源解明に光
  • 火星で「地球では生物にしか作れない」炭素の比率が見つかる

    キュリオシティが岩石サンプルを採取した火星のゲール・クレーター。(NASA/CALTECH-JPL/MSSS) 地球以外の生命を探す科学者たちにとって、火星はますます目が離せない場所になっている。このたび、ゲール・クレーターで活動しているNASAの探査車「キュリオシティ」が、地球であれば生命の証拠とみなされる炭素を含む岩石を発見したという研究結果が発表された。 1月25日付けで学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に発表された論文によると、キュリオシティが複数の岩石サンプルを分析したところ、中に含まれていた炭素の同位体比が極端に偏っていたのだ。 同位体とは、同じ原子でも原子核に含まれる中性子の数が異なるものをさす。地球の生物は、代謝や光合成を行う際に、中性子数の少ない方、つまり軽い方の炭素を好んで利用する。そのため、軽い炭素の比率が重い炭素よりもはるかに高くなる。 ゲール・クレーター

    火星で「地球では生物にしか作れない」炭素の比率が見つかる
  • 第130回 局所睡眠:実はよく使う場所ほど深く眠っている脳

    睡眠とは何か?」 「睡眠とは眠っている状態のことだ、当たり前だろう」という声が聞こえてきそうだが、「眠っている状態」を科学的に定義できるようになったのは脳波の発見以降で、近代科学史の中でも比較的最近のことである。 現在の脳科学では睡眠は「全脳的な脳波の周波数と波形」で定義されている。しっかりと覚醒している状態から深く眠っている状態まで脳波の周波数は段階的に遅くなり 、その途中で幾つかの特徴的な波形の脳波が出現することが明らかとなった。1968年にRechtschaffenとKalesらがそれら脳波の周波数や波形の組み合わせで睡眠と覚醒の区別や睡眠の深さを判定するルールを提唱し、現在でも世界中で広く使われている。そのため、脳波で定義された現在の睡眠は脳波睡眠とも呼ぶ。詳しくは第34回「睡眠の定義とは何か?―「脳波睡眠」という考え方」で紹介したのでご興味があればお目通しいただきたい。 さて、

    第130回 局所睡眠:実はよく使う場所ほど深く眠っている脳
  • 20数億年前に地球の酸素急増の謎、1日が長くなったから? 新説

    米五大湖のひとつヒューロン湖の陥没穴「ミドルアイランド・シンクホール」を探索するダイバー。ここの微生物マットは、約20億年前の地球の海のものと似ていると見られ、今回の研究に使われた。(PHOTOGRAPH BY NOAA, THUNDER BAY NATIONAL MARINE SANCTUARY) 地球の大気には酸素がおよそ20%含まれている。多くの生命が生きていけるのはそのおかげだ。しかし、できたばかりの46億年前の地球の大気にはほとんど酸素が含まれておらず、24〜22億年前に急激に増えたことが地質学的な記録からわかっている。 その理由は、光合成を行うシアノバクテリア(藍色細菌)が海で増えたからと考えられている。だが、光合成を行う微生物はもっと前から地球に存在しており、だとしたらなぜこの時期に大量に酸素が増え始めたのかは大きな謎だった。 このたび、その謎にまつわる驚くべき新説が発表され

    20数億年前に地球の酸素急増の謎、1日が長くなったから? 新説
  • 中世の暗殺教団「アサシン」は実在したのか 通説を検証

    シリア、マサイフに残るニザール派の要塞跡。「アサシン派」との蔑称で呼ばれることもあるニザール・イスマイル派。中世、要塞化された城を拠点に活動していた。(PHOTOGRAPH BY AGEFOTOSTOCK, ALAMY) かつて中東には暗殺者の秘密集団があり、一帯を支配していた――これは事実とは違う伝説で、十字軍時代の年代記やビデオゲームのために脚色を加えて作り上げられたものだ。 一方で「Assassin(アサシン、暗殺者)」という言葉は、「ニザール・イスマイル」というイスラム教の一派に対して使われていた蔑称に由来するものだ。彼らはイスラム教シーア派から分派した秘密主義の集団で、短命だが政権を樹立した。このニザール派について、もう少し詳しく見ていこう。 ニザール派の起源は、西暦632年に起こったイスラム教最初の分裂にまでさかのぼる。預言者ムハンマドの後継としてだれがイマーム、すなわち指導者

    中世の暗殺教団「アサシン」は実在したのか 通説を検証
    Itisango
    Itisango 2020/12/31
  • カモノハシは紫外線で青緑に光る、目的は不明

    カモノハシに紫外線を照射すると、毛皮が青緑に光るという生物蛍光の特徴が発見された。写真は論文に掲載されている合成画像の一部。生物蛍光の「物」の色を再現するため、黄色のフィルターが使用されている。(PHOTOGRAPH COURTESY OF JONATHAN MARTIN/NORTHLAND COLLEGE; FROM ANICH ET AL. 2020) 「地球上で最も奇妙な動物」。そう呼べるいくつかの特徴が、カモノハシにはある。 哺乳類でありながら卵を産み、後ろ足の爪から毒を分泌する。ビーバーのような尾と、カモのようなくちばしを持ち、夜に目を閉じて泳ぎながら、くちばしで獲物を感知する。(参考記事:「カモノハシが太古から変わらない理由」) この奇妙な特徴リストに、このほど新たな項目が加わった。発光する毛皮だ。 10月15日付けで学術誌「Mammalia」に発表された論文によれば、肉眼で

    カモノハシは紫外線で青緑に光る、目的は不明
  • 生命が存在しうる星は銀河系にどれほどあるかを推定、研究

    ハビタブルゾーンにある地球サイズの惑星であることが初めて確認された、ケプラー186fの想像図。(ILLUSTRATION BY NASA AMES/JPL-CALTECH/T. PYLE) 私たちが暮らす銀河系(天の川銀河)には、地球に似た条件の惑星が3億個以上あるかもしれない。新たな研究で、銀河系内にある「太陽に似た恒星」の約半数が、ハビタブルゾーンに岩石惑星をもつとする結果が出た。ハビタブルゾーンとは、恒星と惑星からなる惑星系のうち、液体の水が存在しうる領域のことである。 「私たち全員が待ち望んでいた科学的成果です」と、今回の研究を行った米カリフォルニア大学サンタクルーズ校の天文学者ナタリー・バターリャ氏は言う。研究成果は、天文学の専門誌『Astronomical Journal』への掲載が受理された。 今回の結果は、ドレイク方程式における重要な変数の一つを与えてくれる。1961年に私

    生命が存在しうる星は銀河系にどれほどあるかを推定、研究
  • ホモ・サピエンス誕生前夜、気候変動が激化していた、研究

    古代人類の行動が劇的に変化した生態学的な背景を探るため、研究者らはケニア、ナイロビの企業と協力して、かつて石器が発見された場所から約24km離れた古代の湖の跡を掘削した。ケニア国立博物館と地元オルドイニョ・ニョキエの人々の協力を得て長さ約140mの堆積物コアを採取。時間にすると約100万年分の歴史を取り出せたことになる。(HUMAN ORIGINS PROGRAM, SMITHSONIAN) かつて東アフリカで暮らしていた古人類は、約70万年にわたって安定した生活を送っていた。その技術と生存戦略はずっと変わらなかった。彼らは手近な石で作った単純な大型の手斧で、獲物を切り刻んだり、枝を切ったり、イモを掘ったりしていたと考えられている。 しかし今から約32万年前、ホモ・サピエンスの最古の化石とほぼ同じ時期に、人類の暮らしは大きく変化した。彼らは矢などの先に付けて使ったかもしれない、小型でとがっ

    ホモ・サピエンス誕生前夜、気候変動が激化していた、研究
  • 麻薬王がのこした「コカイン・カバ」 自然環境に貢献?

    麻薬王エスコバルのペットだったカバは、私設動物園の閉鎖後、そのまま放置され、彼の死から数十年の間に繁殖によって数を増やした。(PHOTOGRAPH BY RAUL ARBOLEDA, AFP/GETTY) 南米コロンビアで、「麻薬王」の悪名で知られたパブロ・エスコバル。彼が1993年に銃殺されたとき、コロンビア政府は、同国北西部にあったエスコバルの高級不動産を差し押さえた。敷地内には私設動物園があり、大半の動物はほかへと移されたが、エスコバルが特に気に入っていた4頭のカバだけはそのまま池に放置された。そして今、そのカバは100頭近くまで増えている。 10年ほど前から、コロンビア政府はカバの個体数を抑える方法を模索している。動物保護の専門家らは政府の方針を支持するが、一方で、カバが有害であるとの直接的な証拠がない限り、数を減らしたり、別の場所へ移したりする必要はないという意見もある。 カバが

    麻薬王がのこした「コカイン・カバ」 自然環境に貢献?
  • 第1回 「自閉症」ってなんだろう

    自閉症という言葉を多くの人が耳にしたことがあると思う。ではそれが具体的にどんな状態を意味するのかを理解している人はごくごく限られているのではないだろうか。 お子さんが自閉症と診断されている保護者は、我が子と真剣に向き合いつつ懸命に勉強するし、また、医師や支援者、当事者団体などとのつながりを通じて、イメージを固めていくこともできるだろう。しかし、直接のリンクがない人にはよく分からないままだ。 もちろん、身近な知人友人の中に、自閉症と診断されたお子さんを持つ人はいる。しかし、その場合も、先方から相談でもされないかぎり、根掘り葉掘り聞くのははばかられる。自閉症の当事者が書いた著作を読めばある程度のことは分かるが、それはあくまで書いた当人のケースだ。コミュニケーションや意思伝達の仕方が違ったり、なにかの感覚が過敏だったり、といったことは共通項としてありつつも、多様な語られ方をしており、自閉症とはこ

    第1回 「自閉症」ってなんだろう
  • 第102回 発達障害の睡眠問題、実はほぼ半数が悩む

    子供はスヤスヤとよく眠るイメージがあるが、実は大人と同様に睡眠問題に悩まされている子供が(親が)かなり多い。日の小学生にあたる就学児童を対象にした国内外の疫学調査でも、実に約4分の1の児童が何らかの睡眠問題を抱えていることが明らかになっている。その内訳も、夜型生活による睡眠不足や起床困難などいわゆる睡眠習慣の問題だけではなく、不眠症、過眠症、睡眠時無呼吸症候群、睡眠時驚愕症(夜驚)、夢中遊行(いわゆる夢遊病)など多種多様な睡眠障害がみられる。 とりわけ睡眠問題が多く見られるのは「自閉症スペクトラム障害(ASD)」や「注意欠陥多動性障害(ADHD)」などの発達障害のある子供たちであり、その頻度が50%以上に跳ね上がる。これは一般児童の約2倍にあたる高頻度である。なぜ発達障害のある児童では睡眠問題が多いのか、その理由はほとんど明らかになっていない。発達障害で機能異常が疑われている神経ネットワ

    第102回 発達障害の睡眠問題、実はほぼ半数が悩む
  • 第108回 人はなぜ夢を見て、そして忘れてしまうのか

    古来、「夢」は主に霊やお告げなど宗教的な視点から語られ、その中では夢は神や自然など外部から与えられる体験だと信じられていた。夢が自身の精神機能(精神状態)と関連して内生的に生まれる現象であることを人々に広く知らしめたのは、精神分析の創始者であり神経科学者としての素養もあったジークムント・フロイト(1856年〜1939年)である。フロイトによれば夢は抑圧された願望の無意識的な発露であり、その暗示を読み解き、抑圧から解放することで、人も自覚しないストレスに起因する種々の心身症状が治癒し得る(ケースがある)ことを示した。 その後の脳科学の進歩につれて、夢の解釈(夢判断)による治療は科学的根拠に乏しいという批判が高まり、汎用性(多くの患者に効果がある)や再現性(同じ治療法を行えば同等の効果が得られる)も十分に実証されていないこと、簡便な手法ではないことなどの理由から、現在の精神医療の中ではほとん

    第108回 人はなぜ夢を見て、そして忘れてしまうのか
  • 土星に20個の新衛星を発見、太陽系で最多に

    2016年10月、NASAのカッシーニ探査機が撮影した最後の土星の画像。その3年後、土星に20個の新たな衛星が発見され、合計82個となった。(PHOTOGRAPH BY NASA/JPL-CALTECH/SPACE SCIENCE INSTITUTE) 土星に20個の新たな衛星が見つかったと、天文学者が発表した。これで土星の衛星は全部で82個となり、太陽系でもっとも多く衛星を持つ惑星となった。 木星に12個の衛星が見つかり、合計79個となったのは2018年のこと。今回の発見で、土星にはそれを上回る数の衛星があることがわかった。(参考記事:「木星に12個の新衛星、1個は「幹線道路を逆走」」) 新たに見つかった小さな衛星たちは、初期の太陽系で起こった数多くの衝突について理解する助けになるかもしれない。今後の木星や土星の探査において、接近観測するターゲットの天体になる可能性もある。 「これらの衛

    土星に20個の新衛星を発見、太陽系で最多に
  • ハリケーン撃退法、珍案は核爆弾だけではなかった

    2018年9月12日午前、国際宇宙ステーションの外に設置されたカメラが、大西洋上空を進む巨大なハリケーン・フローレンスを撮影した。熱帯低気圧を鎮めるために、科学者たちは過去50年間試行錯誤を繰り返してきた。(PHOTOGRAPH COURTESY NASA) 核爆弾を打ち込んでハリケーンを破壊できないか。60年前に提唱された荒唐無稽なこのアイディアが、再び注目を集めている。トランプ大統領が、国家安全保障の顧問へ提案したと報じられたのだ。後に大統領は報道を否定したが、こんなことを言い出したのはトランプ氏が初めてではない。これまでも、ハリケーンを阻むために様々な珍案が提唱されてきた。 今でこそ科学界では異端扱いされているハリケーン撃退法だが、1960年代から1970年代にかけては盛んに研究されていたと、米コロラド州立大学のハリケーン専門家フィル・クロッツバック氏は言う。米国政府は何年もかけて、

    ハリケーン撃退法、珍案は核爆弾だけではなかった
  • 「アマゾンは地球の酸素の20%を生産」は誤り

    ブラジル、ロンドニア州ポルトベーリョ近くのアマゾンの航空写真。2019年8月21日に撮影。(PHOTOGRAPH BY UESLEI MARCELINO/REUTERS) アマゾンで猛威を振るう森林火災のニュースが先週から世界中を駆け巡っている。だが、アマゾンの熱帯雨林の重要性を伝える際に、誤解を招く主張が何度も繰り返された。それは、地球の酸素の20%をアマゾンが生み出しているというものだ。 この主張は米CNN、米ABCニュース、英スカイニュースなどの報道で取り上げられたほか、フランスのマクロン大統領や、米上院議員で2020年の大統領選に出馬表明しているカマラ・ハリス氏、俳優で環境保護活動家でもあるレオナルド・ディカプリオ氏など、政治家や著名人のSNSでも散見された。また、アマゾンの森林は「地球の肺」という表現も、同じようによく使われている。 アマゾンの火災によって世界の酸素供給が危機にさ

    「アマゾンは地球の酸素の20%を生産」は誤り
  • ブラックホールが中性子星を食らう瞬間、初観測か

    中性子星をのみ込むブラックホールの想像図。中性子星はブラックホールの周囲を回りながら、ブラックホールの強大な重力によって粉々に砕かれる。これは潮汐破壊現象と呼ばれる。(ILLUSTRATION BY DANA BERRY, NASA) およそ9億年前、あるブラックホールが、宇宙全体に反響するほど大きなげっぷをした。そして8月14日、このときに引き起こされた時空のさざ波が地球を通り過ぎた。これはかつて観測されたことのないタイプの衝突の証拠であり、宇宙の仕組みについて新たな知見をもたらしてくれる可能性がある。 今回観測された現象は「S190814bv」と名付けられており、ブラックホールと中性子星の合体によって引き起こされたと見られている。ブラックホールと中性子星は、どちらも星が爆発した後に残される超高密度の天体だ。ブラックホールと中性子星が連星になることは以前より予想されていたが、さまざまな望

    ブラックホールが中性子星を食らう瞬間、初観測か