イラク戦争がはじまったとき、私は高校生だった。ニューヨークにある世界貿易センターにテロリストをのせた飛行機が突っ込んだときから、父親は「これは戦争になる」と断言していたし、アメリカという大国がなにかを決断したなら、それは誰にも止められないんだろうと思った やがてイラクで3名の日本人が人質になったことをニュースで知った。テレビでは「なんでそんな危険なところに行ったんだ」という自己責任論が吹き荒れていた。人質になったうちの一人だった今井紀明さんは、私の友人の友人の友人、くらいの距離にいる人だった。その頃、私は学校でロックバンドを組んでいたのだけれど、そのボーカルから深夜にチェーンメールが送られてきた。「今井くんを助けるために、小泉純一郎首相(当時)にみんなで手紙を書こう」。そう書かれた文面をみて、私は「そんなことしても、意味なくね」とだけ返信した。しばらくすると、彼女から再びメールが届いた。「
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