石川県加賀市が6月の議会で、「お腹の赤ちゃんを大切にする加賀市生命尊重の日条例」を制定した。「お腹の赤ちゃんを社会の大切な一員として迎える」のが条例の趣旨である。なぜ「生命尊重の日」が7月13日か? 堕胎罪の例外規定として人工妊娠中絶を許可した旧優生保護法(現、母体保護法)の公布日だからである。 生命尊重、優生保護法と聞けば、ピンとくる人も多いだろう。「生命尊重」は海外でも日本でも、中絶に反対する勢力が使ってきた言葉だ。アメリカではプロ・ライフ(生命尊重=中絶禁止派)とプロ・チョイス(選択派)が激しく対立し、前者であるトランプ大統領になってから、中絶規制がますます強まっている。 日本でも1982年、旧優生保護法の中絶許可条件から経済的理由を削除しようとしたのは「生命尊重国会議員連盟」だった。また、82年来日したマザー・テレサの「日本は美しい国だが、中絶が多く、心の貧しい国だ」という言葉をき