小説に関するJohnRTylorのブックマーク (8)

  • アイデンティティが問われ続ける極上のチェンジリング・ファンタジィ──『カッコーの歌』 - 基本読書

    カッコーの歌 作者: フランシス・ハーディング,児玉敦子出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2019/01/21メディア: 単行この商品を含むブログを見る嘘をつけばつくほど、真実を宿した大きな実をつけるという「嘘の木」をめぐる傑作歴史ミステリ『嘘の木』の著者フランシス・ハーディングの最新邦訳がこの『カッコーの歌』である。いやー、期待していたけど今回もめちゃくちゃおもしろい! 書名にカッコーと入っているように、問題を抱えながらも平穏に暮らしていた一家の元へ、取り替え子的にやってきてしまった一人の少女=人形の物語である。読み進めるたびに自分はいったい誰なのかとアイデンティティが問われ、新たな名前を、人生を得るために奮闘していく。それを取り巻く文体と超常現象の数々はページをめくる手が止まるほど美しく、描写に耽溺させてくれる極上のファンタジィだ。 舞台とか 舞台は1920年、依然として戦争

    アイデンティティが問われ続ける極上のチェンジリング・ファンタジィ──『カッコーの歌』 - 基本読書
  • マジのアメリカ合衆国元大統領が書いたサイバー・サスペンス──『大統領失踪』 - 基本読書

    大統領失踪 上巻 作者: ビルクリントン,ジェイムズパタースン,越前敏弥,久野郁子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/12/05メディア: 単行この商品を含むブログを見る大統領失踪 下巻 作者: ビルクリントン,ジェイムズパタースン,越前敏弥,久野郁子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/12/05メディア: 単行この商品を含むブログを見るビル・クリントンといえばアメリカ合衆国元大統領だが、そんな彼がベストセラー作家のジェイムズ・パタースンと組んで、エンタメ、それもガチのアメリカ合衆国大統領を主人公に書いたエンタメ小説がこの『大統領失踪』だ。その書名の通りに(原題:the president is missing)大統領が失踪しちゃう話なのだが、それは米国を悪夢的なサイバー攻撃から守ることと関連していて──と、側近の部下すらも信用できない状況下で英雄的な活動をする

    マジのアメリカ合衆国元大統領が書いたサイバー・サスペンス──『大統領失踪』 - 基本読書
  • 人間に子供が産まれなくなった未来を描き出す、森博嗣によるSFシリーズ、ついに完結!──Wシリーズ - 基本読書

    人間のように泣いたのか? Did She Cry Humanly? (講談社タイガ) 作者:森 博嗣発売日: 2018/10/24メディア: 文庫森博嗣による、人間による子供がほとんど生まれなくなり、人工知能などの電子知性が人間を遥かに上回る能力を発揮しはじめたばかりの状況を研究者の視点で描き出すWシリーズが先日出た第十作目『人間のように泣いたのか?』でついに完結。 この記事では完結ということでざっくりシリーズへの総評的なものをして置こうと思うが、まずなにをおいても素晴らしいSF作品であったというところは最初に書いておきたいところだ。特に、高度な人工知能、ロボットが当たり前に存在し、人々の寿命が飛躍的に世界はどのような社会をとるのか──意思決定、政治の在り方・戦争、研究手法などなど──といった描写は、10作ものシリーズ物であるから世界各地の細かい部分まで含めて描かれ、議論されており素晴らし

    人間に子供が産まれなくなった未来を描き出す、森博嗣によるSFシリーズ、ついに完結!──Wシリーズ - 基本読書
  • 世界中の女に電撃を放つ力が宿ち、女が男を支配するようになった世界──『パワー』 - 基本読書

    ある日を境に、女性に強力な電撃を放つ力が宿ち、それまで支配されてきた女たちが男たちを支配する社会が生まれた──! と、設定だけ聞くと無茶苦茶な小説がナオミ・オルダーマンによる書『パワー』である。女性作家に与えられるベイリーズ賞を受賞し、エマ・ワトソンが自身のフェミニストブッククラブの推薦図書に選ぶなど、フェミニスト的な観点の評価があるのは当然だが、新たな新秩序が乱立し終末的状況へと向かっていくディストピア小説、SF作品としてなかなかおもしろい。 まあ、会話文も描写も、複数人を主人公として進んでいく構成も冗長でウンザリさせられたのはちと残念だが、男性が自身が道を一人で歩いていて、レイプされた後に殺されてしまうような事態を心配しなくてはならない状況など、いろいろな形で「これまで男性が女性にしてきたことが、電撃の力を持った女性によってやり返されていく」展開に、ぞっとさせられながらも惹きつけられ

    世界中の女に電撃を放つ力が宿ち、女が男を支配するようになった世界──『パワー』 - 基本読書
  • この本がすごい!2018年上半期 - これからも君と話をしよう

    忙しさと読書量ってあまり比例しないのかも、と最近思います。どちらかというと忙しさそのものよりも、「精神的な余裕の有無」が大きいような。 さて、7月恒例の「上半期読んで良かったランキング」、今回も行いたいと思います! 「2018年に発売された」ではなく、この時期に「私が読んだ」なので、古いが入ることもあるかもしれません。 はてなブログでも、今週のお題は「2018年上半期」だそうですね。 では、いってみましょう! 10位 アスピーガールの心と体を守る性のルール アスピーガールの心と体を守る性のルール 作者: デビ・ブラウン,志村貴子,村山光子,吉野智子 出版社/メーカー: 東洋館出版社 発売日: 2017/04/06 メディア: 単行 この商品を含むブログを見る Facebookで友人が紹介していて知った。「アスピーガール」とは、アスペルガーの女性のことを指す著者の造語。「発達障害

    この本がすごい!2018年上半期 - これからも君と話をしよう
  • 食に関して言えば、貧乏人の方が幸せかも(何食べても美味い) - 自由ネコ

    いや~、よかった!貧乏人で! ぶっちゃけ、何っても「美味い」んだよね~。 ホントに、何っても「うめー!」ってなる。 幼少期からイイものばっかりってた人の中には、一般的な事じゃ満足できない人もいるらしいけど、それって、一周まわって…逆に不幸じゃね? 「何をべても美味しい。感動!」こんなしあわせ、あるかっつーの!ビバ!貧乏! 例えばさ、ものすごい金持ちの家に生まれてさ。 毎日毎日、高級材ばっかりって育ってさ。 そうやって、舌が肥えて肥えて、肥えまくっちゃった場合、それってむしろ、悲劇なんじゃないか?って気がするんだよね~。 舌が貴族並みに発達してしまうと、味に対するハードルが高くなりすぎて、通常の事が「合格点」を超えてこない。 そうすると、人生の中で「わー!この料理おいしい!」って感動する回数が少なくなるわけでしょ。 例えば、職場の同僚が旅行から帰ってきて、お土産のお菓子を配っ

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  • 「心臓を貫かれて」を読んでおこがましいけれど片親家庭の悲劇をおもった - まだロックが好き

    エミール・シオランという毛唐が「生誕の災厄」というを出版したのがいつかは知らないけれども、その内容はとんでもない中二病感に満ち満ちており、あぁこれを多感な青春時代に読んでいたら、まともな人生を送っていなかっただろうな、とおもったことがある。いまもじゅうぶんまともな人生ではないけれども。 生誕の災厄 作者: E.M.シオラン,出口裕弘 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店 発売日: 1976/02/01 メディア: 単行 購入: 2人 クリック: 11回 この商品を含むブログ (11件) を見る そんな「生誕の災厄」のテーマは、いうなれば「人生の最大の不幸は生まれたおちてきたことだ」である。とんでもねぇ不届き発言である。それ母ちゃん読んだら泣くぜ? とおもいますね。 しかし「生まれてきたことが自体がもう超不幸」なんていうのも、なるほどありうるな、とおもったのはマイケル・ギルモア著「心臓を貫か

    「心臓を貫かれて」を読んでおこがましいけれど片親家庭の悲劇をおもった - まだロックが好き
  • 〈水なし洪水〉が押し寄せた人類の終末を描く──『洪水の年』 - 基本読書

    洪水の年(上) 作者: マーガレット・アトウッド,佐藤アヤ子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2018/09/22メディア: 単行この商品を含むブログを見る洪水の年(下) 作者: マーガレット・アトウッド,佐藤アヤ子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2018/09/22メディア: 単行この商品を含むブログを見る『侍女の物語』のマーガレット・アトウッドの最新邦訳である。作品としては〈マッドアダムの物語〉三部作の『オリクスとクレイク』に続く第二部目だが、世界観と一部登場人物が共通しているが話としては独立しているのでここから読み始めてぜんぜんOK。〈水なし洪水〉と呼ばれる何らかの感染症によって人類の多くが亡くなってしまった後の世界をタフでハードに生き抜いていく、二人の女性の物語だ。 詩的でリズミカルな文体は驚異的に読みやすいうえに癖になり、二人の女性が、この滅亡一歩手前の世界がこの先

    〈水なし洪水〉が押し寄せた人類の終末を描く──『洪水の年』 - 基本読書
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