【書評】『父の戒名をつけてみました』/朝山実/中央公論新社/1575円 【評者】鳥海美奈子(ジャーナリスト) * * * 家族が亡くなったとき、多くの人はお寺に払う葬儀費用が高額なことに驚く。お布施に加えて、戒名料も「お気持ち」で渡さなければならない。しかし、初めてであれば相場も段取りもわからないのが一般的だ。不満や疑問を抱えつつも、葬儀社や檀那寺に言われるままに物事を進める人が大半なのではないだろうか。 著者は父の訃報に接し、戒名を自分でつけてみようと考える。本書はそんな出来心が引き起こした、父の葬儀にまつわる1年半の体験を綴ったルポルタージュである。 父は日頃から、「葬式なんかいらん」と断言していた。実家へ向かう新幹線のなかで生前の姿を想いつつ、戒名を決める。きょうだいと話し合い、喪主となった著者は家族葬を行うことにした。それ以外にも、多くの決断を迫られる。父を預けていた介護施設から家
このページは、酒井泰斗プロデュースによる紀伊國屋書店ブックフェア 実践学探訪──概念分析の社会学(エスノメソドロジー)からはじめる書棚散策 をご紹介するものです。このブックフェアは、勁草書房の企画協力を得て、紀伊國屋書店新宿本店三階にて2014年3月17日から二ヶ月ほど開催されました。フェアについては紀伊國屋書店、勁草書房の特設ページをご覧ください: 紀伊國屋書店 新宿本店 勁草書房 趣旨文にも記したとおり、この選書は──「エスノメソドロジーの紹介・入門」ではなく── 「ハイブリッド・スタディーズ」を標榜するエスノメソドロジーの研究方針と成果を、ジャンルに拘らずに書棚を散策する読書人たちにも利用してもらおう という狙いのもとで おこないました。また、このページに掲載している書籍紹介文は、フェア開催時に店舗にて配布したものです。 2014年5月21日 追記 新宿本店でのフェアへ たくさんの方
このたび、偕成社から刊行している書籍のなかから、子どものからだとさまざまな「障がい」について理解を深める本のリストを作成いたしました。 医療技術の進歩や社会環境の変化で、子どもたちの生活ばかりでなくからだや心をとりまく状況も多様で複雑になっています。 病気やさまざまな「障がい」について広く知り、理解を深めることは、物理的にも精神的にもバリア(障壁)となっているものや、偏見をなくしていくことにつながるのではないでしょうか。 そういった理解を広げていく本の存在を知っていただくためにリストを作りました。 リストのPDFは、下記の「関連リンク」よりダウンロードいただけます。また、書店・学校関係者の方へ > ダウンロードのページからも常時ダウンロードいただけます。どうぞご活用下さい。
★障害学は、何のために、どのようなものとして存在する(べき)か──その基本的な問いへの応答はあまりにも深められていない!! 川越敏司、川島聡、星加良司【編】 障害学のリハビリテーション ──障害の社会モデルその射程と限界 A5判並製 192頁 定価2000円(税別) ISBN4-86500-013-9 (書影拡大) 障害学にとっての基礎的な視点である「社会モデル」の分析を手掛かりに、「当事者性」「実践性」「学術的厳密性」の間の緊張関係に正面から向き合い、開かれた討議を通じて「学」として自己を鍛え、潜んでいるポテンシャルを引き出そうとする問題提起の書。 【目次】 序 章 障害学の「リハビリテーション」という企て 川島聡・星加良司 1 障害学の今 2 本書の狙い 第1部 基調論文とコメント──社会モデルの分析と障害学への処方 第1章 社会モデルの分岐点──実践性は諸刃の剣
貧者を愛する者―古代末期におけるキリスト教的慈善の誕生 作者: ピーターブラウン,Peter Brown,戸田聡出版社/メーカー: 慶應義塾大学出版会発売日: 2012/04/01メディア: 単行本 クリック: 15回この商品を含むブログ (8件) を見る ピーター・ブラウン『貧者を愛する者 古代末期におけるキリスト教的慈善の誕生』戸田聡訳、慶應義塾大学出版会、2012年、1–80ページ。 実際、ユダヤ教徒が誰一人として物乞いをせず、かの不敬なるガリラヤ人が自分たちの貧者だけでなく私たちの貧者をも支援しているのに、私たちの民が私たちからの援助なしでいるのを万人が目の当たりにするのは、不名誉なことだ。(3ページ) ユリアヌスがこのように述べたのは362年のことでした。当時すでにキリスト教の一大特徴として、貧しい者をキリスト者であるかいなかにかかわらず援助することが認められていたことがわかりま
あるマンガがなんだか話題になっていたので、週刊少年マガジンを買った。マンガ雑誌を買ったのは、たぶん15年ぶりぐらいだ。全部で480ページぐらいあるのに260円という価格に少し驚くぐらいのごぶさた。 今週のマガジンの読み切り『聲の形』がとにかくすごい作品だった http://blog.livedoor.jp/goldennews/archives/51766845.html 4月、小学校にひとりの女の子(西宮硝子)が転入してくる。担任の教師から自己紹介を促された彼女は、無言のまま一冊のノートを取り出して、クラスメイトたちに見えるようにページをめくっていく。ノートにはこう書かれている。 「はじめまして。西宮硝子といいます。」 「わたしは皆さんとこのノートを通して仲良くなりたいと思っています。」 「どうかわたしと話すときはこのノートにおねがいします。」 「耳が聞こえません。」 西宮は、困ったこと
12<< 12345678910111213141516171819202122232425262728293031>>02 さて毎年年末に発表してました本企画、 今年はやや遅れての発表でございます。 期待していた方、お待たせしました! 2012年度、全3誌のランキングに全てランクインしたマンガを一挙紹介! いやはや年々マンガを読む時間が減ってきてしまい 今回から対象作品を全て読み込んでレビューする出来なくなってしまいました。 これまでは何とか出来ていただけに無念。 ただ時間的にこれ以上取る事が出来ないのでやや不完全な形にはなりますが公開致します。 いつもの通り対象となる3誌は以下の通り。 「このマンガがすごい! 2013」…一般からマニア向けまで幅広い選出 「THE BEST MANGA 2013 このマンガを読め!」…基本マニア好みの作品が多く選出 「オトナファミ 2013年 2月号
映画「ALWAYS三丁目の夕日」が公開されて以降、昔を懐かしむ声をよく聞くようになった。社会学者の宮台真司などは「当時ってあんなに町並み綺麗じゃないだろ。ドブくさくてたまらないだろ」と突っ込みをひたすら入れ続けているが、ノスタルジーに浸りたい人びとは意外と多いのだろう。05年に一作目が公開されて以降、人気は根強く今年初頭には第三作目が封切られた。高齢者の方が過ぎ去りし日を懐かしむのはまだ理解できるが、この映画関連のテレビ番組で「昭和30年代に生まれたかった」と二十歳ぐらいの若者が答えていた。椅子から転げ落ちそうになるとはこういうことを言うのか。周りにそのような方がいたら是非この本を渡して欲しい。表紙からして萎えるはずだ。ページを捲れば恐ろしすぎて「現代が大好きです」と背筋を伸ばして答えるに違いない。 少年犯罪、女性の自殺者数、感染症の死者数、寄生虫の感染率など約100のテーマを見開きで1テ
自分は「実証研究」と呼ばれるものがあまり好きではない。対人援助分野に関して言えば、多くが「およそ現場でわかっている」ことを再確認するか、現場の感覚であれば当然のごとく「変数」としてリサーチデザインに組み込まれるべきものが抜け落ちているのを見てがっかりするかのいずれかに終わることが多いからである。 しかし、この本は違った。ものすごい本である。 障害のある乳幼児と母親たち―その変容プロセス 作者: 一瀬早百合出版社/メーカー: 生活書院発売日: 2012/06メディア: 単行本購入: 56人 クリック: 3,846回この商品を含むブログ (7件) を見る 単純に言ってしまえば、既存の障害受容研究の「大ざっぱさ」をばんばん指摘して、ツッコミを入れ難いぐらいに研究対象の絞り込みと重層的な調査分析をして、障害児の母親の変容プロセスを追ったものである。障害児の親に関する実証研究で、これだけ方法論的に洗
新崎盛暉 著 ●四六判 160頁 ●2012年6月14日発行 ●本体価格1300円 ●ISBN 978-4-87498-483-3 沖縄が本土へ復帰してから2012年5月15日で40年。 いまだ在日米軍基地(専用施設)の74%が沖縄に集中。 普天間基地も動く気配すらない。 5月9日、奇しくも沖縄タイムスと朝日新聞、琉球新報と毎日新聞がそれぞれ共同世論調査の結果を掲載しました。 前者の調査では、「沖縄は差別されているか」の問いに、沖縄ではそう思うが50%、本土では29%。 後者では沖縄69%、本土33%とどちらも同じような結果を示しました。 県民の意思に反して、なぜ、沖縄の米軍基地はなくならないのか? 本書では、その構造的沖縄差別がどのように作られてきたのかを米軍基地と沖縄県民の闘いの歴史を通し、検証しています。 沖縄現代史のパイオニア、沖縄闘争の伴奏者、新崎盛暉が
政府(国家戦略室エネルギー・環境会議)が2030年のエネルギーをどんなデザインにするか国民に聞いている。8月12日までパブコメを受け付けている。 http://www.npu.go.jp/policy/policy09/archive01.html お前らも当然出すよな。 で、実際、どうすんだ、と。 出口をどうするの? 官邸前での「原発なくせ」「再稼働反対」の抗議行動が広がっている。「あれは少数派だ」という意見があるけど、「原発の即時廃止」という点では確かに少数かもしれない。しかし、「原発ゼロ」というのを「原発の即時廃止派だけでなく段階的廃止・将来はなくしていく人も含む」というふうにまとめると明らかに多数派になる(あそこにいる人のうち、どれくらいがそのニュアンスを含んでいるかは別の話だ)。 ぼくら左翼や、運動をしている人間は、たしかにいま「原発なくせ」「再稼働反対」で盛り上がっているけども
軽度のADHD(ASDは人生経験の中で克服)のものです。 本シリーズを読むと自分の発達障害は成長と共に治せる簡単なものなのだと身に染みる。 著者は「軽度の発達障害」と述べているが、健常者や私にはには見えないものばかり。 共感出来る点が多くて、何度もうなづき、笑いました。定型の人も共感できる部分もあるのでは? 同時に「障害のせいでつらかったんだ…。一生懸命頑張って明るく笑ってきた人なんだ…。」と胸が締め付けられ、目頭にくる思いです。 作家さんの他の作品に興味が沸きました。 友達の彼氏寝取ったという件で悪印象を持たれた方、☆1に共感した方に伝えたいのは「セックスに夢持ちすぎ」 あなた達の価値観では強姦は罪じゃないんでしょうね。 夜這いしに来た友達の彼氏、通報しなかったなんて✕華さんはお人好し過ぎだと思う。 定型発達なら私達発達障害より共感性高いんだから理解ください。 もっと真剣に発達障がいに理
愛とユーモアの社会運動論: 末期資本主義を生きるためにposted with amazlet at 12.05.03渡邊 太 北大路書房 売り上げランキング: 230358 Amazon.co.jp で詳細を見る 一言で言うと、社会運動論というのは一種の信仰告白なのだということが理解できた。 もはや半分以上人生を投げた身としては、このような不安を「共有」することがあまりできたとはいえない。 かつてあったカウンターカルチャーも、カルチャーなき「カウンター」として形骸化して久しい現在、この本のような「夢と希望にあふれた」運動論は、本当に必要とされているのかさえ、疑問に感じられた。 もちろん、それは私自身の「閉じた」思考からの視点であって、著者には何か別の開かれた光景が見えているのだろう。だが、私とこの本との距離は遠く感じられた。 いつだってそうなのだ。 あの震災でさえ、「たかが災害ごとき」と感
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