貧しさのため料理茶屋「橘屋」で奉公を始めた12歳のおふく。だが、彼女の両親と妹は、多額の借金のため身を隠してしまった。一人残されたおふくは、いつの日か再び家族と会えることを信じ待つことにしたのだが・・・。表題作を含む7編を収録。 7編とも、橘屋にかかわりのある人たちの話だ。どの話も心にしっとりとしみてくる。同じ料理屋で働きながら、置かれている状況や事情はさまざまだ。だがそれぞれ、ほかの人の心のうちに抱えるものなど知るよしもなく黙々と働いている。彼らは、どんなにつらくても、どんなに苦しくとも、弱音を吐かず、希望を捨てたりはしない。真っ暗な闇の中に、一筋の光を見つけようとする。そのひたむきな姿には、心打たれるものがある。心の中にほんのりと灯がともり、ほわっとしたぬくもりが感じられる。そんな感じの作品だった。
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