始まりは高校3年生の男の子の行方不明事件だった。その後次々に起こる事件。カギを握る木村浅葱の心に潜むものは?また、ゲーム感覚の殺人事件に隠された驚愕の秘密とは? 「i」という謎の人物。その人物と会うことを切に望む木村浅葱。会うために続けられる残酷なゲームの犠牲になる人たち。その内容はあまりにも衝撃的で、読んでいてつらくなるほどだった。「ここまでしなけらばならないのか・・・。」浅葱が持つ異常さには言葉もない。だが、同情する余地などないはずなのに、彼の心のうちを知れば知るほど切ない気持ちにさせられていく。彼の生い立ちも哀れだ。心を通い合わせていたはずの狐塚孝太や月子と、浅葱との関係も切ない。だが、切ないばかりではない。ラストに待っていた真実には驚かされた。 ストーリーが立体的に組み立てられ、登場人物の描写もていねいで、文庫本上下あわせて1000ページの大作だが長さをまったく感じなかった。幅も深