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ブックマーク / yukorin.info (32)

  • のほ本♪: 子どもたちは夜と遊ぶ(辻村深月)

    始まりは高校3年生の男の子の行方不明事件だった。その後次々に起こる事件。カギを握る木村浅葱の心に潜むものは?また、ゲーム感覚の殺人事件に隠された驚愕の秘密とは? 「i」という謎の人物。その人物と会うことを切に望む木村浅葱。会うために続けられる残酷なゲームの犠牲になる人たち。その内容はあまりにも衝撃的で、読んでいてつらくなるほどだった。「ここまでしなけらばならないのか・・・。」浅葱が持つ異常さには言葉もない。だが、同情する余地などないはずなのに、彼の心のうちを知れば知るほど切ない気持ちにさせられていく。彼の生い立ちも哀れだ。心を通い合わせていたはずの狐塚孝太や月子と、浅葱との関係も切ない。だが、切ないばかりではない。ラストに待っていた真実には驚かされた。 ストーリーが立体的に組み立てられ、登場人物の描写もていねいで、文庫上下あわせて1000ページの大作だが長さをまったく感じなかった。幅も深

  • のほ本♪: 4TEEN(石田衣良)

    ナオト、ダイ、ジュン、テツローの4人は、14歳で中学2年生。 「病気のこと、恋愛のこと、家族のことなど、いろいろ考えることはあるけれど、4人一緒なら何とかなるさ!」 そんな彼らの、喜び、悲しみ、悩み、苦しみを、あざやかに描いた青春小説。直木賞受賞作品。 「未来がきらきら光り輝いて自分たちを待っている。」そんなふうに考えている時期が誰にでもあると思う。14歳の4人の少年たちも、そんなふうに考えているのではないだろうか。ナオトの病気は深刻なものがあるけれど、彼らはくよくよ考えない。常にまっすぐ前を向いて進んで行こうとしている。その姿は、とても純粋で一途だ。今どきこんな中学生は現実にはいないと思うが、この作品を読んでいると、いたらいいなとか、いてほしいと思ってしまう。読みやすく、さわやかさを感じさせる作品だった。

  • のほ本♪: 空の中(有川浩)

    国産飛行機のテスト飛行での事故。自衛隊機の事故。このふたつに関連はあるのか?調査が進められていく。一方、父の操縦する自衛隊機が事故を起こしたことを知らず、息子の斉木瞬は父が通るであろう区域の海岸にいた。そしてそこで不思議な物体を見つける。飛行機事故と不思議な物体。何の関係もないように見えたふたつがつながるとき、人々は今まで体験したことのない危機に見舞われる・・・。 突然、自分にとって大切な、かけがえのない人を喪ってしまったら?心を襲うのはすさまじい悲しみと、喪失感と、そして後悔なのではないだろうか?「悔やんでも悔やみきれない」その思いが遺された者の心に血を流させる。作者の、苦悩する登場人物たちの描き方がとてもいい。彼らの心の動きが読み手にも伝わってくる。また、「白鯨」と名づけられた謎の生物体と、白鯨と人間との仲介役の高巳の会話が絶妙だった。しだいに言葉を覚え人間という生き物を理解していく

  • のほ本♪: 愛しの座敷わらし(荻原浩)

    東京から田舎へ引っ越すことになった高橋家。一家の主人晃一が選んだ家は古民家!!その古民家で起こる不思議なできごとの数々は、座敷わらしのしわざだった・・・。バラバラになりかけた高橋家は座敷わらしとのふれあいを通して、いつしか家族の絆を取り戻していく。 読んでいる途中で、必要以上の描写にダラダラとした感じを抱いたが、それを補って余りある内容だった。家族の心がバラバラになりかけていたときに現れた座敷わらし。晃一・史子夫、娘の梓美、息子の智也、そして晃一の母澄代。それぞれの抱える問題は、いつしか和らいでいく。座敷わらしは福をもたらすと言われているが、福をもたらすのではなく、身近にありすぎて気づかない幸福に気づかせてくれる存在なのではないかと思う。高橋家の人たちもそれに気づいたとき、再び家族の絆を取り戻す。「私たちは、大切なものを犠牲にしたリ、失くしたり、忘れたりしながら毎日の生活を送っている。」

  • のほ本♪: 闇の花道(浅田次郎)

    一人の老人が雑居房にやってきた。その老人は六尺四方にしか聞こえないという不思議な語り口・・・「闇がたり」で、若かしり頃のできごとを語り始めた。聞く者全てをとりこにするその話とは?「天切り松 闇がたり」シリーズ1。 夜盗の声音「闇がたり」で語られるのは、不思議な老人松蔵のはるか昔の物語。母を病気で失った後、父により姉は遊郭に売られ、おのれ自身は盗賊の親分に弟子入りさせられた。だがこの盗人集団には、義理も人情もある。ぴしっと1筋も通っている。その潔い生き方には、ほれぼれとさせらる。安吉、おこん、栄治、寅弥、常次郎、どの人物も魅力的だ。そして人の心の痛みが分かる情け深い人たちだ。松蔵と彼らの間にある信頼関係は、読んでいてほのぼのとしたものを感じさせる。彼らは、松蔵の姉のためにも一肌脱ぐ。ラストの、松蔵に背負われた姉の描写は、胸に迫るものがあった。浅田次郎らしい作品だと思う。

  • のほ本♪: 覆面作家は二人いる(北村薫)

    「岡部君、早速、お宅にうかがいなさい。」 「推理世界」編集部に送られてきた原稿に興味を示した左近先輩の命を受け、岡部良介は作者新千秋の自宅を訪ねることにした。そこで待っていた驚愕の事実とは!?覆面作家シリーズ第1弾。 かなりの美貌の持ち主で、その上大金持ちの令嬢。新千秋の人物像はかなり個性的だ。しかも、内と外では性格ががらりと変わるというユニークさ♪だが、少々気の弱そうな良介とのコンビは絶妙だ。二人は、事件の謎を次々と解き明かしていく。事件の中にはシリアスなものもあるが、どこか救いがあり読んでいてほっとする。心に重くのしかかってこないのが心地よい。良介の双子の兄弟優介(警視庁の刑事!)の存在も見逃せない。この作品にいい味を加えている。良介と千秋、この二人の関係はこれからどうなるのか?こちらも見逃せないところだ。第2弾を読むのが楽しみだ。

  • のほ本♪: 本からはじまる物語(恩田陸他)

    いろいろな作家の方たちが屋さんをテーマに、個性豊かに描いた18作品を収録。 有名作家の競演。しかもにまつわる話ということで、好きの私とってはたまらない作品だった。屋さんをテーマに、ファンタジックに、時にはミステリアスに、そして時には甘く、やさしく、切なく・・・。特に印象に残ったのは、内容によりさまざまな性格を持つが飛び回る様子を描いた恩田陸さんの「飛び出す、絵」と、に対する切ない思いを描いた多孝好さんの「十一月の約束」の二つだ。そのほかの作品も、味があって面白い。「次はどんな話だろう?」読むのは、まるで宝箱の中からひとつひとつ宝物を取り出すような気持ちだった。それぞれの作家のに対する思いも、読み手の心に伝わってくる。が好きな方、一読の価値あり♪

  • のほ本♪: 愚者のエンドロール(米澤穂信)

    文化祭のために作られていた自主映画が、脚を書いていた少女が倒れたため中断してしまった。廃屋の密室で殺されていた少年・・・。映画はそこで終わっていた。これからの展開は?密室の謎は?犯人は?映画を完成させるため、奉太郎たち古典部の面々が立ち上がった。はたしてその結末は?古典部シリーズ第2弾。 事件が起こったまでしか作られていない映画。密室の謎も犯人も不明。しかも、脚を書いていた少女からは何も聞き出せない。奉太郎たちはさまざまな人たちから聞いた話をもとに、結末を推理していく。自分も謎解きに参加しているようで、読んでいて楽しかった。起こった出来事を検分し、そこから何を判断し、どう推理するのか?しだいに明らかになっていく真相。構成力がとてもいい。読み手は、謎解きの醍醐味を存分に味わうことができる。そして、奉太郎の出した結論は・・・?最後の最後に待っていたものに、思わず「うーん。」とうなってしまっ

  • のほ本♪: 春の数えかた(日高敏隆)

    虫や植物たちはどうやって春が来たことを知るのか?自然の不思議さや、虫や植物たちの生態を、分かりやすく描いたエッセイ。 誰に教えられるわけでもないのに、春になると虫たちが行動を開始し、植物は花を咲かせる。年によって、春が早く来るときと、遅く来るときがある。その年その年の微妙な違いを、自然の中で暮らす虫や植物たちはどうやって知るのだろう。読めば読むほど不思議さを感じる。生き物たちの何気ない行動にもちゃんとした意味がある。そのことはだいぶ解明されてきたけれど、人間がどんなに研究しても、どんなに考えても、分からないことがまだまだたくさんある。読んでいて自然の神秘さを感じずにはいられない。虫はあまり好きではないけれど、たまにはじっくり観察してみるのもいいかもしれない。

    KOROPPY
    KOROPPY 2008/04/08
    エッセイ
  • のほ本♪: あなたがここにいて欲しい(中村航)

    「守れるものの総量は限られている。これからは、大切なものを自分から守りにいかなくては!」 過ぎ去った懐かしい日々のこと、友達のこと、そして愛する人のことなど、「吉田くん」を取り巻くできごとを、ほのぼのと描いた表題作を含む3編を収録。 収録されている3編の中で特に印象に残ったのは、表題作の「あなたがここにいて欲しい」だった。読んでいると、いつもよりゆっくりと時間が流れている空間に身をゆだねているような感じがした。疲れた心が癒され、温かな気持ちになってくる。吉田くんと又野君の友情、吉田くんと舞子さんのほのぼのとした恋愛に、とても好感が持てた。私は、自分にとって大切なものをきちんと守っているだろうか?そんなことも考えさせられた。とにかく、穏やかで優しい作品だった。読後もさわやかな余韻が残り、心地よかった。

  • のほ本♪: 氷菓(米澤穂信)

    姉が通っていた高校に入学した奉太郎は、旅行中の姉から古典部に入るように勧められる。そして、入部した仲間からある謎解きを依頼され、解き明かしていくことに・・・。それは次第に、33年前の謎につながっていく。古典部の文集「氷菓」に込められた思いとは?9編を収録。 私が高校の頃、新校舎の横にはまだ旧校舎の一部が残されていて、そこは文科系の部の部室として使われていた。当時のそんな様子を思い出しながら、ちょっぴり懐かしい気持ちで読んだ。 学校生活や部活動の中で起こるちょっとしたミステリアスなできごと。奉太郎は次々とその謎を解いていく。そしてそのことは、同じ部の千反田の叔父が絡む33年前に起こったあるできごとの真実を掘り起こすことになる。一人の人間の運命を狂わせたできごとは、高校時代に似たような経験をした私にとっては胸の痛くなるような話だった。ラストで明かされる「氷菓」という名前に込められた思いも、切な

  • のほ本♪: 薬指の標本(小川洋子)

    事故で薬指が欠けてしまったことが原因で職場を辞めた「わたし」が次に見つけた働き先は、標作りをするところだった。ここを訪れるさまざまな人たちは皆、思い出の品々を持ち込んでくるのだが・・・。表題作を含む2編を収録。 どんなものでも標にしてしまう弟子丸氏。そこで働く「わたし」は、いつの間にか弟子丸氏に愛情を感じてしまう。だが、彼の心が分からない。自分を見てほしい。振り向かせたい。その思いが「標」と結びついていく・・・。その過程は、読んでいてぞくぞくする。表題作「薬指の標」は、不思議な世界をのぞいているような作品だった。もうひとつの「六角形の小部屋」も独特の雰囲気だった。懺悔室のようだが、そこは単なる「語り部屋」なのだ。だが、そのひと言では片付けられないものがその部屋にはある。狭い部屋の中には別の世界が際限なく広がっているようだ。ラストに感じる喪失感が心に残る。どちらも作者の感性が光る作品

  • のほ本♪: 桜花を見た(宇江佐真理)

    母が死ぬ間際に明かした秘密。それは、英助の父が北町奉行の遠山左衛門尉景元だということだった!「父に会い、息子だと名乗りたい。」英助の願いは叶うのか?表題作を含む5編を収録。 筆屋の娘と絵師の恋を描いた「別れ雲」、北斎とその娘を描いた「酔いもせず」は、ホロリとする話だった。「夷酋列像」と「シクシピリカ」は、同じ出来事を松前藩の内側と外側から描いていて興味深かった。だが一番印象に残ったのは「桜花を見た」だった。父と息子でありながら、別々の道を歩んできた二人。会いたいと思う気持ちは同じだっただろう。英助は誰にも知られずに会うことを望んでいたが、それはなかなか果たすことのできない願いだった。だが、それは思いも寄らぬ形で実現する。そのきっかけを作った出来事、そして父と息子の生涯でただ一度の出会いの場面、その二つは読んでいて涙が出るほど心にぐっときた。人が人を思いやる心ほど感動することはない。5編どれ

  • のほ本♪: 有頂天家族(森見登美彦)

    父狸、下鴨総一郎が鍋にされこの世を去った。遺されたのは母狸と4兄弟狸。父の弟でありながら仲が悪い夷川家、落ちぶれ果てた天狗の赤玉先生、先生の思い人美女弁天・・・。個性豊かな狸、天狗、そして人間が繰り広げる奇想天外な物語。 主人公は狸。登場するものたちも、狸、天狗、そして人間と種々様々。父亡き後、4兄弟は力をあわせて宿敵夷川家と戦う・・・。繰り広げられる人間ドラマ、いや狸ドラマの展開は、読み手の想像を絶する。ハチャメチャなようだが、そこにはピシッとした一の筋が。作者の構成力の見事さがうかがえる。父総一郎が命を落としたのはなぜか?井戸の中の次男はどうなるのか?下鴨家と夷川家の争いの結末は?天狗の赤玉先生と弁天のその後は?内容はてんこ盛りだが、それらをきちっとラストでまとめ上げるのは見事!ただ面白いだけではない。狸の世界を通して描かれている温かな家族関係、親子関係、兄弟関係は感動モノ♪読後感も

  • のほ本♪: 阪急電車(有川浩)

    人生は悲喜交々。ほんのわずかな時間、電車の中で一緒になる人たち。彼らにも、それぞれの人生のドラマがあった・・・。 電車に乗り合わせた人たちの人生やちょっとした触れ合いを、ほのぼのと描いた作品。 16の短編から構成されている話だが、登場する人たちが微妙にリンクしているのが面白かった。それぞれにそれぞれの人生を抱えているのだが、電車の中で知り合った人の何気ないひと言で、その後の人生の方向を変えようとする人もいる。ある人の人生を変えた人、その人が今度は電車に乗り合わせた別の人から、思わぬアドバイスを受けることもある。人生は持ちつ持たれつ。電車という限られた空間、限られた時間の中で繰り広げられる人生ドラマ。その凝縮度がとてもいい。また、登場する人たちみんなが、前向きで生きていこうとするその姿も、とてもいい。読後もさわやかな心地よさが残る。何度でも読み返したくなる作品だ。

  • のほ本♪: 口笛吹いて(重松清)

    ジュースの自販機を売り込みに来た会社で働いていたのは、少年の頃のヒーローだった晋さんだった!懐かしさがこみ上げる小野だが、晋さんこと吉田晋一はあまり恵まれた人生をおくってはいなかった・・・。表題作「口笛吹いて」を含む5編を収録。 普通に生きていこうとするだけでも大変なときがある。何気ない日常生活の中のちょっとしたほろ苦い出来事を、作者は温かなまなざしを向けて描いている。できれば今の状況から抜け出したい・・・。そう思いながらもがき続ける人がいる。読んでいて「がんばれ!」と思わず声に出して応援したくなる。「今すぐに状況は好転しないかもしれない。でも、決してあきらめないでほしい。」そんな作者の思いもこの作品にはあふれている。切ない場面もあるけれど、読んでいると生きる力を与えられているような気がしてくるステキな1冊だった。

  • のほ本♪: 非常階段(コーネル・ウールリッチ)

    「暑くて眠れない。」 バディは非常階段に出たが、そこで衝撃的な事件を目にしてしまう。一人の男がナイフで刺し殺された!だが、うそつき少年と思われているバディの言うことを、誰ひとり信じようとはしなかった・・・。表題作「非常階段」を含む7編を収録。 7編のうち特に印象に残ったのは「ぎろちん」「眼」「非常階段」だ。「ぎろちん」では、死刑を執行される側とする側2人の男が描かれている。執行時間に間に合うように行かなければならない男だが・・・。まるで時計の針の音が聞こえてくるような迫力があった。「眼」では、動けなく声も出せない一人の女性の恐ろしい体験を生々しく描いている。何が起こるのか分かっているのに知らせる方法がない!その女性のもどかしさ、くやしさ、悲しさが、ひしひしと伝わってくる。「非常階段」では、うそつき少年バディが殺人犯に狙われ追い詰められていく様子が、すごくよかった。緊迫した状況を、作者は見事

  • のほ本♪: いっぽん桜(山本一力)

    12歳で丁稚小僧で井筒屋に入って42年。頭取番頭にまでなった長兵衛だったが、息子に家業を譲ることになったあるじから、自分と一緒に店から身を引いてくれるよう、切り出される。突然の言葉に長兵衛は・・・。表題作を含む4編を収録。 「いっぽん桜」のほかに、武士の暮らしを捨て新たな道を歩み始めた男を描いた「萩ゆれて」、人情や親子の情愛を描いた「そこに、すいかずら」、朝顔作りの職人のもとに嫁いだおなつを描いた「芒種のあさがお」が収録されている。この中で一番印象に残ったのは「いっぽん桜」だ。エリートだった人物が突然リストラされた・・・。現代でも珍しくない話だ。いつまでもエリートだったというプライドを捨てきれない長兵衛。新たな勤め先では摩擦が生じるが、人情に触れるうちにだんだんと心を開いていく。一人の男の心の揺らぎや変化を実に細やかに描いている。人の心を開かせるのは、人の心だ。どの話も心にほのぼのとした思

  • のほ本♪: クローズド・ノート(雫井脩介)

    引越し先で見つけた1冊のノート。そこに綴られていたのは、ノートの持ち主真野伊吹の心だった・・・。読み進めるうちに伊吹の心に共感した香恵は、伊吹に会ってみようと決心する。 会ったことも話したこともない女性真野伊吹。香恵は、ノートを通して伊吹の心に触れていく。その過程が読んでいてとても心地よかった。伊吹の思いはやがて香恵の心に変化をもたらす。綴られた言葉が人の心の琴線に触れ、そしてその人の人生感をも変えていく。つながる伊吹の思いと香恵の思い・・・。震えるような感動と、泣きたくなるような切なさがこの作品にはぎっしりと詰まっていた。そして、の後書きにも、もう一つの感動が!!哀しいけれど、心温まる作品だった。最後に余談だけれど・・・。私は万年筆愛用者♪小学生のときに初めて買ってもらったのをきっかけに、もう30年以上使い続けている。大好きな万年筆の話がたくさん出てきて、読んでいてうれしくなってしまっ

  • のほ本♪: ブラック・ペアン1988(海堂尊)

    東城大学医学部付属病院の研修医世良が医療現場で経験したことは?個性豊かな医師たちとの交流、医療現場の実態、佐伯教授と渡海の因縁などなど。病院内には陰謀も渦巻いて・・・。また、「ブラック・ペアン」に託された思いとは? この作品には「バチスタシリーズ」でおなじみの人物があちこちに登場する。これがけっこう楽しめるので、この作品を読む前にまず「バチスタシリーズ」を読むことをお勧めしたい。もちろんこの作品を単独のものとして扱っても、充分満足できるが。 舞台は1988年の東城大学医学部付属病院。作者が現役医師だけあって、病院内の様子や手術場面の迫力は満点だった。派閥間の争いや、医師同士の個人的な確執、手術方法をめぐる対立など、内容も盛りだくさんで読み応えがあった。また、タイトルにもなっている「ブラック・ペアン」。この存在がこの作品をより魅力のあるものにしている。ラストはちょっと衝撃的!とにかく、面白い