先日ついに夫と別れた。嫌な面は山ほどあった。私にもいたらない部分があったんだろう。 高校、大学、社会人と思春期からずっとともに過ごしてきても終わるときはあっけないものだ。 最後の会話は短かった。 「まあ……いろいろありがとな。じゃあ元気で」 それだけ残して夫は玄関を出ていった。 家の片付けはわたしがひとりでやった。台所には灰皿替わりのペットボトルとタバコ、100円ライターが残されたままだった。そういうところが本当に嫌いだった。 でもそんなタバコ一式を見ていたら思い出したことがある。 あれは高校三年の冬休みだった。まだ夫ではなく彼氏という存在だったときのことだ。 その日彼とわたしは渋谷で飲んでいた。そして店を出てふたりでブラブラしているうちになんとなく路地裏のほうへと足を向けていた。 気づくと「空室」のランプがともっているお城が目の前にあり、人目を気にしながらこそこそと入っていった。 ふたり