<< 前の記事 | トップページ | 次の記事 >> 2007年09月03日 (月)視点・論点 「中東政治の構造と日本」 東京大学教授 山内昌之 イラク戦争と、昨年のレバノン戦争は、中東の政治構図を大きく描き変えようとしている。 中東政治の新しい構造変動のなかでも重要なのは、政治の重心が地中海沿岸からペルシア湾岸地域へ移動していることである。 この重心の移動は、イラク問題と石油問題、それにアフガニスタン問題の重要性が増大した点と無関係ではない。 この結果、アメリカの戦略的関心は、サウジアラビアとイラクを軸とした湾岸地域へ大きく移動したといってもよい。 また、イランやパキスタンやアフガニスタンなど「大きな中東」の東の方から、核開発問題やテロとの戦いなどを通して、中東の政治力学を全体として地中海よりも湾岸へ引きつける力が働いている点も無視できない。 「ドバイの栄光」とも比喩されるGC