『QJ(クイック・ジャパン)・vol.81』(太田出版)の「総力特集『漫画の底力』」の「1,5000字インタビュー・浦沢直樹」より。取材・文は吉留大貴さん。 【インタビュアー:浦沢先生は漫画というものに対してどこか客観的な視点を持って接しているように感じます。 浦沢直樹:もともと漫画家になりたかったわけではないですからね。就職活動で小学館を受けて、面接のときについでに原稿を持って行ったら、たまたまの流れで漫画家になっちゃったっていうのが僕のキャリアのスタートですから。でも貧乏はしたくないし(笑)、とりあえず食ってかなきゃいけないし、かといって魂も売りたくない。そうなると職業としてどこで帳尻を合わせるかを考えるじゃないですか。そりゃ初めて印刷物になって雑誌に載ったときも嬉しくなかったと言えば嘘になるけど、「憧れが実現した!」という感じは正直なかったですね。……手塚治虫先生の『陽だまりの樹』と