著者は長嶋有。『猛スピードで母は』で芥川賞を受賞した小説家であり、ブルボン小林名義ではゲームエッセイなども執筆している奇才だ。 いくらタイトルに惹かれたとはいえ、あんまり小説を読まないわたしがなぜこの本を買ったかといえば、カバーのあらすじにこんなことが書いてあったからだ。 「真夏の山荘で、小説家コモローとその仲間たちが夢中になる独創的なゲームの数々。麻雀牌がデッドヒートを繰り広げる『ケイバ』、サイコロの目が恋人のキャラクターを決める『顔』……。無意味とも思えるいくつもの遊びが、いつもの夏を忘れ得ぬ時間に変える」 ようするにゲーム小説なのだ。ゲーム的な小説、という意味ではなくて、遊びとしてのゲームを採り上げた小説。物語の中にゲームが出てくる小説。登場人物たちがゲームで遊ぶ小説。ゲームを作ることを職業にしているわたしにとって、そういう小説なら無視できない。 主人公の名前はコモロー。コモローとそ