戦う前からこのバスはすでに敗北している。 「なんかこれ、すげー怖いんだけど」 と隣の席の少年は言った。それは具体的には劇中のある箇所の描写に関してなんだが、そこ以外でも劇場は後半、分厚い沈黙に包まれ、子供達は押し黙っていた。退屈していたのなら雑談が聴こえはじめるはずだ(他の映画でそういう経験をしている)。しかし子供達は押し黙っていた。 この映画をどんな層がどんな楽しみを求めて劇場に来ているか、ぼくは知らない。漫画はさすがに読んでいないということはないけれど、ときどき眺める程度でキャラをある程度知っているにすぎない。だから、キャラへの(事前の)思い入れもまったくないし、かくあるべし物語の方向性もない。 そういう人間にとって、この映画ははっきり言って驚いた。 「これはワンピースではない」とか「こんなものを観客はワンピースに求めていない」とかいう物言いは、押井のBDやパト2の劇場公開時にさんざん
![2005-03-21](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/06a15c64ba0ceec233d86d71001ebb29a9dcbf5d/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcdn.blog.st-hatena.com%2Fimages%2Ftheme%2Fog-image-1500.png)