エクスペリメンタル(実験的)な音楽シーンにおいて、「巨匠」と呼ぶにふさわしい地位を築くブライアン・イーノ。「アンビエントミュージック」のパイオニア的存在であり、デヴィッド・ボウイ、U2などのアルバムプロデュースや、近年ではデヴィッド・バーンとのコラボーレションアルバムなど様々なアーティストとの盛んな交流でも知られる彼が、ニューアルバムを発表した。詩人のリック・ホランドとコラボレーションを行い、「声(ボイス)の可能性」という自身の長年の疑問に対して、ぐっと近づくことができたと語る本作。曇りなき言葉の数々からは、デジタルレコーディングの進化を喜び(もちろん、アナログ文化への称賛も忘れることなく)、時には道端で偶然出会った人に朗読を依頼するなどユニークな行動へも屈託なく取り組む、己の好奇心へひたすらに突き進む音楽家の姿を垣間見ることができるだろう。 「くそくらえ…デジタルに突き進もうぜ」と言いた