大楠栄三(明治大学 法学部 教授) 社会生活全般において、“真実”を欲する姿勢が弱まっているように感じます。皆が言っているからと自分も同じ意見を口にすること、皆がやっているからと同じ振る舞いをすることへの用心や注意を欠いた人が増えているようにも見てとれます。その危険性や防止策について、スペインを代表する思想家オルテガ=イ=ガセット(1883~1955年)の論書『大衆の反逆』と、スペインの国民的作家ベニート・ペレス=ガルドス(1843~1920年)の小説『スカートをはいたドン・キホーテ』、《国史挿話》を参考に考えます。 ◇19世紀最後の30年間に始まり、今なお繰り返される“野蛮への後退” ある情報が“真実”かどうかに不安を感じることもなく、自分の意見を発信する。そればかりか、相手にレッテルを貼ることによって、自分の意見が断固正しいものとして押しつける。そういった攻撃的な態度に出る人が、ソーシ

