ふらっと暇つぶしに入り、新聞や雑誌をめくりながら一服。書斎代わりにしている作家が「いつもの席」でコーヒーを飲みつつ執筆し、タバコで頭を切り替えたという話も聞く。そこがビジネス街なら打ち合わせに使ったり、猛スピードでランチを食べ終えたサラリーマンが、時間ギリギリまで煙をくゆらせる。「コーヒーとタバコはセットで楽しんだよね」と、御茶ノ水駅からほど近い『喫茶 穂高』の粟野芳夫さんは証言する。 様相が変化したのは90年代後半。『スターバックス』『タリーズ』などいわゆるシアトル系のコーヒーチェーンが日本進出し、深煎いりのエスプレッソベースで作るカフェラテや、トッピングを追加したアレンジコーヒーが流行した。また、これらの外資系チェーンとは別軸でキャラ立ちした個人店のカフェが増加し、2000年前後、全国的なカフェブームに。好奇心旺盛な若者たちは、さらに古きよき喫茶店の魅力を再発見したいと行動範囲を広げ、

