長谷川貞夫さんは2010年、社会で活躍する障害者として埼玉県の「塙保己一賞」の大賞も受賞している 画面の数字を指でなぞると、点字を打つ要領で文字入力できる――こんなAndroidアプリがある。企画したのは、全盲の長谷川貞夫さん(76歳)。タッチパネルを採用し、物理的な文字入力キーを備えていないスマートフォンが増えるなか、「世の中にある便利なものを健常者と同じように使いたい」という思いで開発を続けている。 画面をなぞって入力 その名も「IPPITSU」(いっぴつ) IPPITSUの使用画面 点字・録音図書を出版する社会福祉法人桜雲会の理事を務めている長谷川さんは取材の冒頭、スマートフォンを取り出した。1文字当たり2~3秒のペースで「あ」「い」「う」と次々に入力していく。目が見えていないとは思えないほど軽快で、記者はあっけにとられてしまった。 長谷川さんが文字入力に使っているのは、自身が企画し