前回「『電子書籍の衝撃』の衝撃――まだ全員が分水嶺」で、iPadやKindleがもたらす電子書籍という新しいプラットフォームが、出版業界にとって大きな転換になるという話をしました。 今回のテーマを当初は、「この電子書籍をめぐる各々の関係者の視点からSWOT分析を……」と思っていたのですが、改めて出版ビジネスを数字の面から掘り起こしたら、面白い発見がありました(!)。というわけで、今回は出版ビジネスにおける損益分岐点を考えてみたいと思います。 出版は儲かるの? まず、出版ビジネスの利益構造を見てみましょう。例えば、本の売上に対するコストの比率を示したものが図1です。ご覧の通り、皆さんが1000円の本を本屋で買うと、出版社にはその70%の700円が売上として入ります。この時出版社には、売上から著者印税(一般的に売上の10%)、制作費(デザインやDTPなど)、印刷費、宣伝や倉庫の出し入れなどの販