週刊誌の発売日を指折り数えて待つことなんて久しくなかった。 発売日には文書砲そっちのけで、まずこの連載のページを開き貪り読んだ。 スポーツノンフィクションの傑作といえば、誰もが山際淳司の『江夏の21球』をあげるだろう。もちろん異論はない。ただあの作品は「永遠のマスターピース」というべき傑作だし、ぼちぼち新しく語り継がれる作品が現れてもいいのではと思っていた。 そんな時にこの連載がスタートした。たちまち引き込まれた。毎回、心震わせ、胸を熱くさせられながら読んだ。スポーツノンフィクションの傑作が生まれつつあるのを、今まさにリアリタイムで目撃しているという興奮をおぼえた。 『嫌われた監督』は、スポーツノンフィクションの歴史に新たに名を連ねる傑作である。『週刊文春』の連載をもとに新たな取材と大幅な加筆修正がなされ、連載を読んだ人もふたたびあの興奮を味わえる一冊になっている。 「嫌われた監督」とは、