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ブックマーク / traindusoir.hatenablog.jp (11)

  • 濱口桂一郎『若者と労働 「入社」の仕組みから解きほぐす』 - 備忘録

    若者と労働 「入社」の仕組みから解きほぐす (中公新書ラクレ) 作者: 濱口桂一郎出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2013/08/10メディア: 新書この商品を含むブログ (18件) を見る 書は、前著『日の雇用と労働法』に描かれた日の雇用システムに関する構図を引き継いでおり、例えば、日の雇用システムの中にある現実の慣行と労働法の建前との間には大きな齟齬があり、その間を判例による法理が埋めてきたことなどは、書でもまた詳しく論じられている。 ただし、書は随所に略図を置くなど前著よりもわかりやすく記述されている。また、法改正等の背景にある政策担当者の問題意識がよく理解できるところも、その特徴と言える。そうした改正等にまつわる話の中で興味を引いたのは、制度改正における通常のプロセスである三者構成による審議会での検討に先だって、政治主導による政策誘導がなされたつぎの二つの事例

    濱口桂一郎『若者と労働 「入社」の仕組みから解きほぐす』 - 備忘録
  • 働く人の給与はこれからどう推移するか? - 備忘録

    ※グラフを差し替えました(08/12/13) 安倍政権の経済政策「アベノミクス」は、その出だしから株価の上昇と為替の円高是正をもたらし、好調な滑り出しをみせた(最近、やや足踏み状態となっているが)。こうした動きは、4月に発表されたこれまでとは次元の異なる日銀の量的・質的金融緩和に先んじて始まっており、今後の経済政策に対する市場参加者の期待に動かされる形でもたらされたと解釈されるが、これから先は、この期待の効果が消費や設備投資、雇用の拡大など経済の実物的側面にも及ぶことで、物価、賃金が上昇していくことが期待されている。 これまでのところは、先日のエントリーでも指摘したとおり、物価、賃金ともに横ばいないし低下の傾向を続けている。ただし物価については、コスト・プッシュ型の物価上昇が今後数カ月以内に現実化すると考えられる。為替レートの自国通貨安は、短期的には輸入物価を引き上げるため、消費者物価には

    働く人の給与はこれからどう推移するか? - 備忘録
  • 景気回復にともなう雇用の改善には、世代ごとに異なる動き(その2) - 備忘録

    前回のエントリーでは、非正規職員・従業員数が2002年から2007年までの間にどの程度変化したかを世代別に確認し、その結果、 この間、景気回復期にあり、新規学卒者の就職状況も改善していたが、2007年もほぼ同数の非正規職員・従業員数(約2千人)が20〜24歳層にみられる。 世代別の変化でみると、1977〜82年生まれの層では、約2千人から約千7百人程度まで非正規職員・従業員の数は減少しているものの、それより年齢が上の世代では、その数はむしろ増加している。 ということがわかった。 今回のエントリーでは、子育て期に離職し、その後パートで働くというライフサイクルが存在し、20歳台後半層以降にパートの構成が大きくなる女性を除いた男性だけのデータによって分析を行った。その結果をみると、1972〜77年生まれの層(2002年時点における20歳台後半層)においても非正規職員・従業員の数および割合が低下し

    景気回復にともなう雇用の改善には、世代ごとに異なる動き(その2) - 備忘録
  • 景気回復にともなう雇用の改善には、世代ごとに異なる動き - 備忘録

    以前のエントリーで、パート・アルバイトで就業する有業者とパート・アルバイトでの就業を希望する無業者を合計した、いわゆる「フリーター」の属性に相当する者の数を年齢階級別(5歳刻み)に集計し、5年ごとに実施される調査(就業構造基調査)により、各世代ごと(コーホート別)の「フリーター数」が、年を重ねるごとにどのように推移するかを分析した結果について紹介した。 このエントリーの内容を要約すると、 フリーター数は、20〜24歳で最も数が大きく、この数は当該世代が年齢を重ねてもそれほど減少しない。すなわち、フリーターには「階層化」の傾向がみられる。 ただし、唯一の例外が1987年調査と1992年調査の間であり、1962〜67年生まれの層のフリーターは、この間、約半分程度に減少している。 フィリップス・カーブによれば、この間は自然失業率に近く、概ね完全雇用が達成されていたことから、このことがフリーター

    景気回復にともなう雇用の改善には、世代ごとに異なる動き - 備忘録
  • 小野善康『成熟社会の経済学 長期不況をどう克服するか』 - 備忘録

    成熟社会の経済学――長期不況をどう克服するか (岩波新書) 作者: 小野善康出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2012/01/21メディア: 新書購入: 15人 クリック: 311回この商品を含むブログ (30件) を見る 現代の経済学において不況とは、長期的な成長経路から、一時的ショックを契機に生じる循環的なものを意味する。しかし日では、1990年を境として、デフレと不況がおおむね長期にわたって続いている。日経済に生じたこの長期不況は、現代の経済学において、どのように解釈されるのか。特に、長期不況を引き起こした経済の環境とはどのようなものであり、また、長期不況を引き起こす〈機動力〉は何だったのか。この問いに対する著者の回答は、1980年代から1990年代を境として日経済が「成熟社会」に変化したこと、そしてバブル崩壊により人々に蔓延した貨幣保有選好の高まり、ということになるだろう

  • 日本の雇用労働を考えるための必携書 - 備忘録

    ※随時改訂しています。 私が書く程度のものであれば、概ね、これらを参照すれば十分。必ずしも、すべて熟読したわけではありません。以下、備忘録として。 1.島田晴雄『労働経済学』 労働経済学 (モダン・エコノミックス 8) 作者: 島田晴雄出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1986/07/10メディア: 単行購入: 3人 クリック: 28回この商品を含むブログ (1件) を見る とても内容の濃い労働経済学の教科書。古いですが、政策論を語る上では、いまだ通用するのではないかと。 2.大森義明『労働経済学』 労働経済学 作者: 大森義明出版社/メーカー: 日評論社発売日: 2008/03/01メディア: 単行購入: 1人 クリック: 38回この商品を含むブログ (4件) を見る 前書を新しい理論から補う上で。 http://d.hatena.ne.jp/kuma_asset/200809

    日本の雇用労働を考えるための必携書 - 備忘録
  • 今年の経済に対する期待 - 備忘録

    ※追記を追加しました。(01/14/12) これはヨーロッパのある都市でも同じように感じたことだが、日の地方都市は、サービスが悪いと感じることがある(特に、地方の公共交通機関など)。ちょっとした動作を一つとっても、「遅い」と感じることがあり、逆にいえば、東京ないし首都圏ではいかにサービスが洗練されているかを思い知らされる。*1しかし、これはいいかえれば、消費者に対する労働者の立場の「強さ」を表しているようにも感じ、逆にほっとする面もある。同一レベルのサービスを「単位」としてみた価格は、市場において一律に定まるものではなく、市場参加者のちょっとした「交渉力」の違いによっても違ってくるのである。 ところで、いま現在、労働者の賃金、なかんずく派遣やパートなど非正規雇用者の賃金は「低い」といわれることがあるが、マクロ経済の条件を「所与」とするならば、これを根拠づけることは容易ではない。もし、市場

    今年の経済に対する期待 - 備忘録
  • 濱口桂一郎『日本の雇用と労働法』 - 備忘録

    の雇用と労働法 (日経文庫) 作者: 濱口桂一郎出版社/メーカー: 日経済新聞出版社発売日: 2011/09/16メディア: 新書購入: 10人 クリック: 124回この商品を含むブログ (9件) を見る 日の雇用システムを構成している各種の部分システムは、メンバーシップ型雇用契約という概念を中心におくことで、相互補完性をもちつつ、システム全体に一貫性をもたせるものとなる。一方、雇用システムを制度として考えたとき、その基原則を定める法制度、すなわち日の労働法は、ときには現実の雇用システムと対立し、またときには現実の雇用システムと妥協を図りながら、これまで変遷してきた――書は、戦前から戦中、戦後と続く日の雇用システムと労働法の世界で、これらの間に生じてきた緊張関係を、上述のような視点によって描き出す。来、新書として著すには広大な領域をもつ日の雇用システムの全体像を、書は

  • 2000年代の長期的な公的需要の低下を考える - 備忘録

    経済は、1990年代半ばより、一時的なものを除いて物価上昇率はマイナスとなっており、デフレーションが継続している。デフレーションは、貨幣供給面からみると、先日のエントリーでも指摘したように、財・サービスの数量的な増加に対し、マネーストックの増加が相対的に少ないために生じたといえる。日経済は流動性の罠に陥っており、中央銀行の通貨性のある負債であるマネタリーベース(日銀行券発行高+貨幣流通量+日銀当座預金)を増やしても貨幣乗数が低下するため、市中の貨幣量(マネーストック(=貨幣乗数×マネタリーベース))は増加しない。このことは、特に企業部門において、金融機関からの借り入れを減らし、内部留保を積み上げる行動パターンにあわられている。外部資金の借り入れが減少することで信用創造が十分には働かず、企業部門の貯蓄の増加によって貨幣は退蔵されることになる。 http://d.hatena.ne.j

    2000年代の長期的な公的需要の低下を考える - 備忘録
  • 米国の「日本化」? - 備忘録

    最近公表された米国のSNA統計をみると、米国経済は、このところ踊り場的局面を迎えつつあり、雇用については、しばらくは厳しい情勢が続くことが見込まれている。実質GDPの対前期比は0.3%の増加であるが、消費の伸びはゼロとなっている。 一部では、米国国債の格付けの低下を受け、米国の「日化」とよび、米国経済が日のように「失われた10年」に突入することを懸念する向きがあることが指摘されている。 http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=2628 しかしながら、この指摘については、理解することは困難である。確かに、米国経済の今後の行方は予断を許さないものであり、雇用情勢の厳しさについてはいうまでもない。ところが、GDPデフレーターをみると、輸入物価の上昇がマイナス寄与を与えているものの、国内需要のデフレ傾向については、おおむね払拭されている。

    米国の「日本化」? - 備忘録
  • 『ニュー・エコノミクス──GDPや貨幣に代わる持続可能な国民福祉を指標にする新しい経済学──』デイヴィッド・ボイル、アンドリュー・シムズ(田沢恭子訳) - 2011-08-14 - ラスカル��

    ※注記を追加しました。(08/21/11) ニュー・エコノミクス―GDPや貨幣に代わる持続可能な国民福祉を指標にする新しい経済学 作者: デイヴィッドボイル,アンドリューシムズ,David Boyle,Andrew Simms,田沢恭子出版社/メーカー: 一灯舎発売日: 2010/06メディア: 単行購入: 2人 クリック: 79回この商品を含むブログ (1件) を見る 社会の効率を高めるためには、自由な経済主体である民間企業が活躍する場をより広げる一方で、規制や補助金等によって保護される業界は、できる限り、自由な参入を認めるようにする必要がある、ということについて、恐らく、原則論としては誰も反対しないであろう。しかしながら、自由な経済主体であると考えている自分自身(や、自分自身が属する業界)が、当に社会的に保護されていない存在なのか、という点については、やや感度が乏しいように感じられ

    『ニュー・エコノミクス──GDPや貨幣に代わる持続可能な国民福祉を指標にする新しい経済学──』デイヴィッド・ボイル、アンドリュー・シムズ(田沢恭子訳) - 2011-08-14 - ラスカル��
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