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ブックマーク / hamatsu.hatenablog.com (11)

  • 重さの物語としての「かぐや姫の物語」 - 色々水平思考

    公開ギリギリでようやくかぐや姫の物語を観てきた。 前々から喧伝されてる通り、手書き風絵のアニメーションのクオリティはそれは恐ろしいものだったが、自分が目を引かれたのは、重さを感じるアニメート表現だった。 このアニメでは皆自分の身体という重さを抱えて生きている。だからこの映画のキャラクターはまあよくよろけたり転んだりするし、走ってもすぐには止まれない。アニメーションとして重みのある表現なんてのは初歩の表現なんだろうけど、この映画はそこがかなり徹底されてるように自分には見えた。 最初の竹を切るシーンなんかも目を見張るものがある、重みの重心は竹の芯部分にあるけど、竹は密集して生えてるから葉っぱが絡んですぐには倒れてこない。自分は山育ちなんでこの辺のリアリティあふれる表現にいきなり持ってかれてしまったんだけど、高畑勳って山で働いたことあるのか?後にでてくる崖からずり落ちるシーンとかも一々アニメート

    重さの物語としての「かぐや姫の物語」 - 色々水平思考
  • コールオブデューティ4とQTEの話 - 色々水平思考

    そろそろ世代交代しそうな今世代において最も高い評価を得たソフトの一つと言えば、コールオブデューティ4(以下CoD4)だが、何故このタイトルの、特に一人で遊ぶキャンペーンモードが高い評価を得たのかと言えば、ストーリーの最初から最後まで共通の操作系でクリア出来るようにゲームを設計し通したことに寄る部分が大きい。 最初から最後まで狙って撃つという動作によって目の前の問題を解決出来るようにゲームが設計され、それに沿ったストーリーが展開する。ストーリー部分の素晴らしさと同等以上に重要なのは、ゲームプレイ部分の設計の巧みさなのである。 んで、残念ながらCoDシリーズの最近のタイトルや、CoDシリーズのライバルタイトルと言えるだろうバトルフィールド3を、このようなゲームプレイとストーリーの密着度という観点から評価すると、劣化してると言わざるを得ない。 なんでかと言えば、これらのタイトルは最後の最後で狙い

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  • スライムの教え - 色々水平思考

    言わずと知れたドラゴンクエストの最弱モンスター、スライム。なぜスライムは毎度毎度、最も弱いモンスターとして、ゲームの冒頭に登場するのか? スライムがシリーズで必ずといって良いほど(ドラクエ6はぶちスライムだったりするけど)最弱モンスターとして登場する理由、それは、最小の変化で最大の効果を発揮するということをプレイヤーに体で理解してもらうためである。 どういうことか? 0が1に変化する時を除けば、数字的には1の変化で最も変化量が大きいのは1が2になる時と2が1になる時だ(変化量というよりも感覚的な部分を含めれば9から10へ桁があがる時も重要)。だからレベルが1から2に成長する時がレベルアップシステムにおいてもっとも重要な瞬間なのである。レベル46から47に上がったとしても、1から2へ上がった時とはありがたみが大分変わってくるのである。そのため、多くのRPGは、節目節目で特技やら進化やらを用意

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  • 新清士の問題点 - 色々水平思考

    ゲーム業界を代表するジャーナリスト、新清士という人の問題点は紹介する書籍や考え方は面白いんだけど、そこから展開する持論が高い確率でグダグダであるってことに尽きる。 損失感がソーシャルゲームの継続率に関係する-ゲームと心理学(3) これなんかもね、人間は一万円得た時より一万円失ったときの方が、衝撃が大きいって紹介してる考え方自体は、面白いし良いんですよ。新しい考え方や書籍の紹介者として見たら新清士って人は決して悪くないんです。最近だと新清士ってだけでまともに相手しない人もいると思いますが、彼の紹介してる考え方には多くの場合悪くないんで、読んでみるといいと思います。 んで、問題はこの後なんです。彼の紹介する考えは確かに傾聴に値するんですが、その後がグダグダになるんですね。一万円得た時より一万円失った時を恐怖する、それは良いんですが、じゃあなんでこの世にはギャンブルやソーシャルゲームのガチャにハ

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  • 三次元のマリオの歩み マリオ3Dランドレビュー - 色々水平思考

    発売されて一年以上経ってしまいましたね。でも、良いものは良いんです。というわけで、マリオ3Dランドのレビューを書きたいと思います。 結論から言っちゃうと大傑作ですねこれは。任天堂にしか作れない作品だと思います。マリオ64から15年かけてよくこの境地に辿り着いたものだなと思います。自分は、かつてこのブログで、マリオ64を失敗作として捉えた文章を書きました。 僕自身、失敗作とは言って見たもののマリオ64は相当な傑作だと思っています。ですが、2Dのマリオは、それ以上に素晴らしい志向性を持ったゲームなのです。その素晴らしさとは何か。このブログでは何度か書いていることですが、ここで改めてゲームにおける探査と到達という言葉を使って解説したいと思います。 ゲームにおける探査と到達 大雑把に分けてしまうとゲームというのは探査と到達の繰り返しで出来てます。テトリスと例にしてみると、テトリスというゲームは、次

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  • 宮崎駿と細田守の自然観、田舎観の違いについて - 色々水平思考

    宮崎駿という人は自然を一種キャラクター化して描く。トトロのクライマックスで田んぼを吹き抜ける風はバスが駆け抜けるから起きる。ここでは風という自然現象をバスというキャラ化して描いているわけだ。それ以外にももののけ姫の森にはシシ神やコダマのような象徴的なキャラクターがいるし、ナウシカにおける腐海の象徴として王蟲がいる。そして、なんと言ってもポニョの津波表現なんかは、キャラクター化した自然描写の最たるものだろう。 それに対して、細田守という人は、自然をあくまでありのままの自然として描く。主人公達に恵みを与えることもあれば、命が危うくなるほどの牙をむくこともある。それはただ自然が自然として存在する結果そうなっただけのことで、大自然の大いなる怒りとかメッセージみたいなもの描こうとはしていない。 そして、細田守という人は田舎にある、人為的なものに美点を見いだす人なんだと思う。 田舎というのは、自然

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  • ポケットモンスターは「行きて帰りし物語」である - 色々水平思考

    ポケットモンスター、その中でも今回は初代にあたるポケットモンスター赤緑の物語構造について考えてみたいと思う。 前々回のこのブログの記事で、ドラゴンクエストが如何にマップデザインのみで物語を形作るのかということを解説したが、ポケットモンスターもまた、ドラゴンクエストとは違った形でマップデザインによって物語を形成していると僕は考えている。まずはポケットモンスター赤緑のマップ画像を見てもらいたい。 はい、言わずと知れたカントーマップですね。このマップは、スタート地点のマサラタウンから始まり、最後に訪れるであろうグレンタウンからまたマサラタウンへとマップを一周して戻ってこれるようになっているという、円の構造になっている。 一度冒険に出た主人公が、世界の果てとかここではないどこか別の世界へと突き抜けてしまったりせずに、必ず自分の変えるべき場所へと戻るようにマップが設計され、そこからまた冒険が始まるよ

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  • 堀井雄二に学びたい - 色々水平思考

    もうとうに昔のことでほとんどの人は忘れてしまったかと思われますが、堀井雄二を知らない人のための堀井雄二入門をようやく書きます。まあ、堀井雄二っつうかドラゴンクエスト(以下ドラクエ)にまつわるアレコレについて自分なりの考えだったり、自分が刺激を受けた見解を紹介していくわけなんですけどね。結構長くなると思いますが、お付き合いの程を一つよろしく。 ゲームにおけるテキストライターとしての堀井雄二 まずは、ゲームにおけるテキストライターとしての堀井雄二の仕事ぶりについて考えていこう。ゲーム作家としての堀井雄二が語られる際、もっとも語られることが多いのが、堀井雄二自身の手によるテキストである。事実、ネット上にも面白い評論、考察文が数多くある。まずはこのコラムを紹介しよう。 ブーバ/キキ/ギラ/ホイミ 神は細部に宿り給う このコラムでは、ドラクエの代表的魔法、ホイミが回復魔法っぽくてギラが攻撃魔法っぽく

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  • 「土地勘」を生成するメディア - 色々水平思考

    映画を見て、その舞台となっている土地の地理を把握するのは難しい。映画はカメラワークやカットの編集などの「部分」の集合によって出来ているからだ。おそらく「ローマの休日」を何度見ても、ローマの街をスラスラ歩けるようにはならないのではないか。 レッド・デッド・リデンプションというゲームには、非常に広大なフィールドが存在し、西部劇という時代設定を選択したために、そのフィールドの大半が、パッと見の印象が似通ったアメリカ西部の荒野となっている。 そのため、地図をよく見ながら移動しないと、自分などはたちどころに迷子になって、フィールドを延々うろつきながらコヨーテやオオカミに追っかけられる羽目になったりする。 しかし、なんども繰り返し繰り返しプレイし、いくつかの頼まれ事(ミッション)をこなしていく内に、変化が訪れる。その土地ごとのちょっとした違い、群生する植物や、生息する動物、そして同じようでも微妙に違う

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  • なぜワンピースは面白いのか - 色々水平思考

    尾田栄一郎『ONE PIECE』 - 紙屋研究所 この記事を読んでなんとなく思ったことをつらつら書く。 ワンピースには二度のピークがある、一つはアラバスタ編で二つ目は白ひげ海賊団VS海軍部編だ。 初期ワンピースの面白さは色々あるが、自分としては「溜め」と「開放」描く作画の力が大きいと思っていた。「溜め」と「開放」とはいしかわじゅんが大友克洋漫画の「動き」の表現を褒める時に指摘するアレね。 この辺のところを初期ワンピースは律儀なくらいきっちりやってた。そして「溜め」と「開放」の作画がピークに達したのはアラバスタ編のゾロによる一刀流獅子歌歌を放つ場面とルフィがクロコダイルに放つゴムゴムのストームを繰り出す場面だ。ストームなんかは完全に溜めと開放があるしそれが極まっちゃってる感じするでしょ。 でもこの「溜め」と「開放」の作画の欠点は技を繰り出すのに確実に二コマかかっちゃうところで、テンポがどう

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  • ドラクエ9のテーマは「仕事」 - 色々水平思考

    以下の文章にはドラクエ9のストーリーのネタバレがギュンギュンに含まれるので、気になる人は心して読んで下せえ。 今回のドラクエは「仕事」を巡る物語だったのではないかと思っている。 そもそも、今回の主人公は人間ではなく、天使として、人間を守護する存在なのだが、それって一見人間より上の存在に見えるけど、結局やってることって人間に無償で奉仕するっていう、ほとんど奴隷に近い存在なのである。実際主人公が一人で最初に行う仕事は「馬のふんの掃除」だったりする。 これって要は、今回の主人公が行うことっていうのは、基的に「仕事」だからするんですってことなのではないだろうか?以前のドラゴンクエストシリーズでは、主人公のすることっていうのは、王様から命令されてすることだったり、やむにやまれぬ事情があってすることだったりして、日常的な仕事とはちょっと違う特別な使命を帯びたことだったように思う。しかし、今回の主人公

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