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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/column (66)

  • 中国の大気汚染を日本人は「利用」すべきだ | 東京に住む外国人によるリレーコラム | コラム&ブログ | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    今週のコラムニスト:李小牧 〔2月12日号掲載〕 主に現地でコメンテーターとしてテレビ出演するため、1カ月に1回は中国に帰る私だが、この頃は3日程度ですぐ日に戻りたくなる。理由は簡単。あまりに空気が悪いからだ。 連日ニュースで話題になったのでご存じの読者も多いだろうが、最近中国各地の都市部で深刻なスモッグが発生して、国民の生活に多大な影響が出ている。ただでさえ数が少ないせいで数時間待ちの行列が当たり前の中国の病院は、今や喉や目の痛みを訴える患者でパンク寸前だ。 北京など中国北部はこの時期、最高気温が0度という厳しい寒さを迎える。中国人は屋内暖房用として「暖気(ヌアンチー、蒸気スチーム)」をガンガンたいてこの季節を乗り切るのだが、問題はその燃料。石炭を燃やすので、大量の排ガスが出るのだ。 この時期にスモッグが大量発生しているのは、明らかに屋内暖房用に石炭を燃やし過ぎていることが原因。だが、

  • 安倍首相のめざす人為的スタグフレーション

    安倍首相は12日、経済3団体のトップと首相官邸で会談し、「業績の改善を働く人の所得増大の動きにつなげていくことができるかどうかで格的なデフレ脱却に向かっていく」と賃上げを要請し、財界からも春闘で賃上げに応じる意向が示されたという。こうした政府の働きかけを受け、ローソンは社員の年収を3%引き上げると発表したが、もしすべての企業が要請に応じて3%賃上げしたら何が起こるか、シミュレーションしてみよう。 賃金コストは価格の半分を占めるので、物価は1.5%ぐらい上がるだろう。3%賃上げしてもらった正社員の実質賃金(名目賃金-インフレ率)は1.5%増になるが、これによって労働需要が減るので失業が増える。つまり政府の要請に従って賃上げすると、物価と同時に失業率が上がるスタグフレーションが起こるのだ。 また労働者の8割を占める未組織労働者の名目賃金は上がらないので、インフレで実質賃金は1.5%下がる。雇

  • 大みそかの長寿番組が映し出す日本の両極

    今週のコラムニスト:マイケル・プロンコ [2月5日号掲載] 大みそかの晩になると、毎年「しまった」と思う。商店もレストランも早じまいするのを、すっかり忘れているからだ。大みそかの東京は、SF映画で大災害に襲われた町のように人っ子一人いなくなる。となると行き場は2つ。神社で震えながら初詣の列に並ぶか、暖房の効いた部屋でぬくぬくとテレビの前に座るかだ。 私が日で過ごした最初の年の大みそかは、衝撃体験だった。どうして店が全部閉まってるんだろう。みんなどこでパーティーをしてるんだろう。新年の花火の音を聞いて銀座を歩きながら、私は首をひねった。日の人々が初詣の参拝先かテレビの前に集まっていることを、そのときの私は知らなかった。 昨年の大みそかは家で事をした。家族が初詣に行こうとしないので、テレビの前に集まりNHKにチャンネルを合わせた。大みそかの特別番組を見たことがなかったわけではない。だがい

  • スマホが人間をダメにする

    インターネット時代、スマートフォン時代になって、我々はいつの間にか、以前にはなかったような無礼ではしたない振る舞いをするようになった。 その1つがいわゆる「ショールーミング」、小売店をショールームのように利用することだ。店では商品を見るだけで、実際の購入は自宅のパソコンなどからショッピングサイトにアクセスして行う。 もちろん、これは今に始まったことではないのだが、問題はそのやりかたが昨今どんどん露骨になってきたということだ。 アマゾン・ドットコムがインターネットでを売り始めた当初から、の中身は店頭の立ち読みで確かめ、注文は家に帰ってアマゾンでする、という人はいた。だがその頃は、「屋さんに悪いな」という気持ちが少しは働いていた。それでもアマゾンで買ったのは、安いアマゾン価格を前にして背に腹は代えられなかったからだ。 ところが今は、この「クリック購入」を屋の中でもスマホを使ってやるよう

  • 日本の治安が最高なのは共同体パワーのおかげ

    今週のコラムニスト:レジス・アルノー 〔12月26日号掲載〕 私の知る限り、大都市なのに安全な街は東京だけだ。東京にいるときは昼も夜も安心し切っている。04年に今の家に引っ越したが、引っ越し早々に家の鍵をなくしたので鍵は掛けず、ノックすらせずに出入りしている。スクーターを駐車してその場から離れるときもヘルメットはシートに置いたままだ。「泥棒が怖くないのか?」と聞くフランス人の友人には、私のヘルメットを盗むほど切羽詰まっている日人がいたら、同じ人間としてヘルメットくらいくれてやるさと答えた。自転車にも鍵を掛けない。それでも無くならないのだから当にうれしくなる。 私は今では3人の子供の父親だ。フランスより麻薬がはるかに手に入りにくく、子供たちが盗まれる側にも盗む側にもなる心配が少ない国に暮らせて幸せだと、毎朝しみじみ思う。 オレオレ詐欺のような犯罪はあるが、フランスに比べればまだましだ。フ

  • 「アベノミクス」の演出した円安は日本経済を救うか

    年明けの東京外国為替市場は、大幅な円安・ドル高で始まった。1月4日の正午現在の為替レートは1ドル=87円75銭と前日に比べて1円40銭も上がり、2年5ヶ月ぶりのドル高となった。これに連れて日経平均株価の午前の終値も1万700円となり、震災前の水準を回復した。 直近の要因は米議会で「財政の崖」を回避する法案を議会が可決したことだが、安倍首相の主張しているインフレ・円安の「アベノミクス」の影響もあるだろう。長期的にみると、2008年の世界金融危機で欧米の金融機関への不安が高まり、相対的に安全な通貨だった円に資金が逃避した「リスクオフ」の動きが落ち着いて、資金が欧米に環流した影響もある。 (図)2008年以降のドル/円レートの動き(Yahoo!ファイナンス) 図のようにドル/円レートは、2008年の110円を最後に急激にドル安に振れ、5年前の水準にまだ戻っていない。相場が「リスクオン」に戻るとす

  • 政治家を育てる質問

    12月16日の衆議院選挙投票日。テレビ東京の開票特番「池上彰の総選挙ライブ」を担当しました。 放送中から思わぬ反響をいただき、テレビ東京にはいまも再放送やDVDの発売を求める声が寄せられているそうです。 テレビ東京の人たちはもちろんのこと、外部スタッフが総力を挙げて制作・放送したものですから、当然の評価とはいえ、その一翼を担った私も嬉しく思います。 いつも「いい質問ですね」が口癖の私としては、視聴者に「いい質問ですね」と言ってもらえる内容を目指したからです。 ただ、党首や候補者への私のインタビューは、ジャーナリストとして当然のことをしたまでで、これに関する評価は面映ゆいものがあります。 というのも、たとえばアメリカテレビ政治番組なら、政治家に対しての容赦ない切り込み、突っ込みは当然のことだからです。 日なら「失礼な質問」に当たるようなことでも、平然として質問をしますし、質問を受けた側

  • 日本メディアに叩かれた加藤嘉一君への2通目の手紙

    今週のコラムニスト:李小牧 〔12月12日号掲載〕 親愛なる加藤嘉一君へ──。 中国でコラムニストとして活動し、「中国で一番有名な日人」とも呼ばれる君に、このコラム上で「手紙」を書いたのは昨年6月。人生の先輩として、また一人の中国人として、君が日人の耳に届かないのをいいことに、中国で日の悪口を言っていると批判しました。 その後、君は私に直接「今後は李さんの貴重な意見を参考にしたい」というメールを送ってくれました。ただ、残念ながら私の苦言は君の心に届かなかったようです。 先日、週刊文春が「『中国で一番有名な日人』の経歴詐称を告発する」という記事を大々的に掲載しました。加藤君が中国メディアで「東大に合格したが、それを蹴ってあえて北京大学に入学した」と語っていたのは周知の事実。この記事は、それが真っ赤な嘘だということを、君の出身高校への取材で暴いています。君をよく知っている私のところにも

  • 自民圧勝の選挙予測が示す「脱原発」という白日夢の終わり

    総選挙についてのマスコミ各社の予測が出たが、すべて「自民圧勝」を予測し、単独過半数の勢いとするものが多い。ほぼ現状維持の公明党を加えれば、自民党が政権に復帰することは確実だ。民主党は100議席を大幅に割り込み、第三党は民主党に近い議席を取る日維新の会というのが共通の予測である。 自民党は原発については「10年かけて検討する」と曖昧な表現で、安倍総裁もほとんど言及しない。当初は「原発ゼロ」をとなえていた維新の会は、太陽の党との合併にともなって「フェードアウト」という曖昧な表現になり、公約では「脱原発依存体制の構築」という表現になった。 これに対して小沢一郎氏が脱原発の集票効果を期待してつくった未来の党は、62議席から10議席台に激減する見通しだ。同じく脱原発を掲げているみんなの党は、現在の8議席より増えるが未来の党と同じぐらいで、社民党や共産党に至っては数議席。 結果的には原発容認派が圧勝

  • NY地下鉄で死ぬ直前の男の写真が撮られたとき、他の乗客は何をしていたか

    ニューヨークのタブロイド紙『ニューヨークポスト』が火曜、前日に地下鉄駅で起きた事故を報じた。いや、正確には事故になる瞬間を報じたと言った方が正しいだろう。 乗客同士の言い争いで50代の男性がホームから突き飛ばされ、そこに入ってきた電車に挟まれて死亡した。ニューヨークポストが1面で大きく掲載した写真は、ホームに手をかけ数メートル先に迫った電車のほうを振り返った男性の姿を捉えている。タイトルは、「万事休す、線路に突き落とされた男が死に行く瞬間」。 この事件は、いくつもの意味でいたたまれない気持ちにさせる。 まずジャーナリズムの観点から、こんな写真を載せる必要があったのかという点。数秒後に死のうとしている人間の姿を晒すことに、センセーショナリズムを煽る以外の意味があるのか。 もし事故の様子を伝えることが目的だったのならば、文章で説明し、写真は意図的に掲載しないという選択肢もあっただろう。だが同紙

  • 中国新トップ、斜めから眺めてわかった意外な共通点

    中国共産党の総書記に習近平が選ばれ、習体制が立ち上がってから、すっかり国家主席、首相(国務院総理)を務める胡錦濤と温家宝の陰は薄くなった。これまでトップ交代の折には「華やかで、麗しき未来」が謳われてきた中国だが、今回は官報メディアはともかく全体的にメディアを見渡しても「華々しさ」は薄れてしまった感じだ。 そのひとつは「メディア」の枠が広がったこと。今や胡や温が就任した10年前と違い、一般に言われる「メディア」はテレビ、ラジオ、新聞の他に、ネットのポータルサイト、ブログ、マイクロブログ(ツイッターや微博)、そしてさらには携帯電話に届く同様のニュース配信の他、「口コミ」的な微信もある。昔から「口コミ」情報が重視されてきた中国では、海外を含む遠く離れたところにいる人にも届けられる新しいこのサービスは立派な「メディア」となっている。 ネットサービスである微信はテキストメッセージ中心のSMS(ショー

  • 政策なき政党、日本維新の会は「中国化する政治」をめざす

    実質的な選挙戦が始まり、14もの政党が乱立しているが、その中で主要政党と目されるのは民主・自民・日維新の会の3党だ。これは橋下徹氏を代表とする維新の会と石原慎太郎氏を代表とする太陽の党が合流してできたもので、増税やTPP(環太平洋パートナーシップ)や原発などで正反対の政策を掲げる両党がわずか4日で合流したことは「野合」という批判を呼んだ。 しかしそんなことをいえば、自民党右派だった小沢一郎氏と旧社民党が合流した民主党も野合だし、既得権の保護以外に政策らしい政策のない自民党も、昔から派閥の野合である。政策を基準にして集まる結社という意味の政党は、日にはもともとないのだ。だからメディアも政策を報じないで「政局」の話題ばかり報じる。 かつて、こうした状況は中選挙区制の弊害だとされ、「政策位の選挙にする」という理想を掲げて、小選挙区制にする政治改革が行なわれた。その結果できたのは、昔よりひど

  • イスラエルのガザ攻撃が持つ意味

    14日に始まったイスラエルのガザ地区への空爆は、一週間経ても収まる気配を見せない。パレスチナ人の被害は100人を超え、オバマ政権もクリントン国務長官に仲介を命ずるなど、対応に動き始めた。 なぜ突然、パレスチナでの戦闘が激化したのか。日の報道の大半が「ガザを実効支配する"原理主義"組織ハマースがイスラエルにミサイルを撃ち込み、首都まで射程に入ったから」、それに対応してイスラエルが強硬手段に出た、と解説する。「ハマース=先に手を出した=悪者」との構造が、前提にある。 こうした切り取り方は、日の報道のいつもの陥穽だ。その背景や長期的に続けられているガザに対するイスラエルの政策がどうなのか、考慮することなくごく短期間だけ取り上げて、どちらが先に始めたか、で判断しようとする。実際のところ、2008-9年にイスラエルがガザを大々的に攻撃して1300人以上のパレスチナ人の死者を出して以来、戦闘は繰り

  • 習近平の新時代へ

    とうとう、胡錦濤の時代が終わり、習近平の時代が始まった。5年前の中国共産党の党大会で次期指導者として指導部メンバー入りして以来、その動向が注目され、どのような時代が来るのか、世界中のメディアの憶測を呼んできた習近平。世界の主だったメディアは今回の党大会に先駆けて10月頃から次期指導部を占う予測記事を集中させてきた。 今回習が選出されたのは中国共産党総書記という役職で、完全に胡錦濤の職を引き継ぐのは来年3月に開かれる全国人民代表大会で国家主席に選出されてからである。だが実際にはすでに胡錦濤の陰は一挙に薄くなり、習の動向に人々の目は釘付けだ。前回のこの欄で触れた某ネットユーザーの予測通り、胡は軍の指導権を持つ党軍事委員会トップの職も習に明け渡して「裸退」したため、それも仕方ないが。 実のところその習がどんな人物なのか、まだそれほどよく知られていない。老共産党幹部の子弟「太子党」であることは客観

  • 謝らないアップルの危険性

    以前から、アップルは謝らない企業だと思っていた。 思えばiPhone4が発売された2010年初夏のこと、持ち方によってはうまく通話の接続ができないという問題が続出して、多数のユーザーが不都合を訴えたことがあった。メディアもこれは製品の不良ではないかと、こぞって報じた。あるユーザーがまだ存命だったスティーブ・ジョブズにメールを送ったところ、戻ってきたのはこんな返事だ。 「大した問題ではありません。そういう持ち方をしなければいいんです」。 このアンテナ問題についてアップルが声明を出したのは、何週間も経ってからだ。「どんな携帯電話も、持ち方によっては通信強度表示のバーが1は減ります」とか、「問題は通信強度のバー表示の設定自体にあるようです」などと書かれている。問題があることを認めたような、そうでないような......。無料でケースを配ったりはしたが、決して謝罪はしない。 さらにさかのぼって、初

  • 見えない中国、見える中国

    ここ数日、ツイッターに「斯巴達」という言葉が舞っている。「いつもだったら5分の距離なのに、もう40分以上かかってる。夕飯の約束に大遅れ。『斯巴達』のせいだ!」とか、「テレビつけるとぜーんぶ『斯巴達』。いいかげんにしろ」とか、「なんで今日はネットにつながりにくいんだ? これも『斯巴達』効果?」などという具合に。もうお分かりかもしれない、「斯巴達」がそれほど喜ばれているわけではないことが。 これを杓子定規に辞書を引いて、「スパルタ」などと訳してはいけない。いや、ギリシャの「スパルタ」のようでありながらスパルタにあらず、想像力と創造性という点からすれば、この「斯巴達」は最近の中国インターネット隠語のレベルからみれば、かなり上出来である。 「斯巴達」は「スーバーダー」と読む。このあたりでちょっとひねくれた中国人ならすぐ分かる。「スーバーダー」→「シーバーダー」→「十八大」、つまり今開かれている、中

  • 補助金で支えられた「大学バブル」の終わり

    田中真紀子文部科学相が来春開校する予定の3大学の設置を認可しなかった騒ぎは、一転して白紙撤回で収拾されたが、大学が大きな問題を抱えているという彼女の問題提起は正しい。学校教育は今や農業と並ぶ補助金産業であり、今年度は国立大学法人と私立大学に合計1兆4800億円の補助金が支給されている。農業と同じように、補助金は産業を腐らせるのだ。 人材の育成は政府の重要な仕事だが、今の大学がそういう役割を果たしているかどうかは疑わしい。教育の効果についての調査としてもっとも大規模な世界銀行の実証研究によれば、教育投資と経済成長率にはまったく相関がない。労働者の技能が上がらないのに大卒の賃金が上がるのは、大学が能力を示すシグナリングの装置として機能しているからだ。したがって学歴の私的収益率は高いが、大学教育は社会的には浪費だ、というのが多くの実証研究の示すところである。 大学で差別化できないと、大学院への進

  • キンドル上陸!電子書籍の価格戦争はこれから面白くなる(はず)

    でもアマゾンによるキンドルの電子書籍販売がやっと始まった。さっそく試し読みをしている人々が多いことだろう。 私にとっては、電子書籍にどんな価格が付けられるのかは興味津々だった。というのも、アメリカでも電子書籍の価格については二転三転あり、おそらくこれからもまだまだ変わり続けるだろうからだ。 ざっと日のキンドルを見てみたところ、無料のものは別として、やはり二つに分かれているのがよくわかる。プリントの価格からあまり値引きされていない電子書籍と、けっこう思い切った値引きがされている電子書籍である。 伝え聞くところによると、日でもアマゾンと出版社との契約に際して、ホールセール(卸売り)モデルとエージェンシー(代理店)モデルとの二通りの方法が採られたとのこと。前者ではアマゾンが最終販売価格を決め、後者では出版社の意向に従った価格で販売される。日では再販制度によってプリント書籍は出版社の

  • 「你幸福嗎?(あなたは幸せですか?)」

    10月初め、中国の国営放送、中央電視台のニュース番組で、「你幸福嗎?」(あなたは幸せですか?)とマイクをつきつけられた人が、「我姓曽」(わたしは曽と言います)と答える様子が放送され、大きな話題になった。このまったく噛み合っていない問答が中国のいろいろな現実を、見る人たちに思い起こさせたからだ。 一つは、マイクをつきつけられた相手が、農村から一時的に都会に働きに来た「民工」、つまり出稼ぎ者だったこと。日頃、都会の市民の目にはほぼ「透明人間」状態の彼らは、都市のいわゆる「3K」業をすべて担っている。都市では欠かすことのできない存在だが、この街での生活を文字通りエンジョイしている人たちの目にはほとんど彼らの存在は入っていない。そして彼ら自身も習慣的に「自分とは関係のない人たち」との付き合いに無頓着だ。ある意味、現代中国独特の年における階級社会では底辺にいる彼らに国営放送の記者が突然スポットライト

  • 尖閣と靖国:対日強硬策最終ラウンド

    うーん、だんだんさすがに反日デモ関連のことばかり書くのも飽きてきた。というか、すでに街は表面的には日常を取り戻している。一部ではばらまかれた「反日」の種子は残っていて、個人的なネチネチに遭遇した人はまだ続いており(でもわたしは個人的にはまだ経験してない)、政治的にもカタがついたわけではないので、企業や国体へのカウンターパート向け嫌がらせは続いている。が、それでも北京などの大都市での生活は相対的に日常に戻った。 国慶節休暇明けに半年ぶりくらいにばったり会った友人の一人は、ニッコールの巨大ズームレンズを取り付けた、ニコンの一眼レフカメラを手ににっこり笑った。「やっと買えたんだ。9月にどこの店に行っても『置いてない』って言われてさ。あいつら、あほじゃねーの、損するのは中国人なのに」と言った。尋ねると、合計で「4万元弱」、つまり60万円くらいしたそうだ。彼の趣味が写真というのは初めて知ったが、