撮影者・撮影年等不詳。 ただしネコの名はファモッシモ(Famossimo)。 自宅書斎にて。 モラヴィアの小説には回想にネコが幾度も登場する。(引用はいずれも英訳版の勝手訳) まずベルトルッチ『暗殺の森』(1970)の原作Il Comformista(1947、邦訳『孤独な青年』)より。ネコにまつわるエピソードがわりと重要な話だが映画で出てきたかどうかはあまり記憶にない。 マルチェッロはトカゲを殺したことを母に打ちあけて、自分が間違ったことをしたのか尋ねたかった。しかし母のせわしさは彼の気を変え、心の内に彼が用意していた言葉を改めさせた。急に、こうも忙しい人間の注意を惹くにはトカゲという動物はあまりに小さくて些細なものに思えてきたのだ。訳知らず、彼はその場で自分の罪を誇張する嘘を思いついていた。鈍く眠っている母としての感性を、その罪深さがどうにかして呼び起こすのではないかという期待があった