日本学術会議の新会員候補のうち6人を任命しなかった問題で、菅義偉首相はきのうの毎日新聞のインタビューでも具体的な理由を明らかにしなかった。 首相は「総合的、俯瞰(ふかん)的活動、すなわち広い視野に立ってバランスの取れた活動を行い、国の予算を投じる機関として国民に理解される存在であるべきだ」との観点から判断したと繰り返すだけだった。抽象的で、なぜ除外したのかが分からない。 学術会議の設置法は、会員について「会議の推薦に基づいて首相が任命する」と定めている。条文を審議していた1983年に中曽根康弘首相は「政府が行うのは形式的任命にすぎない」と述べた。それゆえ「学問の自由独立はあくまで保障される」と答弁した。 ところが、政府は今回、形式的任命を行わないことについて、過去の答弁との矛盾はなく、法解釈も変えていないと主張する。 持ち出したのは、内閣府が2年前に作ったという内部文書だ。推薦された人を首
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政府から独立した立場で政策提言をする「科学者の国会」とも呼ばれる「日本学術会議」の新会員の任期が、1日始まった。しかし、菅義偉首相は学術会議が推薦した候補者105人のうち、6人を任命から外した。その一人の加藤陽子・東京大教授が、毎日新聞にコメントを寄せた。 加藤教授は小泉純一郎政権での政府の公文書管理についての有識者懇談会に参加し、公文書管理について政権にアドバイスをしてきた日本の第一人者だ。2010年に設置された内閣府公文書管理委員会委員だったほか、現在は「国立公文書館の機能・施設の在り方等に関する調査検討会議」の委員を務める。皇室にも熱心な読者を持つ、日本近代史の有力な研究者でもある。 ◇ 今、多くのメディアは、任命されなかった私たち6人に「なぜ任命されなかったのか」を尋ねている。いかなる研究者の、いかなる研究内容が官邸に忌避されたのかを、国民の知る権利についての付託に応えるために探る
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