農業用水供給のため農林水産省が熊本県産山村に建設中の大蘇(おおそ)ダムが、湖底などへの水の浸透が想定以上に進み、本体完成から4年を経ても給水ができないでいる。15日に大分県竹田市内で開かれた説明会で、同省の近藤基彦副大臣が大分、熊本両県の受益農家らに「30年かけて底の抜けたダムを造ってしまった」と謝罪。今秋までに対策をまとめる方針を示した。 大蘇ダムは堤防の高さ約70メートル、長さ約260メートル、総貯水量430万トン。総事業費は約593億円で、熊本県阿蘇市や産山村、大分県竹田市の田畑に水を供給するため、79年に着工した。受益者数は1445人で、本体は05年3月に完成した。 しかし、05年から試験的に水を入れたところ、当初予想量の2〜16倍に当たる最大4万トン(1日)の水が湖底などに浸透してしまうことが判明した。火砕流の堆積(たいせき)物などによって形成された地質が原因とみられている。