日本では財政的な余裕がない中、高齢化の進展、相対的貧困率の上昇が続き、医療、公的年金、生活保護など様々な社会保障支出が増えている。高齢者の人口が増えているだけでなく、貧困率が高まっている若年層を中心とした育児支援、貧困対策、教育や訓練、就職支援に今まで以上に公的な支援が必要となっている。限られた財源をより有効に使うということがますます重要になっているが、その際、行動経済学の視点で制度を見直せば、日本の社会保障をより効果のあるものに変えることができるかもしれない。 「まとめ支給」問題 いくつかの社会保障の給付は数ヶ月分まとめて支給される。例えば、子どもの貧困対策として児童手当と一人親世帯向けの児童扶養手当が存在するが、どちらの制度も4ヵ月ごとにまとめて年3回手当が支給される。 この制度のもとでは、現金の支給があったときに過剰な消費をしてしまい、次の支給日近くになったときには十分なお金をもって