(英エコノミスト誌 2012年1月21日号) 薄型パネルはどこにでもあるが、その生産で利益を出している人は誰もいない。 少々鈍い仕立屋の古いジョークを憶えているだろうか? 洋服を1着作る度に損をするが、その分、量で埋め合わせしようとする話だ。まさにそれはテレビ用の薄型パネル市場の様子を表している。 液晶ディスプレイ(LCD)を生産している企業――韓国のサムスンやLG、日本のシャープやパナソニック、そしてこれらの企業と競合する台湾企業――は1社として、LCD生産で利益を上げていない。証券会社サンフォード・C・バーンスタインのアルベルト・モエル氏の試算では、業界は2004年から2010年にかけて、累計で130億ドルの経済損失を被ったという。 それも顧客が各社の製品を嫌っているからではない。世界中のカウチポテト族は昨年、2億2000万台の薄型テレビに1150億ドルを投じた。調査会社ディスプレイサ