もう50年近く前の話だが、当時5歳くらいだった兄貴を怪獣に喰われたことがある。 その怪獣は、3階建てのアパートくらいの大きさだっただろうか。 イグアナドンのような見た目で、ある日突然、ウチの近所に現れ町を破壊し始める。 私たち兄弟は手を繋ぎ逃げ回るのだが、ヤツはこちらに目をつけると執拗に追いかけてきた。 土管のような狭い空間に逃げ込んだが、ダメだった。 前脚で兄貴をつかまえると、そのまま口に放り込んでしまう。 上半身を呑まれながら、激しく暴れる兄貴。 足をバタバタさせながら、私の名を呼び泣き叫ぶ。 「お願い助けて!死んじゃうよおぉぉぉ!!」 しかし私は、兄貴を置いて逃げた。 そして何かの物陰に隠れて怪獣の様子を窺うと、ますます泣き叫ぶ兄貴。 やがて“バキッ”というような、背骨が折れるような音が聞こえると、怪獣の口から見える兄貴の足はグッタリして、動かなくなってしまった。 兄貴の服は、幼稚園