厚生労働省は19日、社会保障審議会生活保護基準部会の初会合を開き、5年に1度の生活保護水準の見直しに着手した。同省は同時に、1950年の生活保護創設以来初となる制度の抜本改革に踏み切る意向で、並行して「国と地方の協議」も進め、過去最高の更新が続く保護費の給付総額削減を目指す。しかし、生活に困窮した際の「最後のとりで」である生活保護の切り下げは、最低賃金など他制度の水準にも影響を与え、社会のセーフティーネット水準全体を押し下げる可能性もある。【鈴木直】 「増税の議論が出てくる時に耐えられない制度ではいけない。納税者に一定程度理解される仕組みにしてほしい」。19日の同部会で、厚労省の岡本充功政務官は「納税者の理解」を繰り返した。 ◇給付3.4兆円 生活保護費の財源は全額税金だ。受給世帯数は、92年度の58万5972世帯を底に上昇し続け、09年度には127万4231世帯に達した。給付は09年度に