saavedra.hatenablog.com 中世ヨーロッパはあだ名の時代だ。似たような名前が多くて区別しにくいので、カロリング朝時代には単純王や短躯王、敬虔王など、さまざまなあだ名が歴史書に登場してくる。これらカロリング朝諸王の中、とりわけ印象に残るのは「禿頭王」カールだ。彼の頭部についてはフクバルトによる「カールのハゲ礼賛の韻文詩」が書かれているが、なぜ禿頭に礼賛されるほどの価値があったのか。この問いに、以下の論文は答えている。 カール禿頭王は本当に禿げていたか この紀要論文は全14ページと短いので、興味のある方はぜひ直接読んでほしいが、内容をここで簡単に紹介しておく。まずローマ時代には男性の頭髪は短く、長髪は蛮族の特徴とみなされていた。ローマから見ればゲルマン人は蛮族だが、ゲルマン人のなかでもメロヴィング朝の王たちは特に髪を長く伸ばしていたという。これはローマ文化に対抗するためだっ