迷い猫を保護し、「りゅうのすけ」という名をつけ、家族になってから一年が経過した。 「りゅうのすけ」と呼ぶと、視線をこちらに向けてくれるまでの関係を築くことができ、私はとても嬉しく思っている。 ただ、気がかりなことが一つあった。 保護してから一度も、りゅうのすけの威嚇や怒りの感情を見たことがなかった。 最初は、「捨てられたらどうしよう」という不安から自分を抑えているのではと考えていたが、何やかんやで現在にまで至ってしまった。 りゅうのすけには、辛い思いも悲しい思いもして欲しくなかった。 まだ不安なのだろうか。 無理をしているのだろうか。 そんなことを考えると、鼻の奥がツンとした。 「りゅうのすけが威嚇したり、機嫌が悪いときって見たことがないよね?」 不安になり、リビングでコーヒーを飲みながら休憩している母に尋ねてみると「ん~、そうね」と穏やかな口調で喋りだした。 「基本的にりゅうは優しい性格