杉田聡『男権主義的セクシュアリティ』 「あなたを信頼していたけど、あなたまでポルノを見ていたなんて死にたくなった。死ぬ。世の男性とあなたのせいで死ぬことにした」 ぼくが「アダルトビデオ」を見たことがある、とある女性に言ったら、こう言われた。 彼女は、同じサークルで、しかも「進歩的」とおぼしき人々が集まる場所で、男性たちの手によって水着の女性のグラビアが載った雑誌が無造作に放っておかれることに、どうしようもないほどの不快感をおぼえていた。 その女性から聞かれたので、ぼくも正直に答えた。「街を歩いている女性に劣情をもつことがあるか」、「ある」。自分もそんなふうに欲情されている対象だと思うと反吐が出る、と彼女は言った。 男たちは彼女に問いつめる。 「じゃあさ、ポルノって、グラビアアイドルもダメなの? 頭のなかで妄想するのもダメ?」 彼女は怒る。 「男は、すぐそうやって、『境界』を持ち出す。境界の