かのコリン・ウィルソンは著書『現代殺人百科』の「テッド・バンディ」の項を次のように書き始めている。 「バンディは殺人者としては異例に属する。法廷に彼が現われた時、そこで彼を初めて見た者は我が眼を疑った。何かとんでもない間違いが起こっているのではないか。それほどにバンディは犯罪とは無縁の好青年に見えた。しかし、セックス殺人において、彼が何か記録のようなものを作ったことは確かである」。 バンディは結局、30人の殺害を認めて死刑となった。しかし、その被害者は100人を超えると信じられている。そして、彼の経歴を見れば判るが、この頭脳明晰にして容姿端麗の男こそ、史上最悪の連続強姦殺人鬼なのである。 セオドア・ロバート・バンディ、通称テッド・バンディは1946年11月24日、21歳のルイーズ・コーウェルの私生児として生まれた。父親の素性は、今なお謎とされている。 厳格なメソディスト派のコーウェル家にと