藤井敏嗣(ふじい・としつぐ) ●1946年生まれ。東京大学理学部地学科卒業。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了(理学博士)。東京大学地震研究所教授、同所長などを経て、現在は東京大学名誉教授。2011年より環境防災総合政策研究機構専務理事。03年より気象庁・火山噴火予知連絡会会長。 ――川内原子力発電所に関する再稼働審査では、火山の噴火リスクが大きな注目点になりました。 原子力規制委員会は自ら策定した「原子力発電所の火山影響評価ガイド」(以下、火山ガイド)に基づいて、カルデラ噴火のような巨大噴火(破局的噴火)による「設計対応不可能な火山事象(=火砕流)」が原発の運用期間中に影響を及ぼす可能性を検証したうえで、「その可能性は十分に小さい」とする九州電力による評価は「妥当である」と審査書案で述べている。しかし、大多数の火山の研究者の意見は、「可能性が大きいとか小さいとかいう判断自体ができない