梅毒は、1492年のコロンブスによるカリブ海のサンサルバドル島(新大陸)発見に続く、新大陸との交流時代、いわゆる大航海時代に旧大陸*に持ち込まれた性感染症である。病原体である梅毒トレポネーマ(1905年にシャウディンとホフマンが発見。初めはスピロヘータと命名されていた。)は新大陸の住民の間で長年トロポネーマが症状を出さない良性のまま体内で受け継がれてきた。それが新しい宿主として旧大陸のそれまで免疫のない人々の間で症状が強く出て、急速に感染拡大していった。最初スペインそしてヨーロッパに持ち込まれてからアジアの東端まで20年の間に当時としては驚くほどのスピードで広がった。大坂(現・大阪)には1512(永正9)年到達なので、マジェランのスペイン艦隊世界一周(1519~1522年)やポルトガルの種子島到達(1543年)より早く東アジアに到達している。 梅毒の症状である第1期のしこりや第2期の紅斑は