僕は食品会社の営業部長、先日、ある問題社員を上層部から託された。営業部門は表向き「会社の看板を背負っている」と持ち上げられるが、他の部署でパッとしなかった人材が送り込まれてくる姨捨山のような場所でもある。僕は会社から珍獣使いとして評価されている。自称必要悪くん、「刺身が生だ」部長、仕事中の居眠りが止められない眠狂四郎君、役職を与えられれば本気出しますよ氏、言われたこと以上の仕事は出来ませんマン……思いつくだけでここ十年くらいの間にこれだけの厄介な人を面倒を見てきた。時間の無駄であった。これからの職業人生でこの無駄な時間を少しでも取り返していきたい。と心に誓った矢先にこれだ。 問題社員はクライアントから運営を委託されているレストランの責任者だ。腕はよく、客先からの評価は高い。その一方で問題をたびたび起こすため取り扱いが難しい。手を焼いた上層部が珍獣使いとして評価を得ている僕に彼を任せたのだ。