ハードディスク VS 人間の記憶力 “記憶の正確さ”ということに関していうと、私たちの脳は、ハードディスクなどのストレージの足元にも及ばない。現代人の生活は、この外部記憶装置に助けられて成り立っている。しかし、仏教が誕生した約二千五百年前というのは、ハードディスクはおろか、紙などの記憶媒体もない時代である。初期の仏教は、ひたすら人間の脳の記憶によって伝承されてきた。 お釈迦さまは、35歳でさとりを開いてから、80歳で入滅するまで各地をめぐって教えを説いた。生前にはその教えがまとめられることはなかったから、死後4ヵ月が経ったとき、ラージャグリハに五百人の弟子たちが集まり、亡き師から聞いた教えを確認し合った。これを第一結集(けつじゅう)という。今日的な表現でいえば、五百人の脳内に書き込むことで冗長化をはかり、データの保全を期したというところだろう。 仏教教団という大きな組織体を維持していくのに
形式と構造のことばとしての「数学」 数学とはことばの世界である、などというようなことを前回の記事でかなり強く主張したわけだけれども、じゃあぼくが数学をどれほど理解しているのかというのはまったく別の問題になる。 乏しい知識で語っちゃう浅はかさをお許しいただきたいのだが、20世紀は数学にとって激動の時代だった。なかでももっとも広く知られ、数学の範疇さえこえて多大な影響をおよぼしたのがクルト・ゲーテルの「不完全性定理」だろう。 不完全性定理の発端となるのはダフィット・ヒルベルトによる「数学という体系そのものを数学しよう」という試みだった。ヒルベルトは19世紀後半から20世紀前半にかけて活躍した大数学者で、「無限ホテルのパラドックス」という無限と有限の概念に関するこれまた有名な思考実験でも知られているのだが、この件に関してもパラドックスが重要なテーマとなっている。 ヒルベルト自身は数学の完全性を信
フリーペーパーに込めた祈り 今から10年あまり前のことである。 20代中頃、お坊さんとして駆け出しの私は、悶々とした想いを抱きながら、時間の許すかぎりPCに向き合っていた。 ある日は、HTML、CSS、PHP、MySQLなどWeb系のプログラミング。 またある日は、Flash、After Effectsなど動画の処理。 また別の日は、Illustrator、Photoshopなどグラフィック系の勉強。 大学院を中退してお坊さんとして生き始めてから数年間、やれることはとことんやった。学べば学ぶほど、そこには希望が感じられた。「お寺離れ」と言われる状況を打破する力もあるように思われた。しかし、定年退職のないお寺の世界では、超ご高齢のお坊さんたちの意見が中心である。ITの入り込む余地はなかった。 いくら対話してみても世代間の隔たりは埋まりそうにない。しびれを切らした私は、教団内で抵抗することを諦
仏教×ITの可能性 「お坊さんもアイドルみたいなもんだから、ShowRoomで配信したら若い人たちに響くんじゃないか」 「私のYouTubeチャンネル、登録者数が4,500人を超えました。動画は威力がありますよ」 「門前の掲示板、通りがかりの人がけっこう読んでくれてます。だから、読んだ人が写真撮ってSNSに投稿したくなるように言葉を考えてます」 いずれも、ここ数日に出会ったお坊さんたちとのナマの会話の一コマである。他愛もない雑談の場ではあったが、お坊さんたちの顔つきはみな真剣だった。仏教とIT。一見、異質な分野であるが、ITが提供する新しいプラットフォームに2,500年の伝統を誇る仏教のコンテンツが融合すれば、面白い化学反応が起こることは想像に難くない。だから、同世代のお坊さんたちが集まって話すと、決まってITの話で盛り上がる。 お釈迦さまもITを推奨!? とはいえ、これは本当に仏教の革新
「パウリの排他原理」で有名な理論物理学の偉人ヴォルフガング・パウリはひどく実験が下手な科学者だった。あまりにも実験が下手すぎたので「実験が失敗するのはパウリのせい」というジョークも生まれ、これは「パウリ効果」として広く知られて複数の逸話がいまでもよく語られている。 なかでも有名なのは、ゲッティンゲンの研究所における爆発事故だ。実験中におこったこの事故で研究員はまずさきにパウリを疑ったが、かれはその日はとある街を目指して列車に乗っていた。しかし調べてみると、事故が起こった時刻、パウリを乗せた列車はちょうどゲッティンゲンに停車中だったことが明らかになったという。 ※【たわごと日和。】第1回 「発想」はどこからやってくるのか……羽生善治の「大局観」とAIによる「演算処理」 理系の研究室では日夜フラスコが揺られているのか? この話はさておき、ぼくは関西に住んでいるのだが、先日、学生時代に妹のように
ラグジュアリーブランドとIT系デバイスのコラボはこれまでも多くリリースされてきたが、今回の製品は、期待が高まる。ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)が本日11日、スマートウォッチ「Tambour Horizon(タンブール ホライゾン)」をリリースしたのだ。 筆者はまだ、製品を手にしてはいないが、同社発表によれば今回リリースされたのはスマートウォッチ。OSがGoogleが開発するAndroid Wear(2.0)で駆動し、iPhoneやAndroidスマートフォンとペアリングが可能。ウォッチフェイスの変更も可能で、ダウンロード形式になっていることからシーズンごとなど随時追加されていくものと予想される。モデルは、「タンブール ホライゾン モノグラム(税込299,160円~)」「タンブール ホライゾン グラフィット(税込299,160円~)」「タンブール ホライゾン ブラック(税込36
突然だが、皆さんは中国に行ったことがあるだろうか。 おそらく、行ったことがある方と行ったことがない方の間で評価がここまで大きく分かれる国は他にないのではないかと思う。行ったことのない方にとっては、メディアの影響からか社会主義の国であり、国内では自由がなく、コピー製品に溢れているという印象だろうか。もちろん地方都市ではそのようなエリアもまだ存在するだろうが、上海や北京に限って言えば、間違いなくその評価は正しくない。 実際、筆者は年に2~3度中国(北京または上海)に行く機会があるが、そこは日本でもなかなかないほどの高層ビル群であふれ、それでいて世界でも有数のIT先進国であると感じる。日本と同じアジアであるにも関わらず、その広大な国土も相まって、まるでアメリカのように感じられてしまうのである。 ◆人々に浸透した「微信(WeChat)」 日本でメッセージングアプリと言えば、真っ先に「LINE」が思
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