■姿を消した春を売る女性たち 黄金町駅の改札を出て、「初黄町内会 大岡川桜通り」と掲げられた看板をくぐれば、そこはもうちょんの間街だ。妖しげな赤い灯りに照らされた飲食店から覗くアジアや南米からやって来た女性たち、そして彼女たちを品定めするかのごとくこの通りを往来していた男たちの姿といったかつての黄金町の喧騒は、今はもうない。真っ暗闇の路地で出会う者といえば、パトロール中の警官ぐらいだ。 京浜急行 黄金町駅(KEIKYU WEB) 「それまでは店舗数が250店を数え、700~800人の女性が1日3交代で働いていた」。そう語るのは、「初黄・日ノ出町環境浄化推進協議会」の広報イベント部会長を務める谷口安利さん。谷口家はこの地で落花生店を約100年にわたって営んでおり、谷口さんはその4代目だ。もともとは問屋街だったこのエリアが、風俗街へと変貌を遂げるさまを目の当たりにしてきた。そして、こうした現状