月刊『世界』2009年8月号〈岩波書店〉 取材:佐藤大介 1972年生まれ。明治学院大学卒。 共同通信ソウル特派員。 『世界』2008年3月号に「『実質的死刑廃止国』へ踏み出した韓国」を寄稿。 JR岡山駅からバスで約20分。のどかな郊外の道を5分ほど歩いていくと、コンクリートの高い壁が視界に入ってくる。岡山刑務所(岡山市牟佐)は、LA級と呼ばれる「懲役8年以上で犯罪傾向の進んでいない受刑者」が収容されている施設だ。約1000人の収容者(未決を含む)の中には、200人以上の無期懲役囚が含まれている。 2006年も暮れようとしていた12月26日、1枚の便箋に書かれた手紙が、無期懲役囚の男の独居房に届けられた。 「今年も残り少なくなりました。健康の様子何よりです。私も年と共に弱くなり、昨年に続き今年は2回長期入院致しまして、返事も出さず失礼致しました。Aの供養代はありがたく仏前に供えさ