【大阪から世界を読む】 飲酒ひき逃げ事件を起こした財閥の御曹司と、身代わりに出頭し罪を被ろうとする使用人。そんなウソが発覚しても、お坊ちゃんは罪を免れようとする…。安っぽい2時間ドラマのようだが、これはタイで今年9月、実際に起きた事件だ。政治家や財界人らが、権力と金にものをいわせて幅をきかせ、「逃げ得」を決め込もうとする上流階級層の横暴。あきれた事件からみえるものとは。(菅澤崇、大谷卓) ■8千万円の無残なフェラーリ 英字紙バンコク・ポストなどの地元メディアによると、事件の経緯はこうだ。 9月3日午前5時半ごろ、バンコクの路上で事故は起きた。イタリアの高級車、黒色のフェラーリが、パトロール中の警察官の男性が運転するオートバイと衝突した。警察官は転倒後、200メートルも引きずられて死亡。首の骨は折れ、全身の骨が粉砕していた。 通報を受け、警察が捜査を開始すると、事故現場からある豪邸まで点々と