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ブックマーク / shorebird.hatenablog.com (32)

  • 書評 「ダーウィンの進化論はどこまで正しいのか?」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    ダーウィンの進化論はどこまで正しいのか?~進化の仕組みを基礎から学ぶ~ (光文社新書) 作者:河田 雅圭光文社Amazon 書は進化生物学者河田雅圭による進化の一般向けの解説書になる.河田は新進気鋭の学者であった1990年に「はじめての進化論」を書いている.当時は行動生態学が日に導入された直後であり,新しい学問を世に知らしめようという意欲にあふれ,かつコンパクトにまとまった良い入門書だった.そして東北大学を定年退官して執筆時間がとれるようになり,その後の30年以上の学問の進展を踏まえ,改めて一般向けの進化の解説書を書いたということになる.ダーウィンの議論の今日的当否を問うような印象の題名だが,それは書の極く一部の内容で,基的にはいくつかの誤解が生じやすいトピックを扱いつつ進化とは何かを解説する書物になっている. 第1章 進化とは何か 1.1 そもそも進化とはなんだろうか? 第1章第

    書評 「ダーウィンの進化論はどこまで正しいのか?」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
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    REV 2024/05/15
    リソース配分の問題であり、例えば年間売上4兆円の会社がR&Dに1兆円投資したら会社が傾くが、じゃあR&Dには千億円くらいしか投資せず古いエンジンを使い続けると利益は上がるが時代の変化で死ぬ恐れが
  • 書評 「進化が同性愛を用意した」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    進化が同性愛を用意した: ジェンダーの生物学 作者:坂口 菊恵創元社Amazon 書は進化心理学者坂口菊恵による同性愛を扱った一冊.坂口は進化心理学的に性淘汰産物としてのヒトの行動性差,個人差について探究し,その後その至近要因にも踏み込んで内分泌行動の研究も行ってきた研究者だ.単著としてはナンパや痴漢のされやすさの個人差に関する「ナンパを科学する」に続く2冊目ということになる. 書は同性愛を科学的に考察するものだが,まず同性愛行動そのものが複雑で多層的な側面を持つこと,またラディカルなフェミニズムや社会正義運動の吹き荒れる昨今,同性愛はなかなか社会的に微妙なテーマとなっていること,さらに(環境要因として)同性愛の社会史や文化史まで視野に入れていることから,かなり複雑で込み入った構成となっている. Part 1 同性愛でいっぱいの地球 第1章では動物界に同性愛行動がありふれていることが強

    書評 「進化が同性愛を用意した」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
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    REV 2023/08/13
    性愛モジュール内部の同性愛忌避サブユニットを強化するとコスト高になり集団の生存には不利益になったんじゃと考えてる。
  • 書評 「進化心理学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    進化心理学 (放送大学教材) 作者:大坪 庸介放送大学教育振興会Amazon 書は進化心理学者大坪庸介の手になる進化心理学の教科書だ.今2023年度から放送大学で「進化心理学」が開講され,その教材として出版されたものだ.放送大学なら(BS視聴環境があれば)誰でも視聴でき,このようにテキストも出版されているので,初学者にとってはとてもうれしい学習環境になったというべきだろう. 冒頭の「まえがき」でいきなり,「進化心理学について学びすぎないようにしてください」とあって驚かされるが,教科書に書いてあることを鵜呑みにするのではなく自分で考えることによって理解が深まるのだという趣旨のようだ.そして進化心理学は「進化・適応」という大原則から統一的な理解が得られるという面白さがあること,進化的な説明が現代の倫理観とかけ離れたものであることが多く,誤謬のリスクがある反面,価値中立的に事実を評価することに

    書評 「進化心理学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
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    REV 2023/05/01
    進化心理学は大好きだが「自分の構築したモデルに合わせて現実を観測し、モデルに合致した進化適合環境を想像する学問」という揶揄はある。進化遺伝学はダイスを振る人たちからは好意的に受容されているようだが。
  • 書評 「暴力と紛争の“集団心理”」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    暴力と紛争の“集団心理” 作者:縄田健悟ちとせプレスAmazon 書は社会心理学者縄田健悟によるヒトの暴力についての社会心理学的知見,特に集団モードで生じる暴力についての知見を丁寧にまとめたになる.私としてはヒトの暴力についての進化心理学的な取り組み(そのような行動傾向はどのように進化したのか,どのような適応的機能があるのか,あるいはないのか)についてはいろいろ読んできたものの,社会心理学的な取り組み(そのような行動はどのような状況で生じるのか)についてはその時々に断片的な知識を読んできただけであり,一度きちんとまとめて読もうと思って手に取った一冊になる. 序章 暴力と紛争の“集団心理” 書ではヒトの性としての「集団心理」を取り扱う旨が最初に宣言される.ここでは進化心理的な側面も含めて「集団心理」について整理されている.また社会心理学は基的に「ヒトの行動は状況次第だ」と考える学問

    書評 「暴力と紛争の“集団心理”」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
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    REV 2023/02/12
    “共通目標と共通上位集団アイデンティティ” 共産目標と共産上位集団アイデンティティに空目した
  •  「ゲーム理論による社会科学の統合」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    ゲーム理論による社会科学の統合 (叢書 制度を考える) 作者: ハーバート・ギンタス,小川一仁,川越敏司,佐々木俊一郎,成田悠輔出版社/メーカー: エヌティティ出版発売日: 2011/07/14メディア: 単行購入: 9人 クリック: 328回この商品を含むブログ (17件) を見る 書はNTT出版による業書「制度を考える」の一冊.著者のハーバート・ギンタスはゲーム理論家で行動科学者ということだが,多くの学際的な活動で知られる.書もその邦題からわかるように非常に学際的な性格の強い書物であり,書を貫くギンタスの主張は「ヒトの行動にかかる学問は,社会科学,生物学,心理学,経済学という分野ごとに分断化され,相互に相容れないモデルを使っているが,それは大変嘆かわしい状況である.そして行動科学は,ヒトを拡張された合理性を持つプレーヤーと扱い,社会規範を入れ込んだゲーム理論によって統合が可能で

     「ゲーム理論による社会科学の統合」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
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    REV 2020/06/01
    「逆にゲーム理論家たちは傲岸不遜にもこれまでの社会科学や社会心理学の事実の知見や理論の貢献を無視していると指摘し,彼等は「あらゆる問題が釘のように見える金槌を持った男」だ」
  • 2018-09-23

    医療現場の行動経済学―すれ違う医者と患者 作者: 大竹文雄,平井啓出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2018/07/27メディア: Kindle版この商品を含むブログ (1件) を見る 書は行動経済学の知見を応用して医療現場をより良いものにしたいという思いで書かれただ.編者は大竹文雄と平井啓で,行動経済学者や医師などこの問題に取り組んでいる17人の分担執筆になっている.日では長らく医師がよかれと思う治療を(医学的知識がないと想定される)患者に施すパターナリズム型の医療が主流だったが,ここ20年ぐらいで,医師が患者に医療情報を提供して医師と患者の合意による治療にかかる意思決定を行うインフォームドコンセント方式に切り替わっている.そしてこのインフォームドコンセント方式は患者が確率を含む情報を理解して合理的に意思決定ができることが暗黙の前提になる.これはまさしく経済学は人間をホモ

    2018-09-23
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    REV 2019/05/05
  •  「Cheats and Deceits」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    Cheats and Deceits: How Animals and Plants Exploit and Mislead 作者: Martin Stevens出版社/メーカー: OUP Oxford発売日: 2016/02/04メディア: Kindle版この商品を含むブログ (3件) を見る 書は動物による騙しのシグナルを扱った解説書だ.著者はこのテーマでリサーチを行い,総説書も執筆している行動生態学者マーチン・スティーヴンズ. 動物のシグナルは受け手を操作するために出されているはずだというのはドーキンスとクレブスによる洞察だが,受け手は平均して利益がないとそれを信用しなくなる.そのためには基的にシグナルは正直でなければならないが,送り手と受け手で利益が相反するならそれにはハンディキャップが必要になる.そしてこのような正直なシグナルシステムに対して頻度が少なければ(受け手の平均利得

     「Cheats and Deceits」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
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    REV 2016/06/05
    「そしてこのような正直なシグナルシステムに対して頻度が少なければ騙しのシグナルがいわば寄生的にシステムに潜り込むことができるのだ」互助会とか。
  •  「モラルの起源」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    モラルの起源―道徳、良心、利他行動はどのように進化したのか 作者: クリストファーボーム,Christopher Boehm,斉藤隆央出版社/メーカー: 白揚社発売日: 2014/11/01メディア: 単行この商品を含むブログ (18件) を見る 書は文化人類学者であるクリストファー・ボームによるヒトの道徳の進化についての自身の長年の考察をまとめたものだ.基的にチンパンジーの観察データ及び狩猟採集民の観察データから出発して,利他的な行動特性,特に(その至近的な心理メカニズムとして)キーになっていると考える道徳的な良心の進化を,その進化理論と進化経路を合わせて考察して仮説にまとめ上げることを主眼としている.一般向けではあるがなかなか重厚な書物になっている.原題は「Moral Origins」 書はまずダーウィンのヒトのモラルの進化についての取り組みを紹介し,そこから血縁者以外への利他

     「モラルの起源」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
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    REV 2016/05/31
    フリーライダー排除って、要するに互助会の排斥ってことか
  •  「なぜ理系に進む女性は少ないのか?」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    なぜ理系に進む女性は少ないのか?: トップ研究者による15の論争 作者: スティーブン・J.セシ,ウェンディ・M.ウィリアムス,Stephen J. Ceci,Wendy M. Williams,大隅典子出版社/メーカー: 西村書店発売日: 2013/06/08メディア: 単行この商品を含むブログ (8件) を見る 書は,題名通り科学技術分野での女性の進出にかかるで,2005年のハーバード総長のローレンス・サマーズの発言がきっかけになって,2006年に編纂されたものである.当時の(少なくとも出版されたもの,ネットで公表されたものの)議論の大半が表面的でエビデンス・ベースでなかったこともあり,特にエビデンス・ベースで議論を行えるトップリサーチャーに17人に件に関する原稿を依頼し,うち15人から応諾を得たものだ.そして企画・編集を行ったウィリアムズとセシが書の最初と最後に「背景設定」

     「なぜ理系に進む女性は少ないのか?」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
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    REV 2016/01/27
    ベルカーブ、再び
  •  「セックスと恋愛の経済学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    セックスと恋愛経済学―超名門ブリティッシュ・コロンビア大学講師の人気授業 作者:マリナ・アドシェイド東洋経済新報社Amazon 書は経済学者マリナ・アドシェイドがセックスと恋愛に絡むミクロ経済学的分析をかなり赤裸々に講義してくれるもので,進化心理学的には説明すべき現象としていろいろと興味深いものだ.原題は「Dollars and Sex: How Economics Influences Sex and Love」. 書では基的に様々な経済的な環境がヒトの恋愛,セックス,結婚離婚の意思決定にどう影響を与えるかが分析されている.その選好や動機はすでにある事実として前提になっていてそこを説明しようとするものではない.(もっともアドシェイドは一部進化的にこれを説明しようと試みているが,その部分はかなりスロッピーで残念な議論*1になってしまっている.) 全体の構成としては,若いときから子

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    REV 2015/07/26
  •  「ヒトはなぜ協力するのか」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    ヒトはなぜ協力するのか 作者: マイケルトマセロ,Michael Tomasello,橋彌和秀出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2013/06/30メディア: 単行この商品を含むブログ (10件) を見る 書は発達心理学者マイケル・トマセロによるヒトの協力についてのである.これは元々スタンフォード大学で2008年10月に行われたタナー講義(Tanner Lectures on Human Value*1 )におけるトマセロの2回の講演「Origins of Human Cooperation」とそのディスカッションをまとめたもので,小振りだが,趣旨が明快なになっている. トマセロといえば,発達心理,比較心理の視点からリサーチを行い,言語獲得において,チョムスキーによる生得的な生成文法,言語構造を認めずに激しくがんばっていることで有名であり,文法を含む言語能力の生得性について全く

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    REV 2013/08/28
    「トマセロはこのような発達初期の利他性は3歳以降の社会化によってはっきりとした形に調整されると議論を進める.(これをルソーかホッブスか問題への一つの解答」
  •  「科学を語るとはどういうことか」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    科学を語るとはどういうことか ---科学者、哲学者にモノ申す (河出ブックス) 作者: 須藤靖,伊勢田哲治出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2013/06/11メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログ (20件) を見る 書は物理学者須藤靖と科学哲学者伊勢田哲治による科学哲学を巡る対談集である.実際には対談時のやりとりをベースにして,双方が調整しつつ加筆修正を加えており,メリハリの利いたきびきびとした対談に仕上がっている.帯を含めた装丁も大胆で,思わず手に取りたくなるうまい作りだ. 対談にいたる経緯は須藤の「はじめに」と伊勢田の「終わりに」にそれぞれ書かれている.須藤は因果を巡る「あまりにも的外れ」な議論が科学哲学においてなされていることを知り,その後に知り得たことも含めた科学哲学についての批判的な講義を駒場において行う.その講義案を伊勢田がネットを経由して閲覧し,

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    REV 2013/06/23
  •  「生き物たちは3/4が好き」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    生き物たちは3/4が好き 多様な生物界を支配する単純な法則 作者: John Whitfield,野中香方子出版社/メーカー: 化学同人発売日: 2009/01/29メディア: 単行購入: 2人 クリック: 60回この商品を含むブログ (17件) を見る 英国のサイエンスライター,ジョン・ホイットフィールドによる生態学の啓蒙書.原題は「In the Beat of a Heart」だが,特に動物の身体に対する代謝アロメトリー指数0.75の普遍性に焦点が当てられていて,邦題の「生き物たちは3/4が好き」というのもあながち的外れではない.私としては「これからの進化生態学」において生活史戦略の理解において非常に普遍的で基礎的な発見として紹介されていたので興味を引かれて書も読んでみたものだ.丁寧な取材と基礎知識の深さが英国の科学啓蒙書の伝統を感じさせる作りになっている. 書は大きく2つの部分

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    REV 2013/01/19
    「世はなべて4分の3」
  •  「天敵なんてこわくない」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    天敵なんてこわくない―虫たちの生き残り戦略 作者: 西田隆義出版社/メーカー: 八坂書房発売日: 2008/06/01メディア: 単行購入: 4人 クリック: 51回この商品を含むブログ (4件) を見る 書は昆虫生態学者の西田隆義による自らの研究物語だ.2008年の出版.八坂書房という小さめの出版会社から出されていたためか当時見逃していたのだが,昨年出版された共立出版の「行動生態学」の捕回避の章で紹介されていたので読んでみた. 著者の最初の問題意識は個体群生態学的なもので,ある生物種の個体数変動を天敵が抑えるという現象はなぜ生じるのかというところから始まる. 数理的にはロトカ=ヴォルテラ方程式のような形で天敵は被者の爆発的増加を抑えることができるし,有名なカナダのタイガにおけるオオヤマネコとカワリウサギのサイクル的な増減の報告もあるのだが,実はこのリサーチはその後の追跡では怪しい

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    REV 2013/01/19
  •  「利他学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    利他学 (新潮選書) 作者: 小田亮出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/05/25メディア: 単行購入: 11人 クリック: 125回この商品を含むブログ (10件) を見る 書は進化心理学者小田亮によるヒトの利他行動にかかる.様々な利他行動の進化プロセスと,それに対応した至近的な心理のメカニズムを扱っている.自らのリサーチも数多く紹介してくれていて読んでいて面白い. 第1章ではティンバーゲンの4つの「なぜ」を導入に,進化適応を簡単に説明,その後利他行動の進化メカニズムを順に解説する.血縁淘汰,直接的互恵行動,間接的互恵行動,マルチレベル淘汰という順番になされている.血縁淘汰とマルチレベル淘汰周りのややこしい話は避けて,あっさりと「この考え(マルチレベル淘汰)は血縁淘汰と相反するものでなく,同じことを言っているといえる」とふれるにとどめている.そのあたりは主題ではないので深

     「利他学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
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    REV 2012/05/30
    「ブラウンらのリサーチによると,利他者と見分けるキューは微笑みが左右対称であること,微笑みの反応時間が短いこと,目尻のしわあたりが重要」「著者は意識的に作った微笑みは右側が上がりやすい」
  •  「農耕起源の人類史」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    農耕起源の人類史 (地球研ライブラリー 6) 作者:ピーター・ベルウッド京都大学学術出版会Amazon 原題は「First Farmers: The Origins of Agricultural Societies」農耕の起源と拡散のこれまでの考古学的な知見を総合化して示し,遺伝子,言語学からのデータをあわせて提示するという壮大なもの.コリン・レンフルーやジャレド・ダイアモンドも推薦の辞を寄せており,モニュメント的な大著だ.何しろ参考文献だけでA4判の書で小さなポイントを使って57ページを占めている. 読書体験は予想されるとおり,分野をまたがる統合,巨大な仕事を追体験する圧倒的なものだ.書の醍醐味はまさにこの巨大な仕事の追体験である.圧倒的な世界中のデータの統合から浮かび上がるのは,農耕の起源とともに農耕文化とその担い手の言語が急速に拡散し,遺伝子は勾配を持って混じり合っていくパター

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    REV 2012/02/23
  •  「頭のでき」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    頭のでき―決めるのは遺伝か、環境か 作者: リチャード E ニスベット,水谷淳出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2010/03/12メディア: 単行購入: 6人 クリック: 78回この商品を含むブログ (13件) を見る 「名誉と暴力」でアメリカ南部の文化を適応的に説明した社会学者ニスベットによるIQについてのである.原題は「Intelligence and How to get it: Why Schools and Cultures Count」*1 主な内容は,一部の極端な論者による「IQがほぼ遺伝で決まる」という主張が誤りであること,そしてどのような環境要因がIQの個人差に効いてくるかというものになっている.そういう意味では,書は副題にあるように「遺伝か環境か」という二者択一的な立場に立っているわけではない.遺伝「も」環境「も」効いているという当然の前提に立っている

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    REV 2010/12/20
    //「アフリカ系の少年間には勉強をしようとするものへのいじめがあり,それが悪い影響を与えている」 そういう国は他にもありそうだねw
  •  「数覚とは何か?」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    数覚とは何か?―心が数を創り、操る仕組み 作者: スタニスラスドゥアンヌ,Stanislas Dehaene,長谷川眞理子,小林哲生出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2010/07/01メディア: 単行購入: 5人 クリック: 144回この商品を含むブログ (31件) を見る 書は認知心理学者スタニスラス・ドゥアンヌによる数量の認知や計算,そして数学に関する脳の仕組みにかかるだ.ドゥアンヌはフランスの研究者で数学から認知心理学に転向したという経歴を持つ.原題は「The Number Sense: How the Mind Creates Mathematics」,出版は1997年とやや古い.もっとも訳者の長谷川眞理子先生のあとがきによると,現在でもこの主題についてはわかりやすいまとめとして有用なだということだ. ドゥアンヌは,まず動物とヒトに共通の「数を量的に把握できる能力」が

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    REV 2010/09/13
    数覚がadhocに用いられることは、歴史感覚がadhocに用いられる例を見れば不思議ではないかw
  • 「Spent」第1章 ダーウィン,モールへ行く その1 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    Spent: Sex, Evolution, and Consumer Behavior 作者: Geoffrey Miller出版社/メーカー: Viking Adult発売日: 2009/05/14メディア: ハードカバー購入: 4人 クリック: 183回この商品を含むブログ (50件) を見る さてこれからGeoffrey Millerの「Spent」を読んでいこうと思う. ミラーは「The Mating Mind」(邦訳「恋人選びの心」)で有名な進化心理学者だ.「The Mating Mind」はヒトの心の広範囲な特徴が性淘汰による適応形質ではないかということが議論されていて大変興味深いだった.ミラーはその後この路線のリサーチをつづけていて,道徳についても性淘汰説を打ち出している.(私のレビューはhttp://d.hatena.ne.jp/shorebird/20091123#1

    「Spent」第1章 ダーウィン,モールへ行く その1 - shorebird 進化心理学中心の書評など
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    REV 2010/03/26
  •  「なぜ女は昇進を拒むのか」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    なぜ女は昇進を拒むのか――進化心理学が解く性差のパラドクス 作者: スーザン・ピンカー,Susan Pinker,幾島幸子,古賀祥子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2009/06/25メディア: 単行購入: 6人 クリック: 68回この商品を含むブログ (11件) を見る スティーヴン・ピンカーの実妹スーザン・ピンカーによる書は,フェミニズムの大きな論点の1つである女性の社会的地位をめぐる「ガラスの天井」にかかる議論を扱っている.原題は「The Sexual Paradox: Men, Women, and the Real Gender Gap」. スーザン・ピンカーは発達心理学者で,臨床心理士としての活躍してきたキャリアを持つが,兄と同じように進化心理学についての研究者であるわけではない.実際に書の中ではトリヴァースのオスとメスの性差にかかる進化生物学的な議論は紹介されてい

     「なぜ女は昇進を拒むのか」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
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    REV 2009/08/02