前回、居酒屋などで2割引のクーポンが乱発されていることを書いた。今回はその続きだ。 私が住んでいる町では、日が落ちる頃から居酒屋の呼び込みが大挙して現われる。「お安くしときますよ」と通行人に片っ端から声をかけ、店に客を連れて行こうとさかんに勧誘する。 こうした呼び込みのいる店と、割引クーポンを出している店はほぼ重なっている。 呼び込みが客を連れてくると、店は飲食代金の20%を“成功報酬”としてキックバックする。20人の団体客をつかまえて、飲み放題込みで1人3500円のコースを注文してもらえば、売上げ7万円の2割=1万4000円が呼び込みの取り分になる。これは時給1000円として14時間分の労働に相当するから、思いのほか割のいい仕事だ。 町に呼び込みが溢れるようになったのも、この成功報酬制から説明できる。客を連れてこなければ店は1銭も払わなくていいのだから、呼び込みの数は多ければ多いほどいい