「韓国なんて要らない」とうたう週刊誌やテレビの報道、慰安婦をモチーフとした少女像を巡る展示の中止…。はびこる「嫌韓」の空気に眉をひそめる人がいる。水戸市の高鍋あいさん(91)。太平洋戦争末期、陸軍の工場に動員され、朝鮮人徴用工と共に働いた。「あの頃に引き戻されるよう」と薄気味悪さを感じている。(安藤恭子) ◆怒鳴られ、殴られ、見下され… 高鍋さんは新潟県の高等女学校を卒業した一九四四年春、戦時下の労働力不足を補うために創設された「女子挺身隊」に入隊。十七歳で旧日本陸軍の工場「相模陸軍造兵廠」(相模原市)に動員され、戦車の計器組み立てなどを担った。 その年の冬、数十人の朝鮮人徴用工がやってきた。別棟で働き、監督役の軍人から怒鳴られ、日常的に殴られていた。話す機会はなかったが、夜中まで黙々と働く姿が印象に残った。 他の男性工員らも「朝鮮野郎」と見下していた。ある日、一人の工員が高鍋さんに「やつ