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ブックマーク / honz.jp (90)

  • 『嫌われた監督』「揺るぎない個」はなぜ嫌われたか - HONZ

    週刊誌の発売日を指折り数えて待つことなんて久しくなかった。 発売日には文書砲そっちのけで、まずこの連載のページを開き貪り読んだ。 スポーツノンフィクションの傑作といえば、誰もが山際淳司の『江夏の21球』をあげるだろう。もちろん異論はない。ただあの作品は「永遠のマスターピース」というべき傑作だし、ぼちぼち新しく語り継がれる作品が現れてもいいのではと思っていた。 そんな時にこの連載がスタートした。たちまち引き込まれた。毎回、心震わせ、胸を熱くさせられながら読んだ。スポーツノンフィクションの傑作が生まれつつあるのを、今まさにリアリタイムで目撃しているという興奮をおぼえた。 『嫌われた監督』は、スポーツノンフィクションの歴史に新たに名を連ねる傑作である。『週刊文春』の連載をもとに新たな取材と大幅な加筆修正がなされ、連載を読んだ人もふたたびあの興奮を味わえる一冊になっている。 「嫌われた監督」とは、

    『嫌われた監督』「揺るぎない個」はなぜ嫌われたか - HONZ
    Rlee1984
    Rlee1984 2021/09/28
  • やたらと人が殺される凶暴な時代『室町は今日もハードボイルド:日本中世のアナーキーな世界』に住んでみたいか? - HONZ

    やたらと人が殺される凶暴な時代『室町は今日もハードボイルド:日中世のアナーキーな世界』に住んでみたいか? アバウトにしてアナーキー。ざっくりまとめるとこうなるのだろうか。なんだかやたらと凶暴でハードボイルドな室町時代。日人は律儀で柔和などという言い方は絶対に通用しない。室町時代の後半は戦国時代だったから、というわけではない。武士たちだけでなく、農民や女性、僧侶までもがなんだか殺気立っているのだ。まずは『びわ湖無差別殺傷事件』から。 びわ湖がくびれていちばん細くなっているところ、琵琶湖大橋のかかっている西側に堅田という町があった。というか、今もある。そこに兵庫という名の青年がいた。“他の堅田の住人と同じく、周辺を通行する船から通行量をとったり、手広く水運業を行ったり、場合によっては海賊行為を働いたり“ と、とんでもない多角経営を営んでいた。湖なので、海賊ではなくて湖賊だが、まぁ、それはよ

    やたらと人が殺される凶暴な時代『室町は今日もハードボイルド:日本中世のアナーキーな世界』に住んでみたいか? - HONZ
    Rlee1984
    Rlee1984 2021/06/28
  • 『あなたは、なぜ、つながれないのか ラポールと身体知 』 - HONZ

    2015年10月、池袋・某書店の人文書フロアで、私は立ち尽くしていた。棚に面出しで置かれた『あなたは、なぜ、つながれないのか』を前に、動けなくなっていたのだ。正直レジに持っていくには、少し勇気の要るだった。実際、その日カゴに入れていたは詩集ばかりで、書は当時の自分が手に取る系統のではなかった。 それでも、刊行当初から否応なく気にかかる一冊だった。タイトルが目に飛び込んでくる度、反射的に目をそらしたくなる自分がいた。『あなたは、なぜ、つながれないのか』。他者と打ち解けることができない自分の弱さを責められているような不安、弱さを突きつけられることへの恐れ、それでも「他者とつながりたい」という気持ちがせめぎ合い、整理できない感覚に陥った。 「人に壁を作ってるよね」と冗談交じりに指摘され、内心図星だった学生時代。「そんなコミュニケーションの仕方じゃダメだ」と非難され、反省する一方で、「当た

    『あなたは、なぜ、つながれないのか ラポールと身体知 』 - HONZ
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    Rlee1984 2019/12/28
  • 日本の科学は失速状態 『誰が科学を殺すのか 科学技術立国「崩壊」の衝撃』 - HONZ

    の科学は失速している。一昨年の3月、ネイチャー誌に掲載されたレポートは大きな反響を呼んだ。一般の人たちには驚きを持って迎えられたようだが、多くの研究者にとっては、やはりそうかという感じであった。 『誰が科学を殺すのか』は、企業の「失われた10年」、「選択と集中」でゆがむ大学、「改革病」の源流を探る、海外の潮流、の4章から構成されている。毎日新聞に掲載された「幻の科学技術立国」シリーズが元になっただ。 大学に関しては、行きすぎた選択と集中、地方国立大学の疲弊、若手研究者の待遇の悪さ、博士課程進学者減少などが紹介されており、内部で実感していることと完全に一致する。 どのテーマについても、客観的かつ冷静な記述と考察がなされている。わかっているにもかかわらずマスコミがなかなか書かなかったiPS細胞関連予算の問題点についても、果敢に踏み込んでしっかりと書かれている。 ネイチャー誌の記事以来、論

    日本の科学は失速状態 『誰が科学を殺すのか 科学技術立国「崩壊」の衝撃』 - HONZ
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    Rlee1984 2019/12/13
  • 『僕らはそれに抵抗できない 「依存症ビジネス」のつくられかた』誘惑に勝てないのは意志が弱いせいじゃない - HONZ

    スティーブ・ジョブズは自分の子供たちにiPadを使わせていなかった――彼はその影響力をもって世界中に自社のテクノロジーを広める一方で、プライベートでは極端なほどテクノロジーを避ける生活をしていた。デジタルデバイスの危険性を知っていたから。彼だけでなく、IT業界の大物の多くが似たようなルールを守っている。まるで自分の商売道具でハイにならぬよう立ち回る薬物売人みたいではないか……。 そんなツッコミで幕を開ける書は、フェイスブックやツイッター、インスタグラム、ソーシャルゲームといったデジタルテクノロジーが持つ薬物のような依存性をわかりやすく噛み砕いて分析した一冊である。ネット依存を題材としたは他にもあるが、書が類書とちょっと違うのは、こうした依存症ビジネスを否定・糾弾するのではなく、人間心理への深い理解を促すことに重心が置かれている点だ。著者はニューヨーク大学の行動経済学や意思決定の心理学

    『僕らはそれに抵抗できない 「依存症ビジネス」のつくられかた』誘惑に勝てないのは意志が弱いせいじゃない - HONZ
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    Rlee1984 2019/09/07
  • 『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』 不都合な真実から目を背ける人たち - HONZ

    具体的な数字やデータを示してもダメ。明晰な論理で説いてもムダ。そんなとき、あなたはきっとこう思ってしまうのではないか。「事実はなぜ人の意見を変えられないのか」。 実際問題、日々の生活でそんな思いを抱いてしまう場面は少なくないだろう。失敗例がすでにいくつもあるのに、それでもまだ無理筋を通そうとする社内のプレゼンター。子育てのあり方をめぐって、何を言っても聞く耳を持ってくれないパートナーなど。また不思議なことに、たとえ高学歴の人であっても、「事実に説得されない」という点ではどうやらほかの人と変わらないようだ。 さて書は、冒頭の問いを切り口としながら、人が他人に対して及ぼす「影響力」について考えようとするものである。心理学と神経科学の知見を織り交ぜつつ、著者は早々に厳しい診断を下す。 多くの人が「こうすれば他人の考えや行動を変えることができる」と信じている方法が、実は間違っていた…。 数字や統

    『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』 不都合な真実から目を背ける人たち - HONZ
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    Rlee1984 2019/09/03
  • 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』無類に面白い!少年の成長物語 - HONZ

    今年もっとも感情を揺さぶられた一冊だ。 なにしろこのを読んでいる間、いい歳して中学生かよ!というくらい落ち着きがなかった。世の中の不条理に憤って汚い言葉を口にしたかと思えば、声をあげてギャハハと笑い、気がつけば目を真っ赤にして洟をかんでいた。 ノンフィクション好きで著者の名前を知らない人はいないだろう。ブレイディみかこさんは地元福岡の進学校を卒業後、音楽好きが高じてアルバイトと渡英を繰り返し、英国で保育士資格を取得、「最底辺保育所」で働きながらライター活動を開始し、2017年に『子どもたちの階級闘争−ブロークン・ブリテンの無料託児所から』で新潮ドキュメント賞を受賞した。ここ数年、注目を集める書き手である。 書は彼女がこれまで書いたものの中で、もっともプライベートな色合いの濃い一冊といっていいだろう。彼女は英国南部のブライトンという街で、アイルランド出身で大型ダンプの運転手をしている配偶

    『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』無類に面白い!少年の成長物語 - HONZ
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    Rlee1984 2019/06/26
  • 異なる道筋で進化した「心」を分析する──『タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源』 - HONZ

    タコというのはなかなかに賢い生き物で、その賢さを示すエピソードには事欠かない。 たとえばタコは人間に囚われている時はその状況をよく理解しており、逃げようとするのだが、そのタイミングは必ず人間が見ていない時であるとか。人間を見ると好奇心を持って近づいてくる。海に落ちている貝殻などを道具のように使って身を守る。人間の個体をちゃんと識別して、嫌いなやつには水を吹きかける。瓶の蓋を開けて、中の餌を取り出すことができるなどなど。 タコには5億個ものニューロンがあり(これは犬に近い。人間は1000億個)、脳ではなく腕に3分の2が集まっている。犬と同じニューロンってことは、犬ぐらい賢いのかなと考えてしまいそうになるが、タコは哺乳類らとは進化の成り立ちが根的に異なるので、単純な比較は難しい。では、いったい彼らの知性はどのように生まれ、成り立っているのか。神経系はコストの高い器官だが、それが結果的に生き残

    異なる道筋で進化した「心」を分析する──『タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源』 - HONZ
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    Rlee1984 2018/12/16
  • 『エンジェル投資家』人が重要なのではなく、人が全てである - HONZ

    作者:ジェイソン・カラカニス 翻訳:滑川 海彦、高橋 信夫 出版社:日経BP社 発売日:2018-07-12 書は、アメリカを代表するエンジェル投資家のジェイソン・カラカニスによる、スタートアップ企業への投資のための指南書である。ベンチャーキャピタルに関するは多く出版されているが、それより一段早いステージで出資するエンジェル投資家について書かれたものは極めて珍しい。 カラカニスは、ライドシェアのUberがまだスタートアップ企業で、500万ドルの企業価値しかなかった頃に2万5000ドルを投資し、それが3億6000万ドルになったというのだから、正にエンジェル投資家として超特大のホームランを打ったと言うに相応しい人物である。そんな彼が、これまでのビジネスマン人生の集大成として自分の経験をにしたのだから、面白くないはずがない。 そもそもエンジェル投資家とは何かから説明すると、これは創業間もな

    『エンジェル投資家』人が重要なのではなく、人が全てである - HONZ
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    Rlee1984 2018/08/09
  • 『世界を変えた14の密約』 - HONZ

    「企業の密約が世界を変えた」と言えば、ありがちな陰謀説だと思われるかもしれない。しかし、書はそんな陰謀説を掲げてスキャンダルを暴露しようとするではない。むしろ、それとは正反対だ。このは、今わたしたちをとりまくこの世界が、偶然の産物ではなく、ある意図のもとになるべくして今の形になったことを、歴史的な事実と綿密な取材に基づいてひも解いていく。書を読めば、ばらばらに見えた点と点がつながり、今目の前にある世界が違う角度で見えてくる。 著者のジャックス・ペレッティは、名門ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスを卒業して調査報道の道に進み、ガーディアンやワイアードといった一流紙誌に予言的な記事を掲載してきた、今最も旬なジャーナリストのひとりである。ドキュメンタリー制作者としての実力も折り紙つきで、書をもとにしたドキュメンタリー番組もBBCで放送され、大きな反響を呼んでいる。 そんな旬の著者が

    『世界を変えた14の密約』 - HONZ
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    Rlee1984 2018/05/31
  • 『コンビニ外国人』身近だけどよく知らない、ではすまされない - HONZ

    もはや毎日のように顔を合わせている人たちについての話だ。地域によって差はあるものの、都市部のコンビニでは外国人スタッフの存在はすっかり当たり前になった。自宅の最寄りのコンビニともなると7割くらいが外国人店員という印象なのだが、その割に知っていることはあまりにも少ない。タイトルを見た瞬間、自然と手が伸びた。 中身はコンビニの話にとどまらない。コンビニ店員のほとんどを占める私費留学生を中心としながらも、技能実習生、その他の奨学生、さらには在留外国人全般にわたる幅広い視野で外国人労働者の置かれる状況がまとめられた1冊である。 近い将来変わる見込みがあるものの、現状は技能実習生がコンビニでバイトをすることは認められていない。コンビニで働く人外国人のほとんどは、日語学校や大学で学びながら原則「週28時間」の範囲で労働する、私費留学生だ。中国韓国・ベトナム・ネパール・スリランカ・ウズベキスタンなど

    『コンビニ外国人』身近だけどよく知らない、ではすまされない - HONZ
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    Rlee1984 2018/05/20
  • タイトルの割に中身は真摯『誰もが嘘をついている ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性』 - HONZ

    2015年、米カリフォルニア州サンバーナーディーノで銃乱射事件が発生した。パキスタン系アメリカ人でありイスラム教徒だった犯人の名前が報じられるやいなや、ネット上はイスラム教徒を殺害せよという書き込みで溢れかえる。 事件の4日後、オバマ大統領(当時)は国民向け演説で「差別を拒むことは、宗派を問わずすべての米国人の責務」と語り、「自由は恐怖に勝ることを忘れないよう」呼びかけた。「タフで冷静」、「恐怖に判断力を曇らせられないよう促した」。人々の良心に語りかけ、受容と寛容の重要性を説いた演説はメディアに称賛された。 しかし、著者らがグーグル検索のデータを分析したところ、異なる実態が浮かび上がってきた。イスラム教徒を「テロリスト」、「悪人」、「暴力的」、「邪悪」などのワードと結びつけた検索が、演説終了後に倍増していたのだ。 書は、グーグルのデータサイエンティストや大学の客員講師などを勤めてきた人物

    タイトルの割に中身は真摯『誰もが嘘をついている ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性』 - HONZ
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    Rlee1984 2018/03/04
  • 『パリのすてきなおじさん』人生が醸し出す大人の「絵本」 - HONZ

    老いは避けられない。どうせ老いるなら若い人に「素敵なおじさん」と呼ばれたいものだ。おじさんが何歳からなのか、はっきりした定義はないだろうが、30歳からをおじさんと呼ぶのなら、私はおじさん歴9年になる。そろそろ、おじさんも板についてきた頃だろう。しかし未だに素敵なおじさんが、どんなものなのかトンとわからない。おじさんのサンプル集でもあればと思っていたら、出てきたのだ。私の思いに答える一冊が。いやー、世の中、いろんな物があるものだ。 書の著者でイラストレーターである金井真紀は、おじさんコレクターを自認するほどのおじさん好き。伊丹十三の「おじさんこそが両親が押し付けてくる価値観に風穴を開けてくれる存在だ」という趣旨の言葉を引用しつつこう語る 私はとりわけ風穴を欲するタイプだったのだろう。「このおじさんの話をきいたらおもしろそう」という勘がよくはたらいた。経験を積めば積むほど、「選おじさん眼」は

    『パリのすてきなおじさん』人生が醸し出す大人の「絵本」 - HONZ
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    Rlee1984 2017/12/08
  • 『動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか』 進化認知学、そして「唯一無二の人間」という見方からの脱却 - HONZ

    「動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか」。ずいぶん挑戦的な問いかけであるが、書の内容もそれに負けず劣らず挑戦的である。 フランス・ドゥ・ヴァールは、ベストセラー『チンパンジーの政治学』といった著書もある、世界的に著名な霊長類学者である。そんな彼が書で試みていることはおもにふたつある。ひとつは、彼の提唱する「進化認知学」というアプローチを明らかにすること。そしてもうひとつは、「唯一無二の人間」という見方(ないし偏見)を克服することだ。 第一の点について、象徴的なエピソードから始めよう。テナガザルは樹上性の小型類人猿で、ヒトや大型類人猿とも近縁な存在である。だがそんなテナガザルが、かつて行われた認知テストで意外なほど成績がわるかった。そのテストとは、棒を拾い上げてべ物を引き寄せるという一見単純なものである。では、そんなテストでさえうまくパスできないのだから、テナガザルは「愚か」だというこ

    『動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか』 進化認知学、そして「唯一無二の人間」という見方からの脱却 - HONZ
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    Rlee1984 2017/08/30
  • 『裁判所の正体 法服を着た役人たち』司法への信頼がガラガラと…。 - HONZ

    凄いを読んでしまった。信じていた司法への信頼がガラガラと崩れていく。私はなんという国に暮らしているのだろう。 書は「文庫X」として大ヒットとなった『殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』(新潮文庫)の著者、清水潔が、元裁判官で『絶望の裁判所』『ニッポンの裁判』(ともに講談社現代新書)の著者、瀬木比呂志との対談を希望したことで実現した。仕事柄、警察官や検察官、弁護士などと向き合うことが多い清水だが、裁判所や裁判官について何も知らないも同然であることに気づいたからだ。 法廷の壇上にたつ黒い法服姿の人はどんな人たちでどのくらいの報酬で、普通の日は何をしているのか。そんな俗物的興味とともに、なぜ刑事裁判の有罪率が99.9%なのか、なぜ民事裁判の国家賠償請求は原告が勝つことが難しいのか、何より『殺人犯はそこにいる』で清水が追及した真犯人が捕まらないのはどうしてかを瀬木にぶつけ

    『裁判所の正体 法服を着た役人たち』司法への信頼がガラガラと…。 - HONZ
    Rlee1984
    Rlee1984 2017/06/07
  • 『ニワトリ 人類を変えた大いなる鳥』 - HONZ

    ニワトリ無くして、人類無し! もし世界からニワトリが消えたなら? きっと各地でパニックが起きるに違いない。鶏肉は牛肉・豚肉などと比べて国際的な生産・消費量が急増しており、とりわけ新興国・途上国での需要がぐんと伸びている。安価で栄養価の高い肉や卵は、多くの庶民の健康を陰で支えてきた。 その膨大な加工品も含めて、人類にとってますます不可欠な材となり、成長する巨大都市のエネルギー源にもなっている。 もし私たちが他の惑星へ移住する時がきたならば、最も重要なタンパク源としてニワトリをまず同行させるだろう。実際、NASAはニワトリが惑星間旅行に耐えられるかどうかの実験をしており、可能と結論づけている。 材だけではない。インフルエンザの世界的流行をい止めるのにも、ニワトリは重要な役割を担っている。インフルエンザワクチンを作る入れ物として、卵が使われているのだ。 「宇宙船よりも複雑な構造」を持つ卵

    『ニワトリ 人類を変えた大いなる鳥』 - HONZ
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    Rlee1984 2016/11/18
  • 『<インターネット>の次に来るもの―未来を決める12の法則』存在することは、変化し続けること - HONZ

    「未来を予測する最善の方法は、それを発明してしまうことだ」とは、かの有名なアラン・ケイの言葉である。確かにそれは正しいかもしれない。しかし、この言葉が当に説得力を持つのは、偉大な発明を成し遂げた人物によって語られた時だけである。 書の著者ケヴィン・ケリーなら、このように言うだろう。「未来を予測する最善の方法は、それを発見してしまうことだ」と。ならば、未来を発見するとは一体どのようなことか? 手掛かりは「プロセス」へ着目することにあった。 書『『<インターネット>の次に来るもの』は、未来を決める12の法則についてまとめた一冊である。過去、現在、未来へと移り変わるテクノロジーの変化を進化論のように観察していくと、一定の法則性が見つかるのだ。 12の法則は、いずれも現在進行形の動詞であり、具体的にはBecoming(なっていく)/Cognifying(認知化していく)/Flowing(流れ

    『<インターネット>の次に来るもの―未来を決める12の法則』存在することは、変化し続けること - HONZ
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    Rlee1984 2016/08/03
  • 『脳はいかに治癒をもたらすか 神経可塑性研究の最前線』驚きの治療法と回復事例 - HONZ

    HONZが送り出す、期待の新メンバー登場! 澤畑 塁は某大学出版会に勤める、爽やかな営業マンである。HONZメンバーの誰よりもHONZらしい選書と、驚きのスピードでレビューを量産していくことだろう。今後の彼の活躍にどうぞご期待ください!(HONZ編集部) 人間の脳は宇宙のなかで最も複雑かつ精巧であるとよく言われる。そして、それほど複雑かつ精巧であるゆえ、一見小さな損傷が大きな障害をもたらすことがある。だがそれと同時に、わたしたちの脳は驚くべき「神経可塑性(neuroplasticity)」を有してもいる。 ここでいう「可塑性」とは、(プラスチックが熱を加えられたときに形を変えていくように)「自己の活動や心的経験に応じて、脳が自らの構造や機能を変える性質のこと」である。では、人間の脳にはどれほどの可塑性が備わっているのか。また、その可塑性を利用して、脳の機能回復を促すことは可能だろうか。

    『脳はいかに治癒をもたらすか 神経可塑性研究の最前線』驚きの治療法と回復事例 - HONZ
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    Rlee1984 2016/07/05
  • あなたの知らない動物の生態 『ざんねんないきもの事典』 - HONZ

    ざんねんないきものとは一生けんめいなのに、 どこかざんねんないきものたちのことである。 世の中にはものすごく不便そうな体を持っている生き物や、どうしてそんな大変そうな生き方をしているの?って思う生き物。またそんな能力を持っていてどうするの?と思ってしまうような生き物が多数存在している。進化というのは一方通行であるがゆえに進化の過程において、かつては必要だったけれど、いまは不必要になってしまった能力や特徴をもっている生き物というのがたくさんいるのだ。たとえば誰もが知っているパンダは、ササの葉ばかりをべているイメージがあると思う。 しかし、パンダがべているササにはほとんど栄養がなく消化も悪いそうだ。パンダはクマの仲間なので雑である。動物園では肉や果物もたべている。だからわざわざ栄養のないササをたべる必要性はないのだ。それなのにササをべてしまう習性は、過去に他の動物に山を追われ、ササしか

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    Rlee1984 2016/06/16
  • 『数学者たちの楽園 「ザ・シンプソンズ」を作った天才たち』著者サイモン・シン インタビュー 数十年来の陰謀を暴く - HONZ

    前作『代替医療解剖』の発表から実に8年。人気サイエンスライター、サイモン・シンの最新作の翻訳版がついに完成しました。テーマはズバリ『ザ・シンプソンズ』。1989年の初放映からすでに600話超! 今も続くアメリカの大人気アニメーションです。黄色い肌に、大きなギョロ目、極端にデフォルメされた姿はきっと多くの人がご覧になっているはず。社会風刺のたっぷりきいたドタバタアニメは時に社会問題にからんで日でも話題に上ります。 でも今回の切り口は、風刺でもなければアニメ論でもありません。『ザ・シンプソンズ』、実は超難解「数学コメディー」だった!! というサイモン・シンならではのものです。この背景にはハーバード大などで数学の博士号を取得した「天才」たちが、研究職をなげうってまで『ザ・シンプソンズ』の脚家になったという、驚くべき事実があるのですが、なぜ、そんなことが起こってしまったのか、そもそもどんな理由

    『数学者たちの楽園 「ザ・シンプソンズ」を作った天才たち』著者サイモン・シン インタビュー 数十年来の陰謀を暴く - HONZ
    Rlee1984
    Rlee1984 2016/05/26