【ジュネーブ=石黒穣】世界保健機関(WHO)が17日発表した「世界マラリア報告」で、北朝鮮の広い地域で依然、マラリアが多く発生していることがわかった。 核とミサイル開発に資金を投入する北朝鮮で、公衆衛生対策が後回しになっている実態を物語る。 同報告によると北朝鮮で2011年にマラリアにかかった患者は約1万6000人だった。01年の30万人から改善したものの、ここ何年かは減っていない。北朝鮮でマラリアの感染リスクがある地域に住む住民は人口の6割に上る。 熱帯から亜熱帯に特有のマラリアが温帯地域で勢いを保つ例は珍しい。北朝鮮で、媒介蚊の発生を抑える消毒などがおろそかなことを示している。韓国でもマラリアに感染した人は11年に800人を数えたが、軍事境界線を越えて、北朝鮮から飛来した蚊が媒介するケースが大半だという。