家庭や学校などの場面を問わず、子どもでも大人でも愛犬でも、学び手の学習を口実とした教え手による暴力行為であるすべての「体罰」に反対しています。 反対するだけではなく、暴力を使わずに教えたいことを教えることを推奨し、その方法についても情報提供しています。行動分析学の本領が発揮されるところです。 昨年度はこの声明文を策定するタスクフォースの委員長を務めさせていただき、あらためて「体罰」に関連する文献を読み直し、考え、自らの教育行動も振返る、充実した時間を過ごさせていただきました。そのような機会を与えて下さった、園山先生や、一緒に仕事をしたタスクフォースのメンバーにこの場を借りて感謝いたします。 法務省の「平成25年における「人権侵犯事件」の状況について(概要)」によると、教育職員による体罰に関する新規救済手続開始件数は887件(前年比139.7%)と増加しています。 体罰はまだまだ頻繁に行われ
使える行動分析学: じぶん実験のすすめ (ちくま新書) 島宗 理 筑摩書房 2014-04-07 売り上げランキング : 763 Amazonで詳しく見る by G-Tools 4/7(月)に書店に並ぶ予定の新刊です。 セルフマネジメントの本、というより自分にあったセルフマネジメントをみつける方法についてまとめました。 私の授業では受講生が自分で自分の行動を変えるプロジェクトに取り組みます(私も一緒に取り組みます)。本書にはそうした学生の取り組みを掲載しました(私の取り組みもいくつか紹介しました)。片づけ、ダイエット、勉強、早起き、スポーツ、音楽など、様々なテーマのじぶん実験の実例を読むことができます。 標的行動の決め方、測定方法、行動の原因推定、グラフの作成方法、解決策(介入)の立案方法など、これまでに出版された同じような本に比べると、細かすぎるほどの細部にまで突っ込んで書きました。
週末になると近所の公園は野球少年やサッカー少年たちでいっぱいになる。最近は男女が一緒に練習しているから、正確には少年少女たちだ。 地元のチームなのか、その中に大人が交じっていて、ノックしてたりするのだが、これが酷い。 「あきらめんじゃんぇーよ」、「どこみてんだ、このくそぼけ」、「どうしてできねぇんだよ!!」の連続。 それでも子どもたちは「よろしくお願いします!」とか「すみません」とか、とても礼儀がいいし、一生懸命ボールを追いかけている。見ていて、正直、胸が痛くなる。そのうち、きっとどこかで折れるぞ、この子たち。 こういう大人の特徴。 まず、ノックしかしない。自分でキャッチの見本をみせているところを見たことがない。子どもと離れているから、身体的ガイダンス等で、たとえば膝を曲げる角度とか、キャッチする前の事前動作等を誘導することもできないし、しない。 ノックも適当。近距離のキャッチボールから始
来月の日本行動分析学会年次大会で「『罰なき社会』を再考する」自主シンポをやります。その準備で色々な本を読んだり、資料を集めているのですが、この本は中でも勉強になりました。シンポでは紹介できないことも多いので、せっかくなのでシェアします(つか、知らないことばかりだった)。 刑務所や少年院での「暴力」(体罰など)について知りたかったのですが、本書はそういうルール違反については言及なく(そういうことがないとも書いてありませんが)、むしろ刑務所の「あるべき姿」と現状を比較して、システムとしての改善点を提案しています。 付箋をつけた数はこの5倍くらい。もっと知りたい人はぜひ本を読んで下さい。 刑罰には罪に対して応報し「応報刑」、社会に知らせて予防効果を期待する側面と、その人の再犯を予防するための「教育刑」という側面があるが、裁判官は前者を重視する傾向があるが、裁判員制度が始まってからは裁判員は後者を
4/3(水)のNHK「あさイチ」の「気になる!?“クセ”大研究」で解説した「習慣逆転法」(habit reversal)に関する補足情報です。前半は専門家向け、後半は一般向けです。 「習慣逆転法」は応用行動分析学の第一世代にあたるAzrinが開発した行動修正のための介入パッケージで、nervous habits(「神経性習癖」)、チック、吃音症、トレットなどの症状が適用対象になります。 「神経性習癖」は、爪かみや髪ひき、貧乏揺すりなど、同じ形態の行動が繰り返される、いわゆる「クセ」ですが、臨床的に問題になるのは、たとえば出血したり、組織や変形するなど、身体的な損傷が生じたり、社会的に不利になるなど、何かしらの不適用があらわれる場合です。 チック、吃音症、トレット以外にも、たとえば、顎関節症(temporomandibular disorders)という、医学的診断がついた症状に対する成
「発達障害児のためのABA早期療育の現在」でも会場から質問がありましたが、「どんな行動を教えるべきか」は発達臨床や教育において常に問題になるテーマです。徳島ABA研究会のスタッフの間でも、サマースクールの教材開発や事例研究の助言に取り組みながら、「この子に今何を教えるべきか」を考えて決められる力を先生方につけてもらうにはどうしたらいいか、ここ数年ずっと話し合ってきています。実際、教えるべきことさえ具体的な行動として決まれば、そしてそれが現実的な指導目標であれば、どのように教えるか考え、決めて、実行するのは、行動分析学を学んだ先生たちにとってはそれほど難しいことではありません(もちろん、簡単なことではありませんが)。教え方や記録による教え方の改善についてはここ10年の教材開発で「かなり教えられる」という実感が得られるようになりました。しかし、子どもたちに教えるべきことを見つける力の方は、先生
ゼミ生全員が八分咲きの卒論をしっかりと仮提出してくれました(お疲れさまでした)。それに対するコメントも書き終え、千葉県某高校での模擬授業も終わり、少々余裕ができたので、“強化と罰は「同じものの裏表」ではないと”について書いてみます。 かのスキナー先生も罰(と言わずに私たちはこの頃「弱化」と呼んでいますが、この話はまた後で)と強化は「同じものの裏表」と単純には考えていなかったふしがあります。『罰なき社会』では罰の副作用についてふれ、正の強化を使うことを奨励していますが、副作用そのものが罰の手続きが行動の頻度を下げる主因であると考える人たちもいるのです。 強化は行動の直後に環境が変わったこと—たとえば正の強化子(これも私たちは「好子」と呼んでいますが、今回の記事ではトラッドな用語を使います)が出現すること—でその行動の将来の頻度が増加する現象です。逆に、罰(弱化)は行動の直後に環境が変わったこ
現在、モーレツに忙しく時間がとれないのですが、いじめ予防プログラムに関する取材の申込みをいくつか受けました。そこで提供した情報をここに書込んでおきます。 まず、米国にはいじめから子どもを守るための法律が州ごとに整備されつつあります。各州の条文へのリンク、並びに第三者機関による評価が開示されているサイトがあります。 A Watch-dog Organization - Advocating for Bullied Children & Reporting on State Anti Bullying Laws 少し古い(2001)のですが、Surgeon Generalによるレポート(Youth Violence)には、その時点でのいじめ防止プログラムの効果についてエビデンスが検証され、報告されています。ただし、いじめ防止プログラムはこのレポート全体のごく一部でしかなく、また、確実に効果のあ
2月に授業コンサルテーションに行ってきた福島大学附属中学校が2年間にわたる研究教育活動の報告書をまとめ、webで配信を始めました。 白石豊校長先生のもと、すべての先生方がインストラクショナルデザインの考え方を学び、授業を設計、実践、改善されているという、おそらく全国的に(ひょっとしたら全世界的にも)希有で画期的な取組みです。なにしろ、School-Wide Instructional Designですから。 教科の枠を超え、先生方が自由に熱烈に意見交換し、(私のような)外部からの厳しい意見にもへこたれずに、PDCAのサイクルを回しながら、「わかって、できて、面白い」授業づくりに取り組む姿には感動を覚えます。 また、附属校にありがちな超多忙(超残業)を、パフォーマンス・マネジメント的な方法で解消したという成果も見逃せません。このあたりは白石先生の力量におうところが大きいとは思いますが、同じよ
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