映画『ローマの休日』で、某国のアン王女は身分を隠してローマの街へ飛び出す。やはり職業を隠した新聞記者のジョーにどんなことをしたいか聞かれこう答える。「歩道の喫茶店に座ったり、ショーウインドーをのぞいたり、雨の中を歩いたりしたいの」。 ▼「深窓の佳人」の切なくなるような願いである。ジョーは王女をスクーターに乗せ走り回るが、スキを見て王女が自分でスクーターを動かす。むろん初めての経験だ。最後は歩道に乗り上げて警官につかまり説教を食うが、その楽しげな表情といったらなかった。 ▼そんな映画からすれば意外な感じもするが、天皇陛下は皇太子時代の昭和29年に運転免許を取っておられる。20歳になられたばかりのころである。恐らくアン王女のように、普通の若者と同じようなことをやってみたいと思われたのではないか。そう拝察している。 ▼今でも皇后さまとテニスをするさいなどに、皇居内でマイカーを運転されているそうだ