行政サービスの担い手が官から民に移りつつある。公務員が独占してきた仕事も一般市民が分担し始めた。「裁判員制度」が好例だ。福祉施設、学校、ミュージアムなどのボランティアも増えた。市民も一片の「公務」を担う時代になりそうだ。国民が公務を担う現象は実は珍しくない。典型は徴兵制である。女性や子供も軍需工場に徴用された。徴用は城や道路の建設などで古来行われてきた。福祉もそうだ。福祉はかつて家族や近隣社会の義務だった。今は政府が担うがかつては国民が分担した公務である(もっとも昔はあまりに当然のことであえて“公務”とすら意識されなかったが)。 「福祉徴用」の時代 これからの行政の中心課題は福祉、介護、医療などの人的サービス分野だ。きめ細かいサービスの提供には手間と費用がかかる。しかも受益者がうるさい有権者である。手抜きはできないが財源とマンパワーには限界がある。 特に医療は難しい分野だ。医学が発達すれば