本の読み方 山根英司 数学の本を読んでも全く理解できないことはよくある. しかし, 簡単に諦めてはいけない. すぐに判らないのは当たり前である.時間をかけてじっくり考えればそのうち判る. 考えるのをやめてしまったら,いつまでたっても判らない. そうはいっても,ただ時間をかけようというだけでは芸がない.ここでは, 何とか理解するためのコツをいくつかのべる. 0. 前に戻る. ある箇所が判らないという場合, そこで初めて判らなくなったのではなくて,本当はその前に既に判らなくなっていることが多い. だから少し戻って読み返してみるとよい. 判っていないくせにそのことを自覚していないのは大変困る. しばしば言われる勉強のコツとして,「細かいことは気にせずとりあえず後ろの方までざっと読んでみる」とか「8割判ったら先に進む」 などの読み方がある. こういう読み方をするとき,本当に判ったことと判っていない