第86回:僕は猟師になった主人公は、罠猟師の千松信也さん。京都大学に在学しているころから狩猟をはじめ、いまは運送会社に務めながら京都北部の山で狩猟を続けている。著作も多くあり、日本の狩猟ブームを牽引するひとりだ。本作はNHKで放送されたドキュメンタリーを映画化したものである。実にNHKらしい丁寧なつくりで、千松さんがイノシシやシカを罠で狩る日々が細部まできちんと描き込まれている。 京都の山で猟をしている千松信也さんイノシシを解体し、枝肉にするシーンが出てくる。腹からナイフを入れると湯気が立ち上り、臓物を取り出し、腹を洗い、分厚い皮をはいでいく。びっしりと旨そうな真っ白な脂が巻いている。本体から外されて枝肉になると、だんだんと日ごろ私たちがスーパーで買う食肉に近づいてくる。 罠にかかった獲物の命を止める瞬間も、作品内で何度となく出てくる。罠にかかったままの生けるイノシシはきわめて危険で、近寄
![僕は猟師になった : 佐々木俊尚 ドキュメンタリーの時代 - 映画.com](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/9f3bd19c3c0b94a280441c41da273849bd545fb2/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Feiga.k-img.com%2Fimages%2Fextra%2F2283%2F4aaae13fbeb52aa2%2F640.jpg)