トム・クルーズによる究極の映像バイアグラ 今更なのだけど、この金曜日の夜に『トップガン・マーヴェリック』を観てきた。僕は前作『トップガン』の公開時はまだ小学2年生で特に思い入れもなく、話題作だからとりあえず観ておこう、くらいの気持ちで足を運んだ。そして、圧倒された。僕は、トム・クルーズという男を舐めていた。それは恐ろしいくらい純粋に開き直ったおじさんの、おじさんによる、おじさんのための映画だったからだ。この映画には「何も」ない。あるのは「世界は俺様のカッコよさを改めて褒め称えるべきだ」というトムの自己愛と「だからお前たちも、俺みたいに立ち上がれ」という、少し考えると論理的にもおかしい無根拠かつ無責任な世界中のおじさんたちへのメッセージ(俺様こそが最高に素晴らしい、という前提を保持したまま観客の奮起を促す)だけだ。ほんとうに他のものは「何も」ない、ほとんどバイアグラみたいな映画だ。あまりに衝