ブックマーク / note.com/wakusei2nduno (16)

  • 『トップガン・マーヴェリック』とさまよえる男性性の問題|宇野常寛

    トム・クルーズによる究極の映像バイアグラ 今更なのだけど、この金曜日の夜に『トップガン・マーヴェリック』を観てきた。僕は前作『トップガン』の公開時はまだ小学2年生で特に思い入れもなく、話題作だからとりあえず観ておこう、くらいの気持ちで足を運んだ。そして、圧倒された。僕は、トム・クルーズという男を舐めていた。それは恐ろしいくらい純粋に開き直ったおじさんの、おじさんによる、おじさんのための映画だったからだ。この映画には「何も」ない。あるのは「世界は俺様のカッコよさを改めて褒め称えるべきだ」というトムの自己愛と「だからお前たちも、俺みたいに立ち上がれ」という、少し考えると論理的にもおかしい無根拠かつ無責任な世界中のおじさんたちへのメッセージ(俺様こそが最高に素晴らしい、という前提を保持したまま観客の奮起を促す)だけだ。ほんとうに他のものは「何も」ない、ほとんどバイアグラみたいな映画だ。あまりに衝

    『トップガン・マーヴェリック』とさまよえる男性性の問題|宇野常寛
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2022/09/08
    “重要なのは、なぜ機械による身体拡張が男性性と結びついてしまったのか、そこから解放された人間と機械との関係にはどのようなものがあるか、を考えること”。
  • 「ゆるやかなニヒリズム」をどう乗り越えるかーー2022年参議院選挙から考える|宇野常寛

    惨劇と祭りのそのあとにこのマガジンを立ち上げるときに、社会時評を載せると宣言したのだけれど、これまでほとんど載せたことがなっかったように思う。しかし、今がそのタイミングなのではないかと考えて書くことにした。選挙期間中に元首相が暗殺されるという、とんでもない展開になってしまったこの選挙なのだが、端的に述べればこの国の現状ーーそれも緩やかだが、しかし確実に「詰み」の状態に向かっている現状ーーをきれいに反映したものになったように思う。そして僕は御存知の通り、東京選挙区で乙武洋匡候補を応援していたのだけれど、残念ながら結果は惨敗に終わった。この反省も踏まえ、今回はその現状の整理と、これからの打ち手について考えていきたい。

    「ゆるやかなニヒリズム」をどう乗り越えるかーー2022年参議院選挙から考える|宇野常寛
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2022/07/17
    “自分が賢いと思われたいから「社会なんてものは賢い政治家に賢いブレーンが付けばいいんだ、それが大人の現実だ」、と考えている(自分に言い聞かせている)。”
  • 11年目の気仙沼を、走る|宇野常寛

    3月11日に合わせて、気仙沼に行ってきた。 立命館大学教養教育センターが三菱みらい育成財団の助成を受けて開始した学生提案型ゼミ「未来共創リベラルアーツ・ゼミ」の主催するトークセッションに呼んでもらったのだ。ゼミを担当する山口洋典教授と、気仙沼でカフェ「アンカーコーヒー」を経営するやっちさんこと小野寺靖忠さんの3人で、改めてあの震災とか、復興とか、地方創生とか、そういったことについて話してきた。 僕が呼ばれたきっかけは、僕の編集する雑誌「モノノメ」の創刊号に僕自身が寄せた記事(「10年目の東北道を、走る」で)でやっちさんに取材したことだ。その縁で、やっちさんと山口さんが進めていた11年目の3月11日に合わせたイベントのゲストに、僕が指名されたという事情だ。 【書き下ろし全ページ解説集つき】宇野常寛 責任編集『モノノメ 創刊号』 | PLANETS公式オンラインストア powered by B

    11年目の気仙沼を、走る|宇野常寛
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2022/03/16
    “この国の人々が忘れてしまった「土地読み」の知恵と土地とともに生きていく謙虚さを取り戻すこと。”
  • この街に「優しさ」を実装するために、「飲まない東京」を考えたい|宇野常寛

    知っている人も多いと思うのだけれど、僕はお酒を飲まない。飲めないのではなくて、飲まない。もちろん、決して酒に強い体質ではないのだけれど、それ以上に「酒の席」が苦手なのだ。出版業界の、とくに批評とか思想とかそういった分野はまだ昭和の飲み会文化が色濃く残る古い世界で、業界のボスが取り巻きを連れて飲み歩いて、取り巻きはボスの機嫌を取るためにその敵の悪口を言って盛り上がるという陰湿なコミュニケーションが常態化していたりする。もちろん、このような陰湿な飲み会文化に染まっているのはごく一部の人たちで、ほとんどの人たちは気持ちよくお酒を飲んでいることはよく知っている。でも、こういう古い体質の業界にまだ残る「飲み」の文化にうんざりしたことは、僕にとって好きでもないお酒をやめるのに十分なきっかけになった。そして僕は10年ほど前に、こういうコミュニケーションにかかわっていると自分がダメになると思って、人間関係

    この街に「優しさ」を実装するために、「飲まない東京」を考えたい|宇野常寛
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2021/10/02
    「飲まない」ことが前提の場所が一つあるだけで、その街はぐっとやさしく、開かれたものになる。
  • 「10年目の東北道」を走りながら考えたこと|宇野常寛

    今日からしばらく僕たちPLANETSが創刊する定期刊行の新雑誌「モノノメ」の最新号について、目次を追いながら紹介していきます。 なぜいま「紙の雑誌」なのかとか、編集のコンセプトだとか、流通の形式だとか、そういったことは別の記事に書いたので、こちらを読んでもらえると嬉しいです。 さて、最初に取り上げるのは巻頭の紀行文「10年目の東北道を、走る」です。あの震災から10年、僕たちは仙台から石巻、女川、気仙沼、そして陸高田と大きな被害を受けた土地を回ってきました。この記事はその旅の記録です。具体的には、石巻と気仙沼それぞれの街で復興にかかわってきた二人の知人を訪ねる旅です。 1日目に仙台に入って、被害の大きかった荒浜と近くの名取市の閖上地区を中心に取材しました。この付近は最低限の造成だけ行って事実上放棄されたに近い場所が多く、その何もなさと平坦さが強く印象に残りました。 2日目は石巻と女川を回りま

    「10年目の東北道」を走りながら考えたこと|宇野常寛
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2021/09/01
    いま、地方でどう人間と土地との関係を結び直すのか。醜いのはそこに人間が作り上げてしまった目に見えないしがらみだけで、土地そのものは圧倒的に美しい。
  • どうやら本当に開催されてしまう東京オリンピックについて、いち市民ランナーの思うこと|宇野常寛

    2013年に二度目のオリンピックが東京にやってくると決まったとき、僕はこれをきちんと批判したいと考えた。この二度目のオリンピックには一度目(1964年前のそれ)とは異なり、なんの必然性もコンセプトも存在しないように思えたからだ。1964年の東京オリンピックは敗戦からの復興を象徴することで国威発揚を狙うと同時に、高度成長へ向けた首都東京の大改造を前提としたインフラの整備を「爆速化」するための錦の御旗だった。首都高速道路も東海道新幹線も、オリンピックに合わせて急速に整備されたものだ。この都市改造と国土開発自体の評価はさておき、少なくとも1964年の大会には議論に値する明確な意図が、テーマがあった。 しかし、2020年のそれには「何も」ない。斜陽の日に明るい話題が欲しいといった類の森喜朗的なぼんやりとした精神論と、関係企業や団体のビジネスチャンスへの即物的な期待があっただけだ。そしてそれ以前に

    どうやら本当に開催されてしまう東京オリンピックについて、いち市民ランナーの思うこと|宇野常寛
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2021/07/11
    まずはこの街を走る人を、歩く人を排除しないこと。
  • 「飲まない東京」やってます。|宇野常寛

    僕の読者コミュニティ(PLANETSCLUB)で、この春から「飲まない東京」というプロジェクトを立ち上げた。 僕はこの「飲まない東京」というキーワードを何年か前から使っているのだけれど、小池百合子東京都知事の(僕にはまったく賛成できない)政策、というか、ポピュリズム的な支持率対策によって別の意味を帯びてしまい、ちょっと戸惑っている。 当然のことだけれど、僕たちのプロジェクトは別に飲料としてのアルコールやそれを提供する店をまったく敵視していない。僕たちの考える「飲まない東京」は、都市をもっと多様に、深く味わうためのプロジェクトだ。大人の「あそび」の多くが「飲みに行く」ことだ。僕はずっと、そのことが疑問だった。たとえば出版業界は「飲み会」が多い古い業界の一つで、特に批評やジャーナリズムの世界ではいまだに業界のボスが取り巻きを連れて飲み会を開き、取り巻きはボスの機嫌を取るために積極的にボスの敵の

    「飲まない東京」やってます。|宇野常寛
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2021/06/14
    周囲の人に承認されること以外の満たされ方。
  • 「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」についての雑感(今日における虚構の価値について)|宇野常寛

    「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」を公開初日に観てきた。以下はその雑感で、僕はこの直後からすぐに「ネタバレ」を、それも決定的なものをものすごくたくさん書くことになるだろう。だからそのつもりで読んで欲しい。 そしてその上で最初から結論を書いてしまうと僕はラストシーンに登場する実写映像を目にしたとき、とんでもなく空回りをしたものを感じた。そしてこのとき感じた空回りが、この映画の、そして2007年からはじまったこの新劇場版シリーズ全体を象徴しているように思う。巨大な空回り。それが僕のこのシリーズに対する結論だ。

    「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」についての雑感(今日における虚構の価値について)|宇野常寛
  • 議論は〈ゲーム〉であってはいけない|宇野常寛|note

    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2021/02/21
    眼の前の壁を前に、一緒に首をひねって唸ること。その時間をしっかりと共有すること。
  • (紙の)遅いインターネット計画|宇野常寛

    2021年は紙の雑誌を再起動しようと思っている。雑誌の名前は、もう僕の中では決まっていて、「(紙の)遅いインターネット」にするつもりだ。 もちろん、紙にしたらもはやインターネットでもなんでもなくて、つまりこれは冗談をふくんだタイトルなのだけど、この雑誌のことを発表するとそれが冗談である可能性を少しも考えずに、宇野が「(紙の)遅いインターネット」とかバカなことを言っているとものすごく気持ちよさそうに批難する人が出てくるのだと思う。そして当然その種のバカのこと気にする必要もないのだけど、いまのインターネットがすっかり蛆虫やシロアリがたくさん湧いてくる場所になってしまっていて、それはもっと大きな経済のしくみとか、僕たち人類と情報技術との付き合い方の問題で、それはきちんと考えて、態度表明のようなものをしたいなと僕は考えている。だから僕が「遅い」インターネットだとか言いはじめたのはそのためだ。そして

    (紙の)遅いインターネット計画|宇野常寛
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2021/01/26
    2020年代の想像力。
  • 周庭のこと|宇野常寛

    周庭が逮捕された。彼女は僕の主宰するメールマガジンで長い間連載を持っていたが、彼女から申し出があり2020年の6月で休止していた。事情は、検索すればいくつも記事が出てくるはずななので、そちらを読んで欲しい。この逮捕によって、連載の再開は未定になった(と思う)。 当は過去のメールマガジンの連載と出演動画を再公開しようと考えたが、人の意志が確認できないのと、共通の友人のアドバイスに従っていったん見合わせた。その代わりに、僕がこの文章を書いている。今からでも僕らにできることはないか模索しているのだけど、最初に断っておくがここで僕は彼女の熱心な支援者だと主張する気はない。香港の民主化運動にもっと深くコミットしている日人の支援者は山程いるし、彼女たちの理解者を名乗るに相応しい人や、彼女たちの運動の意義について語るべき人たちは他にたくさんいる。僕はほんとうに「たまたま」共通の友人を通して彼女と知

    周庭のこと|宇野常寛
  • 「感染しない」インターネット|宇野常寛

    昨晩にあたらしいウェブマガジン「遅いインターネット」をオープンした。オープンにあたってのことは、この記事やこの記事を読んでもらいたいのだけど、昨日は実のところコロナウイルスの流行の問題に、企業としてどう対応するかという問題に忙殺された1日だった。 知っている人も多いと思うけれどコロナウイルスによる新型肺炎の流行で、この数日である程度の規模のイベントは中止や延期が相次いでいる。僕個人としては「自粛」ムードが独り歩きしていると感じるところもあるけれど、リスクを高めに見積もっておいたほうがいい局面だという意見もよくわかる。実際に僕が関わっているいくつかのイベントが早々に中止になってしまい、これは僕たちPLANETSも何らかの態度表明をしないといけな、と思った。 正直に言うと、泣きたくなるような気持ちだった。僕たちは、この3月から有楽町のSAAIという新しくできたコワーキングスペースで、週に1度毎

    「感染しない」インターネット|宇野常寛
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2020/02/19
    僕たちは一瞬で世界中の人たちに感染するウイルスの側ではなくて、むしろウイルスに抗う身体をゆっくり鍛えていく側じゃないといけないのだ。
  • 「書くこと」から「読むこと」へさかのぼる|宇野常寛

    突然だけれども、今月から「発信できる人になる」をテーマにちょっとしたスクールのようなものをはじめることにした。 これは、端的に述べると「宇野がこれまで身につけてきた〈発信する〉ことについてのノウハウを共有する講座」だ。 情報収集、の読み方、企画づくり、文章のストーリー構成、ライティングとコピーワーク、物書きとしての生き方、他人の才能を活かす編集術……1年位かけてぜんぶ教える講座を考えている。当は来年1月からはじめる予定で準備を進めていたのだけれど、反響が大きいのと僕の方でもテストプレイがしたいので、PLANETS CLUBのメンバー限定で11月、12月とその入り口の基礎講座を試験的に2回開講することにした。 講師は僕一人だ。有名編集者や書き手を連れてきて、ワナビーを騙すようなスクール事業は悪質だと僕は思うので、まずは愚直に僕のスキルを共有することから始めようと思っている。そしてこれはラ

    「書くこと」から「読むこと」へさかのぼる|宇野常寛
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2019/11/26
    問いを増やすことで世界を豊かにする。
  • これからの「京都」の話をしよう|宇野常寛

    先日、菊池昌枝さんと岸千佳さんと3人で、京都のこれからについて語り合った。なぜ京都、と思う人も多いと思うけれど、僕は実は若いころ7年ほど京都に住んでいたことがあるのだ。僕は父親が転勤族だったので、5年以上住んでいる街はこの仕事をするようになって住むようになった東京を除けば京都だけだ。僕にとっては人生ではじめて愛着が持てた街で、とても思い入れが深い。そして大学の授業を持っている関係で、この6年間春学期(4月-7月)は毎年隔週で東京から出張している。 青森県出身の人間が、それもたった7年住んだだけで京都について何か語るというと、生粋の京都人のみなさんに「青森県出身の評論家さんは京にお詳しいどすなあ」といった感じで嫌味を言われてしまうかもしれない。けれど、外部の人間だからこそ見えてくるものもあると僕は思っている。 もちろん絵葉書と同じ景色を背景にセルフィーを取って、名所旧跡でウィキペディアを引

    これからの「京都」の話をしよう|宇野常寛
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2019/11/09
    重要なのは「何者でもない人々」の視点。
  • 軽井沢を「勝手に」走る|宇野常寛|note

    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2019/10/27
    僕たちはどこに行っても勝手に走り続ければいい。
  • 震災と「遅い」インターネット|宇野常寛

    今日であの震災から8年に、なる。この8年間を振り返って、僕がどうしても考えてしまうのはやはりこの国のインターネットのことだ。誤解しないでほしい、僕は8年経ってもまだ避難生活を強いられているたくさんの人たちのことや、原子力発電所の事故のことをどうだっていいと考えているわけじゃない。むしろ逆で、こういったことを忘れたふりをすることは絶対に間違っていると考えている。そう確信するからこそ、インターネットのことが重要だと思うのだ。 震災の直後、この国のインターネットが不安を背景にTwitterを中心に沸騰して、ひとつの「ムラ」になった。そこではあたらしい支え合いのかたちが生まれたその一方で、無数のデマと陰謀論が拡散していった。 その頃に僕は新聞社の取材に答えて、これはあたらしい「世間」のようなものだと答えた。良くも悪くもばらばらになっていった当時のこの国の社会が、あの震災をきっかけにインターネットの

    震災と「遅い」インターネット|宇野常寛
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